ひる)” の例文
新字:
かうしてはやしなか空氣くうきは、つねはやしそとくらべて、晝間ちゆうかんすゞしく、夜間やかんあたゝかで、したがつてひるよるとで氣温きおんきゆうかはることをやはらげます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
いとな七日々々なぬか/\追善供養つゐぜんくやうも心の及ぶだけはつとめしが何分男の手一ツでをさなき者の養育やういく當惑たうわくひるは漸く近所きんじよとなりもらちゝなどしよる摺粉すりこ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
下町したまちはうらない。江戸えどのむかしよりして、これを東京とうきやうひる時鳥ほとゝぎすともいひたい、その苗賣なへうりこゑは、近頃ちかごろくことがすくなくなつた。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
指折ゆびをかゞめて勘定かんじようして、今晩こんばんは、よるまをせば、九晩こゝのばんひるまをせば、十日とをか經過けいかいたしましたことよ。かういふおこたへをしたのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
此冬このふゆになつて、ひるのうち炬燵こたつこしらえたのは、其日そのひはじめてゞあつた。よるうからもちひてゐたが、何時いつも六でふだけであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そのうちで、よるひるもぶっとほしにいへそばはなれずに、どうにかして赫映姫かぐやひめつてこゝろざしせようとおも熱心家ねつしんか五人ごにんありました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
〔譯〕あさにしてくらはずば、ひるにしてう。わかうして學ばずば、壯にしてまどふ。饑うるは猶しのぶ可し、まどふは奈何ともす可からず。
ひる午睡ひるねゆるされてあるので時間じかんいて器用きようかれには内職ないしよく小遣取こづかひどりすこしは出來できた。きな煙草たばことコツプざけかつすることはなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しかるにてんのぼったひめは、大空中おほぞらぢゅうのこくまもなうらさうによって、とりどもがひるかとおもうて、さぞ啼立なきたつることであらう。
獨樂こま自分じぶん一度いちどまはるはすなは地球ちきう自轉じてんといふものにて、行燈あんどうかたむきたる半面はんめんひるとなり、うら半面はんめんとなり、この一轉ひとまはり一晝夜いつちうやとするなり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
ひるつかれで何んにも知らなかつた樣子です。嘘だと思つたら、來て見て下さい。香之助どんは、いつも私の部屋へ窓から入るのですから、——」
ひるの祇園の町を歩いて濃い緑茶が喫みたいと思うたが、あがりにくくて只、歩いて行くばかりだつた。うす暗い家がつづいて益々お茶が喫みたかつた。
京洛日記 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
それからとうさんは伯父をぢさんやきちさんや友伯父ともをぢさんと一緒いつしよ東京行とうきやうゆき馬車ばしやりまして、ながなが中仙道なかせんだう街道かいだうひるよるりつゞけにつてきました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
價値ある生活の眞ん中に——ひるは、生徒たちの間で、名譽ある働きで過し、晩はひとり滿足して、繪を描き、または讀書の中に費した後に——私は、夜
つままつらん夕烏ゆふがらすこゑ二人ふたりとりぜんさいものふてるやら、あさがけに水瓶みづがめそこ掃除さうぢして、一日手桶てをけたせぬほどの汲込くみこみ、貴郎あなたひるだきで御座ございますとへば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひるのうち復習ふくしふが出來なかつたものだから、せめて電車の中でゝもと思つて、動詞どうし語尾ごび變化へんくわ夢中むちうになつてゐるうちに、いつか水道橋すゐだうばしぎてしまひ、ふとがついてみると
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
よるひるけつづけで七も十もかからなければせないおほきなうみうへをゆくのよ
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
かれひるには室内しつないまどからまど往來わうらいし、あるひはトルコふう寐臺ねだいあぐらいて、山雀やまがらのやうにもなくさへづり、小聲こゞゑうたひ、ヒヽヽと頓興とんきようわらしたりてゐるが、よる祈祷きたうをするときでも、猶且やはり元氣げんき
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
げに君はひるあとに偉大なる闇を與へ、夜天やてんの實在を示し給へど
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
ひるは日のぢく折れ朽つ
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
かぜなきひるふぢはな
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
ひるもとなりで
本部の段々で (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
う、幾日いくにちだか、ひるだかよるだかわかりません、けれども、ふつとわたし寢臺ねだいそばすわつてる……見馴みなれないひとがあつたんです。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しろ切干きりぼしさずにしたのであつた。切干きりぼしあめらねばほこりだらけにらうがごみまじらうがひるよるむしろはなしである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ひるの中に伴建部の兩人より申こしたれども惣右衞門は此節病氣にて起居たちゐも自由ならざれば今宵こよひやしき内へゆきはたらく事能はず又悴重五郎は九月中より御代官だいくわんの供を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ほがら/\といふと、夜明よあけのそらのあかるさをしめ言葉ことばです。それを、つきつてゐるそら形容けいようもちひたので、いかにもひるのようなあかるいてんかんじられます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
