薄羅紗うすラシャ)” の例文
朝書斎に這入はいったままあまり静かなので、そっと二階へ上ってのぞきましたら、机の上へ薄羅紗うすラシャきれを敷き、根附を全部出して順よく並べ、葉巻をくわえて楽しそうに見ています。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
富士絹のブルウゼに薄羅紗うすラシャのスカートをつけ……まじめな百貨店の売子のように、さっぱりと地味ないでたちだった。駆けつけるように寄ってきて、久我のとなりへ坐ると、苦しそうに息をきった。
金狼 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)