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うしろすがた
ふりがな文庫
“
後姿
(
うしろすがた
)” の例文
ら
降
(
おり
)
たつ
後姿
(
うしろすがた
)
見送
(
みおく
)
る
物
(
もの
)
はお
八重
(
やへ
)
のみならず
優子
(
いうこ
)
も
部屋
(
へや
)
の
障子
(
しようじ
)
細目
(
ほそめ
)
に
明
(
あ
)
けて
言
(
い
)
はれぬ
心〻
(
こゝろ/\
)
を三
郎
(
らう
)
一人
(
ひとり
)
すゞしげに
行々
(
ゆく/\
)
吟
(
ぎん
)
ずる
詩
(
からうた
)
きゝたし
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
取残された兼太郎は
呆気
(
あっけ
)
に取られて、寒月の光に若い男女が
互
(
たがい
)
に手を取り肩を摺れ
合
(
あわ
)
して行くその
後姿
(
うしろすがた
)
と地に
曳
(
ひ
)
くその影とを見送った。
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
餘所
(
よそ
)
の
女
(
をんな
)
の
子
(
こ
)
は
大抵
(
たいてい
)
は
綺麗
(
きれい
)
な
赤
(
あか
)
い
帶
(
おび
)
を
締
(
し
)
めて、ぐるりと
褰
(
から
)
げた
衣物
(
きもの
)
の
裾
(
すそ
)
は
帶
(
おび
)
の
結
(
むす
)
び
目
(
め
)
の
下
(
した
)
へ
入
(
い
)
れて
只管
(
ひたすら
)
に
後姿
(
うしろすがた
)
を
氣
(
き
)
にするのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
一彦はただ一言「うん」とこたえたまま、老人の
後姿
(
うしろすがた
)
をじっと見つめていました。その顔には、ただならぬ真剣な色がうかんでいました。
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
人家の
珊瑚木
(
さんごのき
)
の
生籬
(
いけがき
)
を廻って太田君の
後姿
(
うしろすがた
)
は消えた。残る一人は淋しい心になって、西北の空を横眼に見上げつゝ
渡
(
わたし
)
の方へ歩いて行った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
彼女は誰も自分の
傍
(
そば
)
にいないので、せっかく出来上った
滑稽
(
こっけい
)
な
後姿
(
うしろすがた
)
も、眼と眼で笑ってやる事ができないのを物足りなく思った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それはどういうときだというと、おまえに
肖
(
に
)
た青年の
後姿
(
うしろすがた
)
を見たとき、おまえの家へ残して行った
稽古
(
けいこ
)
用品や
着古
(
きふる
)
した着物が
取出
(
とりだ
)
されるとき。
巴里のむす子へ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
かくて邸内遊覧の所望ありければ、
先
(
ま
)
づ西洋館の三階に案内すとて、
迂廻階子
(
まはりばしご
)
の
半
(
なかば
)
を
昇行
(
のぼりゆ
)
く
後姿
(
うしろすがた
)
に、その客の
如何
(
いか
)
に貴婦人なるかを
窺
(
うかが
)
ふべし。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
涙ぐみて
彳
(
たたず
)
む時、ふと見る
銀杏
(
いちよう
)
の木のくらき夜の空に、
大
(
おおい
)
なる
円
(
まる
)
き影して茂れる下に、女の
後姿
(
うしろすがた
)
ありてわが
眼
(
まなこ
)
を
遮
(
さえぎ
)
りたり。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
貴君
(
あなた
)
が忿然として座を立たれたとき、
妾
(
わたくし
)
が止めるのも、肯かず、憤然として、お帰り遊ばす
後姿
(
うしろすがた
)
を見たとき、この
方
(
かた
)
こそ
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
そんな
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
いまして、
途中
(
とちゅう
)
で
私
(
わたくし
)
とすれ
違
(
ちが
)
う
時
(
とき
)
などは、
土地
(
とち
)
の
男
(
おとこ
)
も
女
(
おんな
)
も
皆
(
みな
)
泪
(
なみだ
)
ぐんで、いつまでもいつまでも
私
(
わたくし
)
の
後姿
(
うしろすがた
)
を
見送
(
みおく
)
るのでございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
私たちはその
後姿
(
うしろすがた
)
をみおくって、大
笑
(
わら
)
いをしながら、
後
(
おく
)
