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判然
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はつきり
ふりがな文庫
“
判然
(
はつきり
)” の例文
此女
(
このをんな
)
は
国
(
くに
)
から
連
(
つ
)
れて
来
(
き
)
たのではない、
江戸
(
えど
)
で
持
(
も
)
つた
女
(
をんな
)
か知れない、それは
判然
(
はつきり
)
分
(
わか
)
らないが、
何
(
なに
)
しろ
薄情
(
はくじやう
)
の
女
(
をんな
)
だから
亭主
(
ていしゆ
)
を
表
(
おもて
)
へ
突
(
つ
)
き出す。
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「そのことでございます。まだ
判然
(
はつきり
)
いたしたわけでは御座いませんが、ことによれば、眞物の彦四郎貞宗が戻るかもわかりません」
銭形平次捕物控:072 買つた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其
(
そ
)
の
肩越
(
かたごし
)
に、
田
(
た
)
のへりを、
雪
(
ゆき
)
が
装上
(
もりあが
)
るやうに、
且
(
か
)
つ
雫
(
しづく
)
さへしと/\と……
此
(
こ
)
の
時
(
とき
)
判然
(
はつきり
)
と
見
(
み
)
えたのは、
咲
(
さ
)
きむらがつた
真白
(
まつしろ
)
な
卯
(
う
)
の
花
(
はな
)
である。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
中沢博士は「ははは……」と言つて、あんぐり口を
開
(
あ
)
けて笑つたばかしで、別に
描
(
か
)
くとも
描
(
か
)
かないとも
判然
(
はつきり
)
返事をしなかつたが、腹の
内
(
なか
)
では
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
匹夫
(
ひつぷ
)
野人
(
やじん
)
の如く飽くまで
纏綿
(
つきまと
)
つて貴嬢を苦め申す如き
卑怯
(
ひけふ
)
の
挙動
(
ふるまひ
)
は、誓つて致しませぬ、——何卒、梅子さん、只だ一言
判然
(
はつきり
)
仰
(
おつ
)
しやつて下ださい
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
▼ もっと見る
又かう、
怠惰
(
なまけ
)
ものでは、さう
判然
(
はつきり
)
した
答
(
こたへ
)
が出来ないのである。代助の方でも、
門野
(
かどの
)
を教育しに
生
(
うま
)
れて
来
(
き
)
た訳でもないから、
好加減
(
いゝかげん
)
にして
放
(
ほう
)
つて置く。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
古來一流の作家のものは作因が
判然
(
はつきり
)
してゐて、その實感が強く、從つてそこに或る動かし難い自信を持つてゐる。
自信の無さ
(旧字旧仮名)
/
太宰治
(著)
所謂「出」は
判然
(
はつきり
)
してゐるので、御所望ならば御明かし申して宜しいのです。ハヽヽ。
骨董
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
さてそこで、これは打ち
棄
(
す
)
てておくことは出来ない。お寺からの
使
(
つかひ
)
も「叱つてやつて下さい。」と、あんなに
判然
(
はつきり
)
いつて行つたのだから、何とかして栄蔵をこらしめねばならない。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
見やりて父は打笑ひ
勝
(
ませ
)
た樣でも
未
(
まだ
)
幼稚
(
こども
)
兎角
(
とかく
)
縁談の事
等
(
など
)
は
恥
(
はづか
)
しいのが先に立ゆゑ
判然
(
はつきり
)
返事
(
へんじ
)
も出來ぬ物だが一
生
(
しやう
)
連添
(
つれそふ
)
本夫
(
をつと
)
の事
否
(
いや
)
な者をば
無理
(
むり
)
やりに行とは決して言はせねど
昨日
(
きのふ
)
向ふは
其方
(
そなた
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
彼はたゞ、磁石のやうに女に惹き付けられる気持をだん/\
