ひる)” の例文
余りの可恐おそろしさに直行は吾を忘れてその顔をはたとち、ひるむところを得たりととざせば、外より割るるばかりに戸を叩きて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
心得たる男なれば宅兵衞がすきうかゞひ持たる太刀たちを打落しひるむ處をつゞけ打におもて目掛めがけて討ければ宅兵衞はまなこくらみて蹌踉よろめくを吾助は得たりと落たる刀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ちようあたりてひるむその時、貫一は蹶起はねおきて三歩ばかりものがれしを打転うちこけし檳榔子のをどかかりて、拝打をがみうちおろせる杖は小鬢こびんかすり、肩をすべりて、かばん持つ手をちぎれんとすばかりにちけるを
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)