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汲込
眉山の家は
本郷の
春木町の下宿屋であった。学校から帰ると、
素裸になって井戸の水を
汲込みつつ大きな声で女中を
揶揄っていた。
「同役(といつも云う、
士の
果か、
仲間の上りらしい。)は番でござりまして、
唯今水瓶へ水を
汲込んでおりまするが。」
妻や
待らん
夕烏の
聲に
二人とり
膳の
菜の
物を
買ふて
來るやら、
朝の
出がけに
水瓶の
底を
掃除して、一日
手桶を
持たせぬほどの
汲込み、
貴郎お
晝だきで
御座いますと
言へば