判然
(
はつきり
)
、感じて来た。
奥間巡査
(新字旧仮名)
/
池宮城積宝
(著)
ただ然し三つの事だけは、今でも
判然
(
はつきり
)
頭に残つてゐる気がする。
吉右衛門の第一印象
(新字旧仮名)
/
小宮豊隆
(著)
「やい、一緒に行くのか、行かねえのか、
判然
(
はつきり
)
返事をしろい!」
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
電報が運よく届いてゐるかどうかさへ、
判然
(
はつきり
)
しなかつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
それからものの煙草を二三服吸ふほど經つて、土藏の方から、何やら聞えたやうにも思ひますが、孫三郎もそこまでは
判然
(
はつきり
)
わかりません。
銭形平次捕物控:128 月の隈
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
小袖
(
こそで
)
も
判然
(
はつきり
)
せぬ。が、
二人
(
ふたり
)
とも
紋縮緬
(
もんちりめん
)
と
云
(
い
)
ふのであらう、
絞
(
しぼ
)
つた、
染
(
にじ
)
んだやうな
斑點
(
むら
)
のある
緋
(
ひ
)
の
長襦袢
(
ながじゆばん
)
を
着
(
き
)
たのは
確
(
たしか
)
。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
部屋を
出
(
で
)
る時、振り返つたら、
紺青
(
こんじやう
)
の
波
(
なみ
)
が
摧
(
くだ
)
けて、白く吹き
返
(
かへ
)
す所
丈
(
だけ
)
が、
暗
(
くら
)
い
中
(
なか
)
に
判然
(
はつきり
)
見えた。代助は此
大濤
(
おほなみ
)
の
上
(
うへ
)
に
黄金色
(
こがねいろ
)
の
雲
(
くも
)
の
峰
(
みね
)
を一面に
描
(
か
)
かした。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
どういふ
訳
(
わけ
)
で
梅廼屋
(
うめのや
)
が
塔婆
(
たふば
)
を
上
(
あ
)
げたか、
不審
(
ふしん
)
に思ひながら、
矢立
(
やたて
)
と
紙入
(
かみいれ
)
の
鼻紙
(
はながみ
)
を
取出
(
とりだ
)
して、
戒名
(
かいみやう
)
や
俗名
(
ぞくみやう
)
を
皆
(
みな
)
写
(
うつ
)
しましたが、
年号月日
(
ねんがうぐわつぴ
)
が
判然
(
はつきり
)
分
(
わか
)
りませぬから、
寺
(
てら
)
の
玄関
(
げんくわん
)
へ
掛
(
かゝ
)
つて
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その時栄蔵は、自分の心の中は、悪いものがはいつてゐることを
判然
(
はつきり
)
知つた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
無理
(
むり
)
にお
勸
(
すゝめ
)
申したは此忠兵衞ゆゑ夫がため
御病氣
(
ごびやうき
)
起
(
おこ
)
らば
大變
(
たいへん
)
なりと
先
(
まづ
)
取敢
(
とりあへ
)
ず長三郎の部屋へ至りて
障子
(
しやうじ
)
の
外
(
そと
)
まで來りし時に中にては
魔
(
おそは
)
るゝやら
寢言
(
ねごと
)
やらサアお出なさい有難うと
判然
(
はつきり
)
言
(
いひ
)
しが其跡は何を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
薄々平次の息が掛つて居るとは思ひましたが、さう
判然
(
はつきり
)
わかつて了ふと、利助もヂツとしては居られません。手土産を用意して、神田まで一と走り。
銭形平次捕物控:014 たぬき囃子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
夢
(
ゆめ
)
から
覺
(
さ
)
めた
思
(
おも
)
ひで、
厚
(
あつ
)
ぼつたかつた
顏
(
かほ
)
を
撫
(
な
)
でた、
其
(
そ
)
の
掌
(
て
)
を
膝
(
ひざ
)
に
支
(
つ
)
いて、
氣
(
き
)
も
判然
(
はつきり
)
と
向直
(
むきなほ
)
つた
時
(
とき
)
、
彼
(
かれ
)
は
今
(
いま
)
までの
想像
(
さうざう
)
の
餘
(
あま
)
りな
癡
(
たは
)
