午後ひる)” の例文
それできょうも朝五銭、午後ひるに六銭だけようやくかせいで、その六銭を今めし屋でつかってしまった。五銭は昼めしになっているから一もんも残らない。
窮死 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
なアに午後ひるからだつていゝ、若し絵具が塗り切れなくつても、下書さへしてゆけば、あとは自家へ帰つてからでも出来るから……と、そんなことを呟きながら——。
清一の写生旅行 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
午後ひるからは病院に通勤する朝の内だけは、内科と外科としかるべき助手を両名使って、なお詰めかける患者を引受け切れず、外神田に地を選んで、住所の町名をそのまま
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
嘉門は午後ひるからやって来て、今は夜、夜になっても、仲々去らず、去らせようともせず、奥の座敷の酒宴の席は、涌き立つように賑わってい、高張を二張り門に立てて、砂を敷き盛砂さえした
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
子らは午後ひるぎをかへりゆく
忘春詩集:02 忘春詩集 (新字旧仮名) / 室生犀星(著)