白晝ひる)” の例文
新字:白昼
白晝ひるはベツトに寢ねて寒さに悲しみ、夜は遲く起きて徘徊す。稀れに訪ふ人あれども應へず、どあに固く鍵を閉せり。
氷島 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
介抱かいはうせよと言置て尻引からげ馳行はせゆきけりなきだに白晝ひるさへ人通りなき相良の裏道うらみち殊に夜中なれば人里遠く麥搗歌むぎつきうたとり宵鳴よひなき遙かに聞え前は名におふ大井川海道かいだう一の早瀬にて蛇籠じやかご
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さもなければ怜悧りこうさけよどみにかくれてうごかぬ白晝ひるあひだのみぐつたりとつかれた身體からだわづかに一すいぬすむにぎないので、あさあかるくしろみづにさへ凝然ぢつはなたないのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
白晝ひる横頬よこほゝあつほどけたが周圍あたり依然やつぱりつめたかつた。ほりあさみづにはれもつめたげに凝然ぢつしづめたかへるだまつてかれた。とほ田圃たんぼかれ前後ぜんごたゞ一人ひとり行人かうじんであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
白晝ひるもなほ熊の如くに眠れるなり。
氷島 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)