“思起”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おもいおこ55.6%
おもひおこ44.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そういう話を聞いた時、わたくしはすぐにモーパサンの「還る人」Le Retour と題せられた短篇小説を思起おもいおこした。
噂ばなし (新字新仮名) / 永井荷風(著)
上野駅での出来事を思起おもいおこした刹那せつな猿轡さるぐつわと手足の繩目なわめを幻想したが、どうして、繩目どころか、全く自由な身体で、彼はその長椅子のクッションに深々と横わっていたのである。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
加ふるに、この海辺うみべのホテルは家具の質素な西洋室である為、其の周囲の光景が自分にはまた特別の事件を思起おもひおこさせるのであつた。
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
これで思起おもひおこすのは、陰暦の二月すゑには、既に韮がえ、木の新芽がせんに供し得る程になつてゐるといふことである。それから、『わらび漬』などとあるのも少年の頃をしのばしめるのであつた。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)