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悚
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すく
ふりがな文庫
“
悚
(
すく
)” の例文
彼のまえには
顎
(
あご
)
骨のふとい、大きな男がぬうっと立っているのだ。五十ばかりでほとんど表情がない。それが却って、
悚
(
すく
)
めるような凄味。
人外魔境:10 地軸二万哩
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
ぞっと身体が
悚
(
すく
)
んだ。寂しい通りに、軒灯の光りが淡く流れていた。青葉をつけた木の枝が一本落ちてる中に片足を踏み込んでるのだった。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そして相手があつと声を上げて立ち
悚
(
すく
)
むか、あるひは身構をしたときには房一はもうはるか彼方を点のやうに小さく一散に走つてゐるのだつた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
捜査一課は、いまのところ寛大ぶって笑っているが、いざとなったら、
悚
(
すく
)
みあがるようなすごい顔を見せるのだろう。
肌色の月
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
更
(
さら
)
に
積
(
つも
)
りつゝある
大粒
(
おほつぶ
)
な
雪
(
ゆき
)
が
北
(
きた
)
から
斜
(
なゝめ
)
に
空間
(
くうかん
)
を
掻亂
(
かきみだ
)
して
飛
(
と
)
んで
居
(
ゐ
)
る。おつぎは
少時
(
しばし
)
立
(
た
)
ち
悚
(
すく
)
んだ。
大粒
(
おほつぶ
)
な
雪
(
ゆき
)
を
投
(
な
)
げつゝ
吹
(
ふ
)
き
落
(
お
)
ちる
北風
(
きたかぜ
)
がごつと
寒
(
さむ
)
さを
煽
(
あふ
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
もしや幽霊かとお菊は又
悸
(
おび
)
えて首を
悚
(
すく
)
めると、女は
彼女
(
かれ
)
の枕もとへすうと這い寄って来て
低声
(
こごえ
)
で呼んだ。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
葉子は
悪戯
(
いたずら
)
そうに首を
悚
(
すく
)
めながら、電話口を離れて来るのだった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
脱獄囚の
虎蔵
(
とらぞう
)
は、深夜の街道の
中央
(
まんなか
)
に立ち
悚
(
すく
)
んだ。
白菊
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼女の足は戸の前まで来ると
立
(
た
)
ち
悚
(
すく
)
んだ。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
とんだ女をお茶に誘ったもんだ……秋川親子は、つくづくと後悔し、けがらわしい思いで
悚
(
すく
)
みあがっているのだろう。
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「
痛
(
いて
)
えのか」おつぎは
目敏
(
めざと
)
くそれを
見
(
み
)
て
心
(
こゝろ
)
もとなげにいつた。おつぎは
窶
(
やつ
)
れて
沈
(
しづ
)
んだ
卯平
(
うへい
)
の
側
(
そば
)
に
居
(
ゐ
)
ると、
遂
(
つひ
)
自分
(
じぶん
)
も
沈
(
しづ
)
んで
畢
(
しま
)
つて
只
(
たゞ
)
凝然
(
ぢつ
)
と
悚
(
すく
)
んだやうに
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
るより
外
(
ほか
)
はなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
庄吉は其処に立ち
悚
(
すく
)
んでしまった。
少年の死
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
久美子は
悚
(
すく
)
みあがり、われともなく鋭い叫声をあげた。
肌色の月
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
悚
漢検1級
部首:⼼
10画
“悚”を含む語句
悚然
悚気
悚立
恐悚
悚毛
三悚
悚撃
慄悚
戦悚
戰悚
毛髪悚然
立悚