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後退
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あとじさ
ふりがな文庫
“
後退
(
あとじさ
)” の例文
彼はやがて不意にぶるぶると全身を
顫
(
ふる
)
わして
後退
(
あとじさ
)
りしたが又、
卓子
(
テーブル
)
に両手をかけて女を見入った。女に近づこうとして又立ち
竦
(
すく
)
んだ。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
信一郎は、ともすれば
後退
(
あとじさ
)
りしさうな自分の決心に、頻りに拍車を与へながら、それでも最初の目的
通
(
どほり
)
、夫人と戦つて見ようと決心した。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
ぼんやりうつむいている多津吉を
打撞
(
ぶつか
)
ったように見ると、眉はきりりとしたが優しい目を、驚いた
様
(
さま
)
に
睜
(
みは
)
りながら、
後退
(
あとじさ
)
りになって隠れたが。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
みんなは、
後退
(
あとじさ
)
りをしました。それでついに、
救
(
すく
)
いに
出
(
で
)
かけるものはありませんでした。みんなは、
口々
(
くちぐち
)
にこういいました
黒い人と赤いそり
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
駅長は前よりは一層丁寧にお辞儀をして、小走りに
彼方
(
あつち
)
へ往つたと思ふと、暫くすると、貨車はまたごとごとと音を立てて、
後退
(
あとじさ
)
りを始めた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
三四歩
後退
(
あとじさ
)
りをすると、公園に散歩にでも来たお嬢さんのような、なにげないようすで老人のほうへ歩み寄りながら、こんなふうに声をかける。
キャラコさん:10 馬と老人
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
三尺たらず
後退
(
あとじさ
)
った位置に、頼春は立っていた。右手で太刀をふり冠り、左手で青竹の杖を持ち、同じ姿勢で立っていた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「…………」陳君は、怪老人の不気味な一言に、ぞッと
身顫
(
みぶる
)
いして
後退
(
あとじさ
)
りした。老人は、自ら亡霊ではないと云ったが、血の通った人間とは信じられない。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
芋蟲
(
いもむし
)
がこんな
詰
(
つま
)
らぬ
念
(
ねん
)
を
押
(
お
)
すので
少
(
すこ
)
し
焦心
(
じれ
)
ッたくなつて、やゝ
後退
(
あとじさ
)
りして
極
(
きは
)
めて
眞面目
(
まじめ
)
に
構
(
かま
)
へて、『お
前
(
まへ
)
こそ
誰
(
だれ
)
だ、一
體
(
たい
)
前
(
さき
)
に
話
(
はな
)
すのが
當然
(
あたりまへ
)
ぢやなくッて』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
あっと云って
後退
(
あとじさ
)
る女房の声と同時に、ぱったりそこへ倒れて、無残、それから後は病の床、頬はこける眼は窪む、夜昼となしの
譫言
(
うわごと
)
に、あの小歌めが、あの小歌めが。
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
まるで
意識
(
こころ
)
の伴はぬ
空虚
(
うつろ
)
な動作で何かと辺りへ爪繰るやうな手を動かしたが、煮えたつ鍋にふと手を掛けてアッと叫びさま指を銜え、大袈裟に音けたたましく
後退
(
あとじさ
)
りした。
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
日吉は、土間の口まで、
後退
(
あとじさ
)
りに退った。その間も、眼は、母とおつみの姿から離れなかった。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この人造犬は、足音をさせたり口笛を吹いたりすると、その音が送話器から電流を通じてモートルに働きかけ、その結果として犬は
後退
(
あとじさ
)
りをしながら「ウーウー」とうなる。
人造物語
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼はそれらの光に眼くらんで
後退
(
あとじさ
)
った。そのうちしだいに驚きの情が去り、それらの光輝になれ、
眩惑
(
げんわく
)
なしにそれらの事業をながめ、恐怖の情なしにそれらの人々を見調べた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
膝
(
ひざ
)
のあたりまではいつた新太郎ちやんが、何か棒のやうなものを、水の中へさしこんで、ちやうど石けりの線をひく時のやうな
恰好
(
かつかう
)
で、ゆるゆると
後退
(
あとじさ
)
りしてゐる姿が小さく見えた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
と、それから間もなくのこと、ようやく、暁ちかい光がはじまろうとするところ、ふいに私の目のまえにまっ黒なものが現われた。ぎょっとして、それを見つめながら、じりじりと
後退
(
あとじさ
)
っていった。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
伸子は三保の弁舌に
後退
(
あとじさ
)
りするような気がした。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
野村はタヂタヂと二三歩
後退
(
あとじさ
)
つた。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と卓造君は
後退
(
あとじさ
)
りをした。
村の成功者
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
信一郎は、ともすれば
後退
(
あとじさ
)
りしそうな自分の決心に、
頻
(
しき
)
りに拍車を与えながら、それでも最初の目的
通
(
どおり
)
、夫人と戦って見ようと決心した。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
万平は
禿頭
(
はげあたま
)
の見幕に震え上った。起上りながら
後退
(
あとじさ
)
りをした。その時に最前の娘が、暗い小格子からチラリと顔を出した。
芝居狂冒険
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
二人斃された一ツ橋家の武士ども、太刀を構えたまま
