“ためら”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:タメラ
語句割合
躊躇51.4%
猶予18.4%
逡巡12.3%
9.9%
猶豫3.8%
2.8%
0.9%
0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
行かぬといへば何となく済まぬ様なりて、少しく躊躇ためらつて居ると、母も出て参り升たから、母に頼んで諦めてらはうと思ひつき升た。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
いやでござりますともさすがに言いかねて猶予ためらう光代、進まぬ色を辰弥は見て取りて、なお口軽に、私も一人でのそのそ歩いてはすぐに飽きてしまってつまらんので
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
そうして初めてなごやかに微笑って私の手にその手を結びつけ幾度か逡巡ためらいいくらか羞かしそうに口のうちで「お父さん」とそう呼びかけた。
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
戸を開けて恐る恐る外を見て私はためらった。ヒューヒュー風が吹いていて外はくらだった。遠くの方からかちかちと火の番の拍子木ひょうしぎの音が聞える。
……雨風あめかぜ猶豫ためらつて、いざと間際まぎはにも、卑怯ひけふに、さて發程たたうか、めようかで、七時しちじ急行きふかう時期じきごし、九時くじにもふか、ふまいか。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかる内近村に久しく行商を営み、諸方の俗伝に精しき老人この件に関して秘説を持つと聞いて少しもためらわず。
「あああの手紙だっか。あれは——」と帳場氏は言葉を切ってちょっとためらった。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
直道の隣に居たる母はひそかに彼のコオトのすそを引きて、ことばを返させじと心づくるなり。これが為に彼は少しくためらひぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼のせはしげに格子をあくるを待ちて、紳士は優然と内にらんとせしが、土間の一面に充満みちみちたる履物はきものつゑを立つべき地さへあらざるにためらへるを、彼はすかさず勤篤まめやか下立おりたちて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)