ためら)” の例文
旧字:
直道の隣に居たる母はひそかに彼のコオトのすそを引きて、ことばを返させじと心づくるなり。これが為に彼は少しくためらひぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼のせはしげに格子をあくるを待ちて、紳士は優然と内にらんとせしが、土間の一面に充満みちみちたる履物はきものつゑを立つべき地さへあらざるにためらへるを、彼はすかさず勤篤まめやか下立おりたちて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
わづかにかく言ひしのみにて、彼は又ためらひぬ、そのひげあぶに苦しむ馬の尾のやうにふるはれつつ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)