けさに
又
(
また
)
獨
(
ひと
)
りで
笑
(
わら
)
つた。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
三千代の調子は、此時急に
判然
(
はつきり
)
した。
沈
(
しづ
)
んではゐたが、前に比べると非常に落ち
着
(
つ
)
いた。然ししばらくしてから、又
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
何
(
ど
)
うも
是
(
これ
)
は耳へ
附
(
つ
)
けて
聴
(
き
)
くのに、ギン/\と
微
(
かす
)
かに
聴
(
きこ
)
えて
判然
(
はつきり
)
解
(
わか
)
らぬやうだが、
何
(
ど
)
うか
斯
(
か
)
う耳へ
当
(
あて
)
ずに
器械
(
きかい
)
をギユーと
捩
(
ねぢ
)
ると、
判然
(
はつきり
)
音色
(
おんしよく
)
が
席中
(
せきぢう
)
一
抔
(
ぱい
)
に
大音
(
だいおん
)
に
聴
(
きこ
)
えるやうに
仕
(
し
)
たいものだ。
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ト
其
(
そ
)
の
色
(
いろ
)
も……
薄
(
うす
)
いながら、
判然
(
はつきり
)
と
煤
(
すゝ
)
の
中
(
なか
)
に、
塵
(
ちり
)
を
拂
(
はら
)
つてくつきりと
鮮麗
(
あざやか
)
な
姿
(
すがた
)
が、
二人
(
ふたり
)
が
机
(
つくゑ
)
に
向
(
むか
)
つた
横手
(
よこて
)
、
疊數
(
たゝみかず
)
二
疊
(
でふ
)
ばかり
隔
(
へだ
)
てた
處
(
ところ
)
に、
寒
(
さむ
)
き
夜
(
よ
)
なれば
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
瓦解
(
ぐわかい
)
の
際
(
さい
)
、
駿府
(
すんぷ
)
へ
引
(
ひ
)
き
上
(
あ
)
げなかつたんだとか、
或
(
あるひ
)
は
引
(
ひ
)
き
上
(
あ
)
げて
又
(
また
)
出
(
で
)
て
來
(
き
)
たんだとか
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
も
耳
(
みゝ
)
にした
樣
(
やう
)
であるが、それは
判然
(
はつきり
)
宗助
(
そうすけ
)
の
頭
(
あたま
)
に
殘
(
のこ
)
つてゐなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それに佐七は餘計なことを言つた『片瀬の顏馴染の小磯屋』だとか、『
女將
(
おかみ
)
はお世辭もの』だとか、——氣がとがめるから、あんなに
判然
(
はつきり
)
した事を言ふんだ。
銭形平次捕物控:056 地獄から来た男
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
主人新三郎が勇吉に
誘
(
さそ
)
はれて出かけたと聞くと事件の秘密が
鏡
(
かゞみ
)
に
映
(
うつ
)
したやうに、
判然
(
はつきり
)
わかつてしまひました。
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼女
(
かのぢよ
)
はその
方面
(
はうめん
)
に、
是
(
これ
)
といふ
程
(
ほど
)
判然
(
はつきり
)
した
凝
(
こ
)
り
整
(
とゝの
)
つた
何物
(
なにもの
)
も
有
(
も
)
つてゐなかつたからである。
二人
(
ふたり
)
は
兎角
(
とかく
)
して
會堂
(
くわいだう
)
の
腰掛
(
べんち
)
にも
倚
(
よ
)
らず、
寺院
(
じゐん
)
の
門
(
もん
)
も
潛
(
くゞ
)
らずに
過
(
す
)
ぎた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
餘
(
あま
)
り
靜
(
しづ
)
かだから、しばらくして、
又
(
また
)
しばらくして、
樟
(
くすのき
)
を
挽
(
ひ
)
く
毎
(
ごと
)
にぼろ/\と
落
(
お
)
つる
木屑
(
きくづ
)
が
判然
(
はつきり
)
聞
(
きこ
)
える。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
掛けたわけでもありませんから、
判然
(
はつきり
)
