“悚”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
すく55.0%
ぞっ25.0%
ふるひ10.0%
おび5.0%
ぞつ5.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼のまえにはあご骨のふとい、大きな男がぬうっと立っているのだ。五十ばかりでほとんど表情がない。それが却って、すくめるような凄味。
人外魔境:10 地軸二万哩 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ぞっと涼しく成ると、例の頬辺ほっぺたひやりとしました、螢の留った処です。——裏を透して、口のうちへ、真珠でも含んだかと思う、光るように胸へ映りました。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
雪国にてふるひおそるゝ物は、冬の○雪吹ふゞき○ホウラ、春の雪頽なだれなり。此奇状きじやう奇事きじすでに初編にもいへり、されど一奇談いつきだんを聞たるゆゑこゝにしるして暖国だんこく話柄はなしのたねとす。
おびえたやうな声が響いて、軍治は矢庭に急な板梯子を中途からとび下り、居間の障子を引き開けると、蒔はもう歯のないよぢれた膜のやうな唇を間を置いて開き、又閉ぢしてゐるだけであつて
鳥羽家の子供 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
けれども——代助だいすけは覚えずぞつとした。彼は血潮ちしほによつて打たるゝ掛念のない、静かな心臓を想像するに堪へぬ程に、きたがる男である。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)