かれ坐禪ざぜんをするときの一般いつぱん心得こゝろえや、老師らうしから公案こうあんことや、その公案こうあん一生懸命いつしやうけんめいかじいて、あさばんひるよるかじりつゞけにかじらなくては不可いけないことやら
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
よるよ、やれ、はややれ、ローミオー! あゝ、よるひるとはおまへことぢゃ。よるつばさりたおまへは、からすいまりかゝるそのゆきしろゆるよりもしろいであらう。
一念いちねん此處こヽあつまりては今更いまさらまぎらはすべき手段しゆだんもなく、あさひるしよくをとりても、はては學校がくかうきてもしよらきても、西行さいぎやううた令孃ひめ姿すがただれてまへはなれぬに
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひる洞穴ほらあないはなどにひそんでゐますが、よるになるとして、おほきな目玉めだまをぎょろ/\させてねずみなどをさらつてあるき、薄氣味うすきみわるこゑで「ほう、ほう」と、きます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
「へエ、ひるべたつきりだが、腹一杯で何んにも欲しくねエだよ」
ひるにあらず、よるにあらざるこの一刻ひととき
カンタタ (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
五月野さつきのひるしらみ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
ひるなかば
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
えゝ、そんなおもひをして、くもあめも、みんな、したとほえます、蒼空あをぞらたかみねやかたなかに、ひるとぎをしてくらしました。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おつぎは八釜敷やかましく勘次かんじ使つかはれてひるあひだ寸暇すんかもなかつた。がひつそりとするころはおつぎは卯平うへい小屋こやなやんでこしんでやつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
畝傍山うねびやま。それには、やまが、ひるは、くもがかゝつてゐるように、ぢっとしづまつてゐて、日暮ひぐれがると、かぜすといふので、そのさわいでゐる。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
うかゞへばひるつかれかすや/\とやす寢入ねいり居り夜具の上よりゆかとほれと氷のやいばなさけなくも只一つき女は苦痛くつうの聲も得立ずあへなくもいきたえたれば仕濟しすましたりととこの下よりくだん服紗包ふくさつゝみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かれつめたい火鉢ひばちはひなかほそ線香せんかうくゆらして、をしへられたとほ坐蒲團ざぶとんうへ半跏はんかんだ。ひるのうちは左迄さまでとはおもはなかつたへやが、ちてからきふさむくなつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
行儀作法ぎゃうぎさはふ生粹きっすゐぢゃありやせん、でもほんこと仔羊こひつじのやうに、温和おとなしいひとぢゃ。さァ/\/\、小女いとよ、信心しんじんさっしゃれ。……え、もうみましたかえ、おひる食事しょくじは?
ひるゆめ獨言ひとごとにいふなさけなさ、女房にようぼうことことわすれはてゝおりき一人ひとりいのちをもこゝろか、あさましい口惜くちをしいらいひとおもふに中々なか/\言葉ことばいでずしてうらみのつゆうちにふくみぬ。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そのくらゐですからえだもおそろしくしげりひろがつてゐてあさ杵島岳きしまだけかくし、夕方ゆふがた阿蘇山あそさんおほつて、あたりはひるも、ほのぐらく、九州きゆうしゆう半分程はんぶんほど日蔭ひかげとなり、百姓ひやくしようこまいてゐたといひますが
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
夢見るひるの胸の上
カンタタ (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
ひるちず眞洞まほら
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
ひとらないぎやうをします——ひる寢床ねどこから當番たうばんをんな一人ひとり小脇こわきかゝへたまゝ、廣室ひろま駈込かけこんでたのですが、みんない! と呼立よびたてます。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
覺悟かくご今更いまさらなみだ見苦みぐるしゝとはげますはことばばかりれまづはらまぶたつゆえんとするいのちさてもはかなし此處こゝ松澤まつざは新田につた先祖累代せんぞるゐだい墓所ぼしよひるなほくら樹木じゆもくしげみを吹拂ふきはら夜風よかぜいとゞ悲慘ひさんこゑ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さてかはつたやうあがつて、ひるになると、さむさがみて、市中しちう五萬軒ごまんげん後馳おくればせのぶんも、やゝ冬構ふゆがまへなしつる。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
實家じつか上野うへの新坂下しんざかした駿河臺するがだいへのみちなればしげれるもりのした暗侘やみわびしけれど、今宵こよひつきもさやかなり、廣小路ひろこうぢいづればひる同樣どうやうやとひつけの車宿くるまやどとていへなればみちゆくくるままどからんで
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ところが、一夜いちやあけて、ひるつてもかへらない。不斷ふだんそんなしだらでないいはさんだけに、女房にようばう人一倍ひといちばい心配しんぱいした。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
たヾねかしとすてものにして、部屋へやよりそとあしさず、一心いつしんくやめては何方いづかたうつたふべき、先祖せんぞ耻辱ちじよく家系かけいけがれ、兄君あにぎみ面目めんもくなく人目ひとめはずかしく、我心わがこヽろれをめてひる
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)