“夕照”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
せきせう23.5%
ゆうでり17.6%
ゆふばえ17.6%
ゆうやけ11.8%
ゆうで5.9%
ゆうせふ5.9%
ゆうばえ5.9%
ゆふでり5.9%
ゆふやけ5.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この駒ヶ嶽の絶巓に微かに消え行く夕照せきせうの光を望み見て、日夜にちや都門に向ひて志を馳せつゝある少年なきや。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
国分寺につけば、そこで法月弦之丞に会えようと思うことを張合いにして、お綱と万吉は、その日、夕照ゆうでりをみながら少し無理なみちのりをかけ、もちの木坂の登りにかかった。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
北には筑波が朝紫に、西に富士はくれなゐの夕照ゆふばえにくつきりと白く、東南に安房上總は青黛のやうに、海となる空のはてに淡い。
大川ばた (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
風はピッタリやんでしまって、陰欝いんうつしつけられるような夏雲に、夕照ゆうやけの色の胸苦しい夕ぐれであった。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
空にかかった大鷲の影も、遠き夕照ゆうでりをうけて金羽きんうさんらんとして見えるかと思えば、またたちまち藍色あいいろの空にとけて、ただものすごき一点の妖影ようえいと化している。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金泥きんでいそらにながしていろどつた眞夏まなつのその壯麗そうれいなる夕照ゆうせふたいしてこころゆくまで、銀鈴ぎんれいこゑりしぼつてうたひつづけた獨唱ソロ名手めいしゅそらとりはねをとどめてそのみゝかたむけた、ああ
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
その白糸のような一筋の煙は渦を巻きながら、夕照ゆうばえの空に静かに上っていく。
千羽雀さやぐ田の垂穂波たりほなみ揺れてはろかや夕照ゆふでり寒く
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
さうして何時も谷を隔てた圓い丘の上に、またまんまるな明るい月が夕照ゆふやけの赤く殘つた空を恰度てうど花札の二十坊主のやうにのぼつたものである。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)