可傷いたまし)” の例文
上らぬ枕を取交えた、括蒲団くくりぶとんいちが沈んで、後毛おくれげの乱れさえ、一入ひとしお可傷いたましさに、お蔦は薄化粧さえしているのである。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
夢ながら可恐おそろしくも、浅ましくも、悲くも、可傷いたましくも、く方無くて唯一図に切なかりしを、事もし一塲の夢にしてとどまらざらんには、そもそ如何いかん! 今や塩原の実景は一々いちいち夢中の見るところ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)