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夕間暮
読み方 | 割合 |
ゆふまぐれ | 66.7% |
ゆうまぐれ | 33.3% |
お前が
私を拾つて下すつたのは、今から二十年前の
師走の廿五日、雪のチラつく
夕間暮と
能くお言ひだが、たツた五年の昔、三月十五日の花の夜
夕間暮なる
眉の
影、
鬢の
毛も
縺れたが、
目鼻立ちも
判明した、
容色のいゝのを
一目見ると、
呀、と
其處へ
飛脚が
尻餅を
搗いたも
道理こそ。
一昨年亡くなつた
女房であつた。
「
左様で、ござりません。仁丹が
可うござりますやろ。」と
夕間暮の
薬箪笥に手を掛ける、とカチカチと鳴る
環とともに、額の抜上った首を振りつつ
大な眼鏡越にじろりと
見る。
とうら寂しげな
夕間暮、
生干の
紅絹も黒ずんで、
四辺はものの
磯の風。