“薄羅紗”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うすらしゃ50.0%
うすラシャ50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
相手は薄羅紗うすらしゃ外套がいとう恰好かっこうのいい姿を包んで、あごの下に真珠の留針とめばりを輝かしている。——高柳君は相手の姿を見守ったなり黙っていた。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
浅葱天鵞絨びろうどの鳥打帽子を被って、卵色薄羅紗うすらしゃ猟装束りょうふくを着て、弾帯おびをきりりとしめて、薄皮の行膝はばきをはめて、胡坐あぐらをかきながら、パイプを軽くつまんでマニラを吹いて居る。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
朝書斎に這入はいったままあまり静かなので、そっと二階へ上ってのぞきましたら、机の上へ薄羅紗うすラシャきれを敷き、根附を全部出して順よく並べ、葉巻をくわえて楽しそうに見ています。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
富士絹のブルウゼに薄羅紗うすラシャのスカートをつけ……まじめな百貨店の売子のように、さっぱりと地味ないでたちだった。駆けつけるように寄ってきて、久我のとなりへ坐ると、苦しそうに息をきった。
金狼 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)