らした
時間
(
じかん
)
をとりかえすために、汽車を
全速力
(
ぜんそくりょく
)
で走らせました。
ばかな汽車
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
音のしない様に注意して石段を降りると、すぐ目の前に畸形児の
後姿
(
うしろすがた
)
が見えた。彼は先方に気づかれぬ様に、適度の間隔を保って尾行して行った。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
大井はその
後姿
(
うしろすがた
)
を目送しながら、わざとらしく大きな声で笑い出したが、すぐに
卓子
(
テエブル
)
の上のウイスキイをぐいとやって
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
女房は豆腐を入れた
岡持
(
おかもち
)
と
番傘
(
ばんがさ
)
を
提
(
さ
)
げて出て往った。主翁はその
後姿
(
うしろすがた
)
を見送っていたが、
障子
(
しょうじ
)
が閉まると舌うちした。
黄灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
だんだん小さくなつてゆく
後姿
(
うしろすがた
)
を見送りながら、武助さんは、われを忘れて、船の中に突つ立つてゐたが、やがて
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
強
(
し
)
ひて老人の
衣嚢
(
かくし
)
へ押込んで置いて早足に墓を出た。門を出る時一度振返つて見たら、よろよろして墓の奥へ
入
(
はひ
)
つて行く
後姿
(
うしろすがた
)
が石碑の間へ影の如く消えた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「あすこでござんすよ。あの
筆屋
(
ふでや
)
の
前
(
まえ
)
から
両替
(
りょうがえ
)
の
看板
(
かんばん
)
の
下
(
した
)
を
通
(
とお
)
ってゆく、あの
頭巾
(
ずきん
)
をかぶった
後姿
(
うしろすがた
)
。——」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
時流外
(
なみはづ
)
れに粗大なる布衣を着て
鐵卷
(
くろがねまき
)
の丸鞘を
鴎尻
(
かもめじり
)
に
横
(
よこた
)
へし
後姿
(
うしろすがた
)
を、蔭にて
指
(
ゆびさ
)
し笑ふ者も少からざりし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
真
(
まこと
)
に
情
(
なさけ
)
の有りそうなお方と世間知らずの
生
(
うぶ
)
な娘もぞっと身に
染
(
し
)
む
恋風
(
こいかぜ
)
に、
何処
(
どこ
)
の人だか知れませんが
好
(
よ
)
い息子さんだと思い
初
(
そ
)
め、ぼんやりとして
後姿
(
うしろすがた
)
を見送って居りました。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
深まった黄昏の石段を、雪之丞役者は、女性よりも優美な
後姿
(
うしろすがた
)
を見せて下りて行った。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
潤
(
うるほ
)
ひのある眼で小池の
後姿
(
うしろすがた
)
を見詰めつゝ、お光は
斯
(
か
)
う言つて、帶の間から赤い裏のチラ/\と
陽炎
(
かげろふ
)
のやうに見える小ひさな紙入れを取り出し、白く光るのを一つ紙に包んで、
賽錢箱
(
さいせんばこ
)
に投げ込み
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
云
(
いっ
)
たがその時は別に
奇
(
あや
)
しいとも思わず、それは結構だ早く二階へ上ってお
寝
(
ね
)
と
云
(
いわ
)
れ当人が二階へ上って行く
後姿
(
うしろすがた
)
を認めた頃、ドンドンと門を叩く者がある、下女を
起
(
おこ
)
して
聞
(
きか
)
せるとこれは病院の
使
(
つかい
)
で
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
此
(
この
)
家
(
いへ
)
を
去
(
さ
)
る
事
(
こと
)
十
數町
(
すうちやう
)
の
彼方
(
かなた
)
に、
一帶
(
いつたい
)
の
灣
(
わん
)
がある、
逆浪
(
げきらう
)
白
(
しろ
)
く
岩
(
いわ
)
に
激
(
げき
)
して
居
(
を
)
るが、
其
(
その
)
灣中
(
わんちう
)
、
岩
(
いわ
)
と
岩
(
いわ
)
とが
丁度
(
ちやうど
)
屏風
(
びやうぶ
)
のやうに
立廻
(
たてまわ
)
して、
自然
(
しぜん
)
に
坩※
(
るつぼ
)
の
形
(
かたち
)
をなして
居
(
を
)
る
處
(
ところ
)
、
其處
(
そこ
)
に
大佐
(
たいさ
)
の
後姿
(
うしろすがた
)
がチラリと
見
(
み
)
