“うしろかげ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
後影81.6%
背影13.2%
後姿2.6%
背後影2.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
庭樹のしげりに隠れ行く篠田の後影うしろかげながめりたる渡辺老女のまぶたには、ポロリ一滴の露ぞコボれぬ「きツと、お暇乞いとまごひ御積おつもりなんでせう」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
その途端に列車は動き出し、窓からサヨナラを交換したが、狭い路を辿たどって帰る淋しい背影うしろかげが月明りにかすんで見えた。二葉亭の健康の衰え初めたのはその頃からであった。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
まだそのあとがあるかも知れないと思ったせいか、何気なく後姿うしろかげを見送っていると、大きな黒松の根方ねがたのところへ行って、立小便たちしょうべんをし始めたから、急に顔をそむけて、どてらの方を向いた。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その蔭に、遠いあかりのちらりとするのを背後うしろにして、お納戸色なんどいろの薄いきぬで、ひたと板戸に身を寄せて、今出て行った祖母としより背後影うしろかげを、じっと見送るさまたたずんだおんながある。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)