登楼あが)” の例文
旧字:登樓
登楼あがる奴もあがる奴だし、遊ばせる奴も遊ばせる奴だ。不心得極まる奴輩やつばら——大目に見ておくことはできん。楼主と、その客をこれへ出せっ
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遊びというものが面白くないとも思っていませんから、ふらり内弟子のものと共に品川へ参り、名指なざし登楼あがって見ますと、成程なか/\の全盛でげす。
(一所に登楼あがるぜ。)と手を引いて飛込んで、今夜は情女いろおんなと遊ぶんだから、お前は次ので待ってるんだ、と名代みょうだいへ追いやって、遊女おいらんと寝たと云う豪傑さね。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
むろん断ったが、十八にもなってとあざけられたのがぐっと胸に来て登楼あがった。長崎県五島の親元へ出すおんなの手紙を代筆してやりながら、いろいろ妓の身の上話を聞いた。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
「もう半年も前のことやよつて、今でもそこに居やはるかどうか知れへんけれど、うちへ来る牛乳屋ぎうちやはんが遊びに登楼あがらはつたら、そしたらその敵娼あひかたはんが、どうどツしやらう、お信さんどしたいふやおまへんか。」
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
「ほ、一軒のこらず、いずれも両側はお茶屋らしいの。こころみに、どこかへ登楼あがって、ちょっと一しゃくいたそうか」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よく/\御縁がねえのだ、明日あすの晩は半纒を打殺ぶちころしても登楼あがらねえじゃア気がすまねえや
勿論断ったが、十八にも成ってと嘲けられたのがぐっと胸に来て登楼あがった。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
犬ころのように、首と首とをからみ合ってよろけて来る。そして、細目に開けた大戸の隙から手招きしている鼠鳴ねずみなきに呼び込まれ、そのままふらふらと登楼あがってしまった。
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と新造に伴なわれまして引附ひきつけへまいりますと、三人連の職人しゅうでございますが、中央なかに坐っているのが花里を名ざして登楼あがったんで、外はみなお供、何うやら脊負おんぶで遊ぼうという連中
だまって、うなずいた顔が、何だか不愍ふびんだったので、露八は、折箱おりと一緒に、登楼あがってしまった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「君におごらせる手はないよ。ここらは縄張り内だ。おお、そこへ登楼あがろう」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
空恍そらとぼけたって、もういけません。登楼あがりましょう、今のうちへ」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
登楼あがってみれば分るこってさ」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)