えた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
寝くたれ髪が長く垂れて
少女
(
をとめ
)
のやうな
後姿
(
うしろすがた
)
であつた。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
後姿
(
うしろすがた
)
のなかれけり。
どんたく:絵入り小唄集
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
後姿
(
うしろすがた
)
は楯のようだ。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
後姿
(
うしろすがた
)
の
肩
(
かた
)
の雪かな
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
おまえの
後姿
(
うしろすがた
)
は
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
後姿
(
うしろすがた
)
見せて
十五夜お月さん
(旧字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
私は単に好奇心のために、並んで浜辺を下りて行く二人の
後姿
(
うしろすがた
)
を見守っていた。すると彼らは
真直
(
まっすぐ
)
に波の中に足を踏み込んだ。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
勘次
(
かんじ
)
はそれを
聞
(
き
)
くに
堪
(
た
)
へないで、
彼
(
かれ
)
は
其
(
そ
)
の
夜
(
よ
)
に
限
(
かぎ
)
つて
自分
(
じぶん
)
で
與吉
(
よきち
)
の
手
(
て
)
を
曳
(
ひ
)
いて
自分
(
じぶん
)
の
家
(
うち
)
へと
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
へ
身
(
み
)
を
沒
(
ぼつ
)
した。
若
(
わか
)
い
衆
(
しゆう
)
は三
人
(
にん
)
の
後姿
(
うしろすがた
)
を
見
(
み
)
て
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
習慣で、どんなに遅くっても、就床前に必ず歯を磨く前川が、室内の奥についている
洗面所
(
ウォッシュ・スタンド
)
の方へ歩いて行く
後姿
(
うしろすがた
)
に
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
は
其
(
そ
)
の
後姿
(
うしろすがた
)
を
見送
(
みおく
)
ると
又
(
また
)
更
(
さら
)
に
恨
(
うら
)
めしいあの車を
見送
(
みおく
)
つた時の一
刹那
(
せつな
)
を
思起
(
おもひおこ
)
すので、もう
何
(
なん
)
としても
我慢
(
がまん
)
が
出来
(
でき
)
ぬといふやうにベンチから
立上
(
たちあが
)
つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
彼は音吉爺やが、あの恐ろしい兇賊その人ででもある様に、恐怖に満ちたまなざしで、立去る彼の
後姿
(
うしろすがた
)
を見送った。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「
貫一
(
かんいつ
)
さん」と
匐
(
は
)
ひ寄らんとするを、
薄色魚子
(
うすいろななこ
)
の羽織着て、
夜会結
(
やかいむすび
)
に
為
(
し
)
たる
後姿
(
うしろすがた
)
の女は
躍
(
をど
)
り
被
(
かか
)
つて
引据
(
ひきすう
)
れば
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
遠
(
とお
)
くなるにつれてだんだん小さく、
帽子
(
ぼうし
)
の下に白いハンケチの目かくしをしたその
後姿
(
うしろすがた
)
が、まるで人形のようで……そしてふしぎにも、まっすぐに歩いていきます。
風ばか
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
その
容子
(
ようす
)
が余り
無遠慮
(
ぶえんりょ
)
すぎたせいか、吉井は陳の
後姿
(
うしろすがた
)
を見送ったなり、ちょいと両肩を
聳
(
そび
)
やかせた。
影
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
道夫は全身を電気に撃たれたように感じ、怪しい影の
後姿
(
うしろすがた
)
を見つめたままその場に立ちすくんだ。
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「それ、
頭
(
あたま
)
が
危
(
あぶな
)
いわ。」「
合點
(
がつてん
)
だ。」といふ
下
(
した
)
から、コツン。おほゝゝほ。「あゝ
殘念
(
ざんねん
)
だ、
後姿
(
うしろすがた
)
だ。いや、えり
脚
(
あし
)
が
白
(
しろ
)
い。」といふ
所
(
ところ
)
を、シヤンに
