午刻ひる)” の例文
溜屋の寮へ着いたのは、かれこれ巳刻よつ半(十一時)——やがて午刻ひる近い刻限で、塀の下、やぶの蔭などに、昨夜ゆうべの名残の雪を、ほんの申訳ほど残している有様でした。
午刻ひるのほどより丸山におもむける稲垣の今に至りてなお帰らず、彼は一行の渡航費を持ちて行きたるなれば、その帰るまではわれら一歩ひとあしに移すあたわず、ことに差し当りて佐賀に至り
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
もう陽は午刻ひるをすぎている。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お蔵前の板倉屋忠兵衛に冷かされたのがもとで、午刻ひる過ぎから暮六つまでに、十匹釣ったら板倉屋が百両で買ってやる、十匹が一匹欠けても、伊勢屋が百両出すという約束で、六つの鐘が鳴るまで
午刻ひる過ぎごろ。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)