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慴
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おび
ふりがな文庫
“
慴
(
おび
)” の例文
二人の弟は、喪中の家の沈黙に
慴
(
おび
)
えて、急に外へ逃げ出してしまった。ロドルフはテオドル
伯父
(
おじ
)
の商館にはいって、伯父の家に住んだ。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
剰へ日が血のやうに西からのぼり、月が痺れて東へ落ちかかる怪しい神経病者の
幻想
(
フアンタジヤ
)
さへ時折発作のやうに霊自身を
慴
(
おび
)
やかす。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
彼のぶくぶくした身体の物柔かな動作までが、彼女を
慴
(
おび
)
えさせるのであった。怖ろしくもあり、厭らしくも思えた。
頸の上のアンナ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
その半身をもて坎をかこめる岸を卷けり(ジョーヴェはいまも
雷
(
いかづち
)
によりて天より彼等を
慴
(
おび
)
えしむ) —四五
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
出たばかりで本当の世の中は御存じないんだからね。いくら学士でございの、博士で
候
(
そうろう
)
のって、肩書ばかり振り廻したって、僕は
慴
(
おび
)
えないつもりだ。こっちゃちゃんと実地を
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
叔父は物に
慴
(
おび
)
えたように飛び立って窓から少し退いた。そして声した方をすかし見た。
恩人
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
所が
横町
(
よこちょう
)
を一つ曲ると、突然お蓮は
慴
(
おび
)
えたように、牧野の
外套
(
がいとう
)
の袖を引いた。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
通ってゆくのは武装した群集であり、ながめているのは
慴
(
おび
)
えた群集であった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
青空が広く、葉は落ち尽くし、
鈴懸
(
すずかけ
)
が木に
褐色
(
かっしょく
)
の実を乾かした。冬。
凩
(
こがらし
)
が吹いて、人が殺された。泥棒の噂や火事が起こった。短い日に戸をたてる信子は舞いこむ木の葉にも
慴
(
おび
)
えるのだった。
雪後
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
「ああ!」と
慴
(
おび
)
えたように中声を発して、そのままそこに立ち
竦
(
すく
)
んだ。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
慴
(
おび
)
えたように眉をそよがせているのだ。
香爐を盗む
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
ああ、おたがいのために死のうとするこの間ぎわになっても、二人はたがいに遠く離れてる気がした!……どちらも
慴
(
おび
)
えた考えをしていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
牧師はひどく
慴
(
おび
)
えて、馬に拍車をくれて逃げ出した。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
彼が寝入ってから彼女は、凍え
慴
(
おび
)
え疲れはてて床にはいった。そしてふたたび自分の夢想を呼び出すことはできなかった。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
十歩にして人は驚き、二歩にして人は
慴
(
おび
)
ゆ。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
彼は不安に
慴
(
おび
)
えながら夜通し彼女を捜した。そしてようやく、ある警官派出所に保護されてるところを見つけ出した。彼女はセーヌ河に身を投げようとしたのだった。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
真夜中に
慴
(
おび
)
えた
唸
(
うな
)
り声をたてながら、突然眼を
覚
(
さ
)
ますこともあった。至る所に動き回るべき理由を捜し求めては、あたかも水中で浮標にすがるようにそれへしがみついていた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
慴
(
おび
)
え
吠
(
ほ
)
えつつ悲しげに訴えつつ
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
慴
漢検1級
部首:⼼
14画
“慴”を含む語句
慴伏
慴然
慴服
慄慴
慴慄
震慴