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午
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ひる
ふりがな文庫
“
午
(
ひる
)” の例文
「さあ、早くいつてらつしやい。おとなですね。ミスのお話をよくおぼえて来て、お
午
(
ひる
)
のときにお母ちやまに話してちようだいね。」
青い顔かけの勇士
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
そしてその日の
午
(
ひる
)
ちかく、ひづめの音や
鎧
(
よろひ
)
の気配、また号令の声もして、向ふはすつかり、この町を、囲んでしまつた模様であつた。
北守将軍と三人兄弟の医者
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
式は朝の八時から
午
(
ひる
)
近くまで掛った、午後は賜宴であったが、宗利は長く席にいないで去り、朽木大学と二人だけで庭へ出ていった。
松風の門
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
午
(
ひる
)
が少しまわったころ、峠の頂へ出た。ここには、上州と信州の国境を示す石の標柱が、嶺から平野へわたる風のなかに立っていた。
酒徒漂泊
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
午
(
ひる
)
になれど老人未だ帰らず、我は人を待つ身のつらさを好まねば、少娘と其が兄なる少年とを携へて、
網代
(
あじろ
)
と呼べる仙境に蹈入れり。
三日幻境
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
▼ もっと見る
朝とも
午
(
ひる
)
ともつかぬ食事をしてから、叔父は三時五十分ので
発
(
た
)
つと云い出した。せめて葉子が帰ってくるまで、と云って皆でとめた。
恩人
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
麗らかに照る
午
(
ひる
)
さがりの冬の日を真正面に浴びた愛宕の山が金色に輝く大気の彼方にさながら藍霞のように遠く西の空に渡っている。
黒髪
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
又
(
また
)
山脈の東側に在りては、夜の間に凍った雪が漸く溶け始める頃には、日は既に
午
(
ひる
)
を過ぎて次第に日光の直射を受けなくなるに反し
白馬岳
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
晴れた風のない日だが、ゆうべはなかなかひどいさむさであったため、手洗鉢に厚い氷がはり、北側の霜柱は
午
(
ひる
)
になっても消えない。
日記:09 一九二三年(大正十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
その日の
午
(
ひる
)
すぎにお道が貸本屋から借りた草双紙を読んでいると、お春は母の膝に取りつきながらその揷 絵を無心にのぞいていた。
半七捕物帳:01 お文の魂
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
背戸
(
せど
)
の井戸端で
午
(
ひる
)
すぎから取りかかった鶏の解剖——それは大沢の表現だったが——のあと始末やら、畑の水まきやらで忙しかった。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
先
(
せん
)
よりも、もっと立派なプリンセスになるのよ。十五万倍も立派になるのよ。——明日のお
午
(
ひる
)
から、私セエラさんに会いに行くのよ。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
何でも長蔵さんの云うところによると、これから山越をするんだが、
午
(
ひる
)
までには
銅山
(
やま
)
へ着かなくっちゃならないから急ぐんだそうだ。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
十時ごろには腰に
午
(
ひる
)
の握り飯をぶらさげて新十郎の書斎の方をニコヤカにチラチラ横目をくれながら、結城家の庭をブラブラしている。
明治開化 安吾捕物:03 その二 密室大犯罪
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
午
(
ひる
)
をすぎても五通は来なかった。そこで万は今日の新郎となる五通は自分が殺したうちの者であったかも解らないと思って喜んだ。
五通
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
もうお
午
(
ひる
)
を少しすぎた。木之助の袂はずしんずしんと横腹にぶつかるほど重くなった。
草鞋
(
わらじ
)
ばきの足にはうっすら白い
砂埃
(
すなぼこり
)
もつもった。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
あなたはお
午
(
ひる
)
から、
鱒
(
ます
)
の
游
(
およ
)
いでるのが見える池へ連れてつてやると仰しやつたぢやないの。あたしまだ鱒を見たことがないんですもの。
水車のある教会
(旧字旧仮名)
/
