“はつきり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
判然40.2%
明瞭21.6%
分明14.4%
瞭然7.2%
明確2.1%
判明2.1%
確乎2.1%
確然2.1%
惺然1.0%
明白1.0%
了然1.0%
快然1.0%
昭然1.0%
爽然1.0%
確的1.0%
顕然1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「そのことでございます。まだ判然はつきりいたしたわけでは御座いませんが、ことによれば、眞物の彦四郎貞宗が戻るかもわかりません」
踊をモ一つ所望した小松君の横顏、……それから、市子の顏を明瞭はつきり描いて見たいと云ふ樣な氣がして、折角努めて見たが、怎してか浮んで來ない。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そんなものは見たくないやうな氣がして——子供だからそれほど分明はつきり不快いやだとは思はなかつたかもしれないが、まあそんな覺えがあります。
鏡二題 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
山も森も何れもみな月光の裡に睡つて水の滴り相な輪郭を靜かな初秋の夜の空に瞭然はつきりと示して居る。
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
看護婦さんは行儀の正しい無口な女で、物を言へば薄い銀線の触れ合ふ様なんだ声で明確はつきりと語尾を言ふ。感情を顔に出さずに意志の堅固さうな所は山口県生れの女などによく見る型である。
産褥の記 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
夕間暮ゆふまぐれなるまゆかげびんもつれたが、目鼻立めはなだちも判明はつきりした、容色きりやうのいゝのを一目ひとめると、あつ、と其處そこ飛脚ひきやく尻餅しりもちいたも道理だうりこそ。一昨年をとゝしくなつた女房にようばうであつた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
三四郎はこの微弱なる「此間は難有う」といふ反響に対して、確乎はつきりした返事をする勇気もなかつた。おおき襯衣シヤツを両手でさきひろげてながめながら、よし子がるからあゝ冷淡なんだらうかと考へた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それで、ある角度迄来て苦もなく確然はつきりとまつた。無論習つて覚えたものではない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「別にどうも為はせんけれど、何だかかう気が閉ぢて、惺然はつきりせんねえ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
惺然はつきりあそばせよ。麦酒ビイルでも召上りませんか、ねえ、さうなさいまし」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
岸を離れて見上げると徳二郎はてすりつて見下ろして居た。そして内よりはあかりが射し、外よりは月の光を受けて彼の姿が明白はつきりと見える。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
其後十七年の今日まで僕は此夜の光景を明白はつきりおぼえて居て忘れやうとしても忘るゝことが出來ないのである。今も尚ほ憐れな女の顏が眼のさきにちらつく。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
級長は卓子テーブルの前に進んだ。校長も、文平も、きつと鋭い眸をこの生徒の顔面おもてに注いだ。省吾なぞから見ると、ずつと夙慧ませた少年で、言ふことは了然はつきり好く解る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
其夜そのよからぼくねつ今日けふ三日みつかになるが快然はつきりしない。やまのぼつて風邪かぜいたのであらう。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
那処あすこに遠くほん小楊枝こようじほどの棒が見えませう、あれが旗なので、浅黄あさぎに赤い柳条しまの模様まで昭然はつきり見えて、さうして旗竿はたさをさきとび宿とまつてゐるが手に取るやう
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
顔の色がはなはだ悪いよ。雪で寒いんで、胸でも痛むんか、頭痛でもするんか、さうも無い? どうしたんだな。それぢや、もつと爽然はつきりしてくれんぢや困るぢやないか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
翌日よくじつめて役所やくしよ生活せいくわつはじまると、宗助そうすけはもう小六ころくことかんがへるひまたなかつた。うちかへつて、のつそりしてゐるときですら、この問題もんだい確的はつきりまへゑがいてあきらかにそれをながめることはゞかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
丑松は顕然はつきりと其人を思ひ浮べることが出来なかつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)