したことは申上げられませんが、着物の好み、髮形などから見ると、下町の
大店
(
おほだな
)
のお孃さんといふところぢや御座いませんか
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
やがて醫者の聲で、どうせ、さう急には御癒りにはなりますまいからと云つた言葉
丈
(
だけ
)
が
判然
(
はつきり
)
聞えた。
変な音
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
するとね、
夜目
(
よめ
)
で
判然
(
はつきり
)
とは
目
(
め
)
に
入
(
い
)
らなんだが
地体
(
ぢたい
)
何
(
なん
)
でも
洞穴
(
ほらあな
)
があると
見
(
み
)
える。ひら/\と、
此方
(
こちら
)
からもひら/\と、ものゝ
鳥
(
とり
)
ほどはあらうといふ
大蝙蝠
(
おほかはほり
)
が
目
(
め
)
を
遮
(
さへぎ
)
つた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お仲は自分の位置の恐ろしさを
判然
(
はつきり
)
覺つたものか、急に泣き出し乍ら、ヘタヘタと大地に崩折れました。
銭形平次捕物控:107 梅吉殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
宗助
(
そうすけ
)
には
其
(
その
)
砂
(
すな
)
を
捲
(
ま
)
いて
向
(
むか
)
ふの
堀
(
ほり
)
の
方
(
はう
)
へ
進
(
すゝ
)
んで
行
(
ゆ
)
く
影
(
かげ
)
が、
斜
(
なゝ
)
めに
吹
(
ふ
)
かれる
雨
(
あめ
)
の
脚
(
あし
)
の
樣
(
やう
)
に
判然
(
はつきり
)
見
(
み
)
えた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし
何
(
ど
)
うしても
何
(
ど
)
う
見
(
み
)
ても
母様
(
おつかさん
)
にうつくしい
五色
(
ごしき
)
の
翼
(
はね
)
が
生
(
は
)
へちやあ
居
(
ゐ
)
ないから、またさうではなく、
他
(
ほか
)
にそんな
人
(
ひと
)
が
居
(
ゐ
)
るのかも
知
(
し
)
れない、
何
(
ど
)
うしても
判然
(
はつきり
)
しないで
疑
(
うたが
)
はれる。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「旦那、あの女が十二支組のお
珊
(
さん
)
とわかれば、かへつて筋が
判然
(
はつきり
)
して來ました。御心配には及びません」
銭形平次捕物控:007 お珊文身調べ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
三四郎はぐうの
音
(
ね
)
も
出
(
で
)
なかつた。何だか文句がある様だけれども、
口
(
くち
)
へ
出
(
で
)
て来ない。与次郎の
言草
(
いひぐさ
)
のうちで、自分がいまだ考へてゐなかつた部分丈が
判然
(
はつきり
)
頭
(
あたま
)
へ
映
(
うつ
)
つてゐる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
……
園
(
その
)
さんに、おなごりのおことづけまで
申
(
まを
)
しました。
判然
(
はつきり
)
して、
元気
(
げんき
)
です。
医師
(
いし
)
も
驚
(
おどろ
)
いて
居
(
ゐ
)
ました。まるで
絶食
(
ぜつしよく
)
で
居
(
ゐ
)
て、よく、こんなにと、
両
(
りやう
)
三
日前
(
にちぜん
)
から、
然
(
さ
)
う
言
(
い
)
はれましてな。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
判然
(
はつきり
)
した判断を下すに躊躇するが、当時の新聞は連続して欠かさず眼を通したものだから、
未
(
いま
)
だに残つてゐる、
其時
(
そのとき
)
の印象は、恐らく余に取つて
慥
(
たし
)
かなものだらうと考へる。
『煤煙』の序
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「第一、何んで。お前だけ先に歸つて來たのだ。奧樣方はどうなすつた。
判然
(
はつきり
)
言へツ」
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