オー・ヘンリー
(著)
長十郎は実際ちょっと寝ようと思ったのだが、覚えず気持よく寝過し、
午
(
ひる
)
になったと聞いたので、食事をしようと言ったのである。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
しかしかれこれ
午
(
ひる
)
近くなっても、
未
(
いまだ
)
に兵衛は見えなかった。喜三郎はいら立って、さりげなく彼の参詣の有無を寺の門番に尋ねて見た。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして、今夜にも火事が
打始
(
ぶつぱじま
)
らねえ者でも
無
(
ね
)
えといふので、若い者が
午
(
ひる
)
から学校へ寄り
集
(
あ
)
つて、喞筒の稽古を
為
(
し
)
て居るんでごわす。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
ところが、
午
(
ひる
)
近くになって、早苗が左枝の
扉
(
ドア
)
を叩いたのであったが、しかし返事がないので、まだ彼が睡っているのだなと思った。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
午
(
ひる
)
ごろ
茨木
(
いばらき
)
に着き、
小憩
(
しょうけい
)
のあいだに、秀吉は諸方の情報を聞きあつめ、また前進をつづけ、茨木と
高槻
(
たかつき
)
の中間、
富田
(
とんだ
)
に陣営をさだめた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
北国
(
ほっこく
)
街道から西に入った
黒姫山
(
くろひめやま
)
の裾野の中、雑木は時しもの新緑に、
午
(
ひる
)
過ぎの強烈な日の光を避けて、
四辺
(
あたり
)
は薄暗くなっていた。
怪異黒姫おろし
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
同時に母親は其の場に倒れて昏睡状態に陥り、翌日の
午
(
ひる
)
過ぎになってやっと正気づいた。で、宵の事を訊いてみたが、何も知らなかった。
母親に憑る霊
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そのまにも試合は番組通りに開始されて、最初の十二番の槍術が
滞
(
とどこお
)
りなく終ってから、呼びものの馬術にかかったのが丁度お
午
(
ひる
)
。
旗本退屈男:03 第三話 後の旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
午
(
ひる
)
すぎに、ちょっとさしかけた薄陽は、また雨雲にとざされ、墨色の荒天の下に、冬の海が白い浪の穂を散らして
逆
(
さか
)
巻いている。
キャラコさん:01 社交室
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
曉方
(
あけがた
)
からの雨は
午
(
ひる
)
少し過ぎに
霽
(
あが
)
つた。庭は飛石だけ先づ乾いて、子供等の散らかした草花が生々としてゐる。池には鯉が跳ねる。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それに
午
(
ひる
)
近くになってぽつりぽつりと雨さえばらつき出すと、風までが、これに加わって、どうにも怪しい雲行きと変って来た。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
その明くる日、ナオミは私から二百円
貰
(
もら
)
って、一人で三越へ行き、私は会社で
午
(
ひる
)
の休みに、母親へ
宛
(
あ
)
てて始めて無心状を書いたものです。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
非常に
遅
(
おそ
)
く
午
(
ひる
)
ごろに起き上がった。不眠症にかかっていて、明け方にならなければ眠れないのだった。昼間は何にもしなかった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
渡れば喜十六の
山麓
(
さんろく
)
にて、十町ばかり登りて
須巻
(
すまき
)
の
滝
(
たき
)
の湯有りと教へらるるままに、
遂
(
つひ
)
に
其処
(
そこ
)
まで往きて、
午
(
ひる
)
近き頃宿に帰りぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
午
(
ひる
)
にも晩にも食事の度々わたしは強い珈琲にコニャックもしくはキュイラソォを
濺
(
そそ
)
ぎ、角砂糖をば大抵三ツほども入れていた。
砂糖
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
あくる朝——といつてもお
午
(
ひる
)
ちかく起きると、千恵はそんな夢のことより、N会堂のことが気になつて気になつて仕方がありませんでした。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
午
(
ひる
)
すこしまえから急に小ぶりになって、まだ雪のある
甲斐
(
かい
)
の山々がそんな雨の中から見えだしたときは、何んともいえずすがすがしかった。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
小僧 お
午
(
ひる
)
