歴然くつきり)” の例文
豐かな洗髮を肩から背に波打たせて、ぢつと川原に目を落して、これも烈しく胸を騷がせてゐる智惠子の歴然くつきりと白い横顏を、吉野は不思議な花でも見る樣に眺めてゐた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
豊かな洗髪を肩から背に波打たせて、じつと川原に目を落して、これも烈しく胸を騒がせてゐる智恵子の歴然くつきりと白い横顔を、吉野は不思議な花でも見る様に眺めてゐた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
恰度ちやうど鶴飼橋へ差掛つた時、円い十四日の月がユラ/\と姫神山の上に昇つた。空は雲一片ひとつなく穏かに晴渡つて、紫深くくろずんだ岩手山が、歴然くつきり夕照せきせうの名残の中に浮んでゐる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)