振向
(
ふりむ
)
かれて、
南無三寶
(
なむさんばう
)
。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
藤吉
(
とうきち
)
にも、
何
(
な
)
んで
師匠
(
ししょう
)
が
堺屋
(
さかいや
)
を
待
(
ま
)
たせるのか、一
向
(
こう
)
合点
(
がってん
)
がいかなかったが、
張
(
は
)
り
詰
(
つ
)
めていた
気持
(
きもち
)
が
急
(
きゅう
)
に
緩
(
ゆる
)
んだように、しょんぼりと
池
(
いけ
)
を
見詰
(
みつ
)
めて
立
(
た
)
っている
後姿
(
うしろすがた
)
を
見
(
み
)
ると
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
と部屋着の
裾
(
すそ
)
をぽんとあおって、廊下をばた/\駈出して行った時は、又市は
後姿
(
うしろすがた
)
を見送って、
真青
(
まっさお
)
に
顔色
(
がんしょく
)
を変えて、ぶる/\
慄
(
ふる
)
えて、うーんと藤助の腕を逆に
捻
(
ねじ
)
り上げました。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
網代
(
あじろ
)
の笠に
夕日
(
ゆふひ
)
を
負
(
お
)
うて立ち去る瀧口入道が
後姿
(
うしろすがた
)
、
頭陀
(
づだ
)
の袋に
麻衣
(
あさごろも
)
、鐵鉢を
掌
(
たなごゝろ
)
に
捧
(
さゝ
)
げて、八つ目のわらんづ踏みにじる、形は
枯木
(
こぼく
)
の如くなれども、
息
(
いき
)
ある間は血もあり涙もあり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
我
(
わ
)
が
居
(
ゐ
)
るよりは
向
(
むか
)
ひのがはを
痩
(
やせ
)
ぎすの
子供
(
こども
)
が
藥瓶
(
くすりびん
)
もちて
行
(
ゆ
)
く
後姿
(
うしろすがた
)
、三
之
(
の
)
助
(
すけ
)
よりは
丈
(
たけ
)
も
高
(
たか
)
く
餘
(
あま
)
り
痩
(
や
)
せたる
子
(
こ
)
と
思
(
おも
)
へど、
樣子
(
やうす
)
の
似
(
に
)
たるにつか/\と
驅
(
か
)
け
寄
(
よ
)
りて
顏
(
かほ
)
をのぞけば、やあ
※
(
ねえ
)
さん
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
停車場
(
ステーシヨン
)
に駈け込んだ人の
後姿
(
うしろすがた
)
を笑ひながら見やつて、お光は
斯
(
か
)
う言つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
氏の家へ半月程前の夕刻
玄関
(
げんかん
)
稼
(
かせ
)
ぎの盗人が入りました。ふと気が付いた
家人
(
かじん
)
は
一勢
(
いっせい
)
に騒ぎ立てましたが、氏は逃げ行く盗人の
後姿
(
うしろすがた
)
を見る
位
(
くらい
)
にし
乍
(
なが
)
ら
突立
(
つった
)
ったまま一歩も追おうとはしませんでした。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
女がクリーム色の
洋傘
(
こうもり
)
を
翳
(
さ
)
して、素足に着物の
裾
(
すそ
)
を少し
捲
(
まく
)
りながら、浅い波の中を、男と並んで行く
後姿
(
うしろすがた
)
を、僕は
羨
(
うらや
)
ましそうに
眺
(
なが
)
めたのです。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お
品
(
しな
)
は
身體
(
からだ
)
を
半分
(
はんぶん
)
蒲團
(
ふとん
)
からずり
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
たら、
手拭
(
てぬぐひ
)
で
髮
(
かみ
)
を
包
(
つゝ
)
んで
少
(
すこ
)
し
前屈
(
まへかゞ
)
みになつて
居
(
ゐ
)
るおつぎの
後姿
(
うしろすがた
)
が
見
(
み
)
えた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
長吉はその
後姿
(
うしろすがた
)
を見送るとまた更に恨めしいあの車を見送った時の
一刹那
(
いっせつな
)
を思起すので、もう
何
(
なん
)
としても我慢が出来ぬというようにベンチから立上った。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
新子は、小太郎の
後姿
(
うしろすがた
)
を見送りながら、これは大変なことになったと思ったが、今更
施
(
ほどこ
)
すべき策がなかった。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
後
常用漢字
小2
部首:⼻
9画
姿
常用漢字
小6
部首:⼥
9画
“後”で始まる語句
後
後生
後退
後方
後悔
後家
後手
後日
後世
後裔