下がりに用たしに行って来ると言って出られました。もうお帰りになりましょう。晩のお勤めまでには帰ると申されましたから。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
もう間もなくお
午
(
ひる
)
だな——彼はさう思つただけで動かなかつた。いつもの通り彼は、まだこの上一時間か二時間はうと/\して過す筈だつた。
スプリングコート
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
街路樹の影が、
午
(
ひる
)
さがりの陽ざしにくろぐろと落ちていた。石ころを二つ三つよごれた靴で蹴とばしているうちにしみじみ
苦力頭の表情
(新字新仮名)
/
里村欣三
(著)
ところが今度は、翌日の
午
(
ひる
)
ごろまでは、この殺人事件に関する会話はいっさいしたくないというのが彼の気分なのであった。
モルグ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
その翌日の
午
(
ひる
)
さがり、警視庁の
大江山
(
おおえやま
)
捜査課長は、
昨夜来
(
さくやらい
)
詰
(
つ
)
めかけている新聞記者団にどうしても一度会ってやらねばならないことになった。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「成程お
午
(
ひる
)
だ。」と
呟
(
つぶや
)
き、「
近
(
ちか
)
の腹の
減
(
へ
)
ツたのが當前で、
俺
(
おれ
)
の方が病的なんだ。一體俺の體は
何故
(
なぜ
)
此樣
(
こん
)
なに弱いのだらう。」
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
そちこち
午
(
ひる
)
すぎだ、帰れば都合で
膳
(
ぜん
)
も出そうし、かたがた面倒だ。一曲か二曲か、太神楽の
納
(
おさま
)
るまで、とまた寺の方へ。——
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
本所の化物屋敷鈴川の家には、
午
(
ひる
)
さがりながら暗い冷気が
鬱
(
うっ
)
して、人家のないこのあたりは墓所のようにひっそりしていた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
お
午
(
ひる
)
の御飯をすまして、また書物にかぢりついてゐました処に、あなたのお手紙が来たのです。また少し会ひたいと云ふ気持が起つて来ました。
書簡 大杉栄宛:(一九一六年五月一日)
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
わたしがその林のなかにはいりこんだのはちょうど
午
(
ひる
)
どきで、自然はことのほか静かで、わたしは自分の銃のとどろく音にもおどろいたものだ。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
そして『僕一寸其所まで行つて來たいから少し此所で待つて居て呉れたまへ、遲くもお
午
(
ひる
)
までには歸つて來るから』と指井は
匆々
(
さつさ
)
と出て行つた。
媒介者
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
数へ切れぬ程沢山打てば十二時で
午
(
ひる
)
だと云ふことを知つてゐる。最後の時計の音と同時に、
可哀
(
かはい
)
らしい声が耳元で囁く。「おぢいさん、お午。」
老人
(新字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
ところが、その日の
午
(
ひる
)
過ぎに速達郵便が着きました。表には差出人の名は書いてありませんでしたが、妾はすぐにあの人からだと直覚しました。
華やかな罪過
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
午
(
ひる
)
飯には三本のお酒の注文があり、その他に餅菓子の注文もした。名所絵葉書十枚、巻紙封筒をも取寄せて両人はしきりに書面を
認
(
した
)
ためていた。
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
翌廿五日
午
(
ひる
)
過ぎの新宿発の汽車で、岡麓さんは今井邦子さん、
築地藤子
(
つきぢふぢこ
)
さん、
阪田幸代
(
さかたさちよ
)
さんの三人を連れて信濃に立つた。
島木赤彦臨終記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
丁度夏の
午
(
ひる
)
前の事で、女客は顔の汗を拭き/\感心したやうに
幾度
(
いくたび
)
か首を
掉
(
ふ
)
つて
聴
(
き
)
き
惚
(
と
)
れてゐたが、暫くすると発明家の顔を振り向いて訊いた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
“午”の意味
《名詞》
うま。十二支の7番目。
(出典:Wiktionary)
“午”の解説
午(うま、ご)は、十二支のひとつ。通常十二支の中で第7番目に数えられる。
前は巳、次は未である。
(出典:Wikipedia)
午
常用漢字
小2
部首:⼗
4画
“午”を含む語句
正午
午後
午餐
午食
午飯
午前
午刻
午砲
午睡
午下
午餉
午時
正午頃
庚午
正午過
正午前
甲午
壬午
午餐会
午過
...