後退
(
あとじさ
)
り、次第次第に下がったが、岩角まで行くと背中を見せ、一
斉
(
せい
)
に岩蔭へ引いてしまった。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「うむ……」と詩人は
呻
(
うめ
)
くやうな声をして、少し
後退
(
あとじさ
)
りした。まるで見知らぬ男の掌面に
怖気
(
おぢけ
)
づいたやうだつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
木
(
き
)
の
下
(
した
)
に
徉徜
(
さまよ
)
つてると
何處
(
どこ
)
ともなく
叱
(
し
)
ッと
云
(
い
)
ふ
聲
(
こゑ
)
がしたので、
思
(
おも
)
はず
愛
(
あい
)
ちやんは
後退
(
あとじさ
)
りしました、ト一
羽
(
は
)
の
大
(
おほ
)
きな
鳩
(
はと
)
が
顏
(
かほ
)
に
飛
(
と
)
びついて、
翼
(
つばさ
)
を
以
(
もつ
)
て
激
(
はげ
)
しく
愛
(
あい
)
ちやんを
搏
(
う
)
ちました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
と
後退
(
あとじさ
)
って、向うざまに
顱巻
(
はちまき
)
を占め直した。手をそのまま、花火のごとく上へ開いて
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
而して、驚いて、声を立てんばかりに
後退
(
あとじさ
)
りをして、眼を見張った。
凍える女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
少しづつ
後退
(
あとじさ
)
るのであつた。
蝉:――あるミザントロープの話――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
後退
(
あとじさ
)
りをして玄関の外へ出ましたが、それから無我夢中であの岩山の上に駈登って、ボートの処へ降りようと致しますと
S岬西洋婦人絞殺事件
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と
腹
(
はら
)
をだぶ/\、
身悶
(
みもだ
)
えをしつゝ、
後退
(
あとじさ
)
りに
成
(
な
)
つた。
唯
(
と
)
、どしん、と
尻餅
(
しりもち
)
をついた。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と、黒鴨の武士であるが、別に切り込んで行こうとはせず、あべこべにヒョイと
後退
(
あとじさ
)
ると、ダラリと両手を両脇へ下げ、それからまたも懐手をしたが、薄っペラの調子で
喋舌
(
しゃべ
)
り出した。
前記天満焼
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それを見た老人は黙つて二歩三歩
後退
(
あとじさ
)
りをしました。
山雀
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そうして
室
(
へや
)
の中に、そんなものがない事がわかると、老人のように腰を屈めたまま、又も、キット女の横頬を見詰めながらじりじりと
後退
(
あとじさ
)
りをした。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
どれも
抱着
(
だきつ
)
きもせず、足へも
縋
(
すが
)
らぬ。絶叫して目を覚ます……まだそれにも及ぶまい、と見い見い
後退
(
あとじさ
)
りになって、ドンと突当ったまま、
蹌踉
(
よろ
)
けなりに投出されたように
浅茅生
(
あさぢう
)
へ出た。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
刀の柄へ手をかけながら、顫え
後退
(
あとじさ
)
りし大弥太は叫んだ。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
呉羽はピストルを取落しヨロヨロと
後退
(
あとじさ
)
りして踏止まり、両袖を胸に抱き締めて一心に生蕃小僧の顔を見詰める。
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
戸外
(
おもて
)
は
限
(
かぎり
)
もない狐火のようにちらちらちらちら炎だらけ。はッと
後退
(
あとじさ
)
りに飛ぶ拍子に慌ててつんのめって、
仰向
(
あおの
)
けに倒れたやつでさ。もう天井から
紅
(
あか
)
い舌を吐いてるじゃアありませんか。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうして直ぐにも
室
(
へや
)
の中に飛び込もうとしたが、まだ一歩も踏み出さないうちに反対に
後退
(
あとじさ
)
りをした。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と車掌も大事件の肩を掴まえているから、息
急
(
せ
)
いて、四五人押込もうとする待合わせの乗組を制しながら、
後退
(
あとじさ
)
りに身を
反
(
そ
)
らせて、曲者を釣身に出ると、両手を
突張
(
つっぱ
)
って礼之進も続いて、どたり。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
津村記者は全身にジットリと汗を
掻
(
か
)
き
乍
(
なが
)
ら
焦々
(
じりじり
)
と
後退
(
あとじさ
)
りをし始めた。
殺人迷路:07 (連作探偵小説第七回)
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
鉄砲を
取直
(
とりなお
)
しながら
後退
(
あとじさ
)
りに
其処
(
そこ
)
を出た。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
眼の前に徳市が坐っているので驚いて
後退
(
あとじさ
)
りをした。
黒白ストーリー
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
と
子守女
(
こもり
)
たちは見幕に恐れて
後退
(
あとじさ
)
りをした。
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
吾輩は
後退
(
あとじさ
)
りをした。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“後退”の解説
後退(こうたい、en: retrograde movement)は、現代戦術論において、現在の戦況の改善を目的とし、戦闘を中止して敵との交戦を回避しつつ前線に対して後方への機動、または敵から距離を置く戦術行動である。後退行動とも呼ばれる。
(出典:Wikipedia)
後
常用漢字
小2
部首:⼻
9画
退
常用漢字
小6
部首:⾡
9画
“後”で始まる語句
後
後生
後方
後悔
後姿
後家
後手
後日
後世
後裔