逡巡たじろ)” の例文
ここで逡巡たじろいだりして、老人に見放されては大変だと思ったので、言わるるままに、両手両足とを使い向いあった壁の間に自分の身体を橋渡しした。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
例えば、蟹だか蛸だか鮟鱇あんこうだか正体えたいの判らぬ魚を眼前めさきへ突き付けて、「さあ、これうまく食わしてれ」と云われては、大抵の料理番もいささ逡巡たじろぐであろう。いわんや素人の小生に於てをや。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
どうもこれにゃ逡巡たじろいで、二人で顔を見合せたんだ。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)