-
トップ
>
-
筆屋
いろいろの
店にまじって、一けんの
筆屋がありました。おじいさんが、
店先にすわって
太い
筆や、
細い
筆をつくっていました。
「あすこでござんすよ。あの
筆屋の
前から
両替の
看板の
下を
通ってゆく、あの
頭巾をかぶった
後姿。——」
團子屋の
頓馬も
唯は
置ぬと
潮のやうに
沸かへる
騷ぎ、
筆屋が
軒の
掛提燈は
苦もなくたゝき
落されて、
釣らんぷ
危なし
店先の
喧嘩なりませぬと
女房が
喚きも
聞ばこそ、
人數は
大凡十四五
人