此
(
これ
)
と、
城
(
じやう
)
ヶ
沼
(
ぬま
)
の
黒坊主
(
くろばうず
)
の
蒼
(
あを
)
ざめた
面影
(
おもかげ
)
を
除
(
のぞ
)
いては、
誰
(
たれ
)
の
顔
(
かほ
)
も
判然
(
はつきり
)
覚
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
なかつた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
處
(
ところ
)
で、
廂
(
ひさし
)
だの、
屋根
(
やね
)
だのの
蔭
(
かげ
)
で、
近
(
ちか
)
い
處
(
ところ
)
は、
表
(
おもて
)
よりは、
色
(
いろ
)
も
羽
(
はね
)
も
判然
(
はつきり
)
とよく
分
(
わか
)
る。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
現に自分が其話を
傍
(
そば
)
で聞いてゐた。ことによると其話を美禰子のと取り違へたのかも知れない。けれども美禰子の結婚も、全く
嘘
(
うそ
)
ではないらしい。三四郎は
判然
(
はつきり
)
した所が知りたくなつた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「唯旦那ぢや解らないよ姐さん、お名前を
判然
(
はつきり
)
申上げな」
銭形平次捕物控:054 麝香の匂ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
只
句切
(
くぎ
)
りが悪くつて、
字遣
(
じづかひ
)
が異様で、言葉の
運
(
はこ
)
び
方
(
かた
)
が
重
(
おも
)
苦しくつて、丸で古い
御寺
(
おてら
)
を見る様な心持がした丈である。此一節丈読むにも
道程
(
みちのり
)
にすると、三四町も
掛
(
かゝ
)
つた。しかも
判然
(
はつきり
)
とはしない。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
後
(
あと
)
なる
一人
(
ひとり
)
は、
中脊
(
ちうぜい
)
の
細
(
ほそ
)
い
男
(
をとこ
)
で、
眞中
(
まんなか
)
の、
其
(
そ
)
の
盲目婦
(
めくらをんな
)
の
髮
(
かみ
)
の
影
(
かげ
)
にも
隱
(
かく
)
れさうに、
帶
(
おび
)
に
體
(
からだ
)
を
附着
(
くツつ
)
けて
行違
(
ゆきちが
)
つたのであるから、
形
(
なり
)
、
恰好
(
かつかう
)
、
孰
(
ど
)
れも
判然
(
はつきり
)
としない
中
(
なか
)
に、
此
(
こ
)
の三
人目
(
にんめ
)
のが
就中
(
なかんづく
)
朧
(
おぼろ
)
に
見
(
み
)
えた。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「その邊の事が
判然
(
はつきり
)
相わからぬうちは、滅多なことは相成らぬぞ。わけても南部大膳大夫樣は忠誠の志深く、御上の御覺も目出度い方だ。隣藩佐竹樣への抑へとして、格別の御聲掛りがある筈、謀叛などは思ひも寄らぬ」
銭形平次捕物控:025 兵粮丸秘聞
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
始めは何の音とも又何處から來るとも
判然
(
はつきり
)
した見當が付かなかつたが、聞いてゐるうちに、段々耳の中へ纒まつた觀念が出來てきた。何でも
山葵卸
(
わさびおろ
)
しで
大根
(
だいこ
)
かなにかをごそごそ
擦
(
す
)
つてゐるに違ない。
変な音
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
暫
(
しばら
)
く
経
(
た
)
つて二
度目
(
どめ
)
のは
判然
(
はつきり
)
と
清
(
すゞ
)
しい
声
(
こゑ
)
。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“判然”の意味
《名詞》
判然(はんぜん)
はっきりとよくわかること。
《形容動詞》
はっきりとよくわかるさま。
(出典:Wiktionary)
判
常用漢字
小5
部首:⼑
7画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“判”で始まる語句
判
判明
判官
判断
判斷
判切
判事
判人
判別
判定