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思起
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おもひおこ
ふりがな文庫
“
思起
(
おもひおこ
)” の例文
加ふるに、この
海辺
(
うみべ
)
のホテルは家具の質素な西洋室である為、其の周囲の光景が自分にはまた特別の事件を
思起
(
おもひおこ
)
させるのであつた。
海洋の旅
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
これで
思起
(
おもひおこ
)
すのは、陰暦の二月すゑには、既に韮が
萌
(
も
)
え、木の新芽が
饌
(
せん
)
に供し得る程になつてゐるといふことである。それから、『わらび漬』などとあるのも少年の頃をしのばしめるのであつた。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
は
其
(
そ
)
の
後姿
(
うしろすがた
)
を
見送
(
みおく
)
ると
又
(
また
)
更
(
さら
)
に
恨
(
うら
)
めしいあの車を
見送
(
みおく
)
つた時の一
刹那
(
せつな
)
を
思起
(
おもひおこ
)
すので、もう
何
(
なん
)
としても
我慢
(
がまん
)
が
出来
(
でき
)
ぬといふやうにベンチから
立上
(
たちあが
)
つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それのみならず去年の夏の
末
(
すゑ
)
、お
糸
(
いと
)
を
葭町
(
よしちやう
)
へ送るため、
待合
(
まちあは
)
した
今戸
(
いまど
)
の橋から
眺
(
なが
)
めた
彼
(
あ
)
の大きな
円
(
まる
)
い/\月を
思起
(
おもひおこ
)
すと、もう舞台は舞台でなくなつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
鉄橋と
渡船
(
わたしぶね
)
との比較からこゝに
思起
(
おもひおこ
)
されるのは立派な
表通
(
おもてどほり
)
の街路に対して其の
間々
(
あひだ/\
)
に隠れてゐる路地の興味である。擬造西洋館の商店並び立つ表通は
丁度
(
ちやうど
)
電車の往来する鉄橋の
趣
(
おもむき
)
に等しい。
路地
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
思
常用漢字
小2
部首:⼼
9画
起
常用漢字
小3
部首:⾛
10画
“思”で始まる語句
思
思召
思出
思案
思惑
思惟
思慮
思想
思切
思遣