午食ひる)” の例文
「イヤ未だ腹が一向かん。会社だと午食ひるの弁当が待遠いようだけどなア」と言いながら其処を出て勝手の座敷から女中部屋までのぞきこんだ。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
正午ひるといえば、あなた、午食ひるはまだなんだろう? ……さて、なにを、ご馳走しようか。昨日きのう帰ったばかりだから、ろくなこともできまいけど……」
キャラコさん:06 ぬすびと (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
純一は先きへ下駄を引っ掛けて、植木屋の裏口をのぞいて、午食ひるをことわって置いて、大村と一しょに歩き出した。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
新坊が泣き出しでもすると譯もなく腹立しくなる。幾度も幾度も室の中を片附けてゐるうちに、午食ひるになつた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
村から来てもらった三台の荷馬車と、厚意で来てくれた耶蘇教信者仲間の石山氏、角田新五郎氏、臼田うすだ氏、角田勘五郎氏の息子、以上四台の荷車に荷物をのせて、午食ひる過ぎに送り出した。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
午食ひるの点心をすますと、一清はぜひなげに
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
指の先まで皺のよったあわれなようすをした白髪頭の老人で、庭木の苗木をすこしばかり積んだ馬車をいてきて、いつもここで午食ひるをつかっている。
キャラコさん:10 馬と老人 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「おホホホホ『何です』だって。お午食ひるは何にも有りませんよ」
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「では、おれは、午食ひるをつかってくるけに、しばらくここで待っていろ、いいか」
キャラコさん:10 馬と老人 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
最早もう直ぐ十二時でしょうよ。お午食ひるにしましょうか」
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)