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騰
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あが
ふりがな文庫
“
騰
(
あが
)” の例文
油煙
(
ゆえん
)
がぼうつと
騰
(
あが
)
るカンテラの
光
(
ひかり
)
がさういふ
凡
(
すべ
)
てを
凉
(
すゞ
)
しく
見
(
み
)
せて
居
(
ゐ
)
る。
殊
(
こと
)
に
斷
(
た
)
ち
割
(
わ
)
つた
西瓜
(
すゐくわ
)
の
赤
(
あか
)
い
切
(
きれ
)
は
小
(
ちひ
)
さな
店
(
みせ
)
の
第
(
だい
)
一の
飾
(
かざ
)
りである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
見て居ると、其
夥
(
おびただ
)
しい
明光
(
あかり
)
が、さす息引く息であるかの様に
伸
(
の
)
びたり縮んだりする。其明りの中から時々
電
(
いなずま
)
の様な
光
(
ひかり
)
がぴかりと
騰
(
あが
)
る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
紀元二千六百年の今日、祝典は氾濫する。
熱閙
(
ねつたう
)
は光と
騰
(
あが
)
る。進め一億、とどろく皇禮砲の
下
(
もと
)
より進め。大政翼贊の大行進を始め。
新頌
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
どこでは米の相場が
騰
(
あが
)
っているから、早く積み出してゆけというたぐいで、それが一々適中するために、その家は大いに
工面
(
くめん
)
がよくなった。
中国怪奇小説集:10 夷堅志(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そこで
豐後
(
ぶんご
)
のウサにおいでになりました時に、その國の人のウサツ彦・ウサツ姫という二人が足一つ
騰
(
あが
)
りの宮を作つて、御馳走を致しました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
▼ もっと見る
そしてそれと覚しいほとりには、白い処々黄まだらな煙りが濛々と
騰
(
あが
)
つた、その煙りの中を黒い人影が隠見してゐた。
父の死
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
人に知られず、効果に現れずとも、たしなみの深い人には、奥床しさがほのぼのと立
騰
(
あが
)
るものであります。気配というものは正直なものであります。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
。さるれえの脳髄とお勢とは何の関係も無さそうだが、この時突然お勢の事が、噴水の
迸
(
ほとばし
)
る如くに、胸を突いて
騰
(
あが
)
る。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
それとも
勢
(
いきほひ
)
に駆られ情に激して、水は静かなれども風之を狂はせば巨浪怒つて
騰
(
あが
)
つて天を
拍
(
う
)
つに至つたのだらうか。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
今までは、どうか、こうか、人並に調子を取って来たのが汽車が留まるや否や、世間は急に陽気になって上へ
騰
(
あが
)
る。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
軍事予算というものを、無法にどんどん出しましたから、それで、お金の値打ちが下って、物と金の釣合いがとれなくなって、物価は二十五倍に
騰
(
あが
)
った。
幸福について
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
押問答が正午まで続いた末、始めの言い値が三百両という
法外
(
ほうがい
)
なところまで
騰
(
あが
)
って行って、とどのつまり隠居がしぶしぶながら首を縦に振ったのだった。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そのとき、また一閃して、こんどはドッと
騰
(
あが
)
った火焔が、一本の松の木に移って、パチパチと烈しく燃えだした。そしてなかなか消える模様がなかった。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
壮志
蹉跎
(
さた
)
行われずといえども、護国的精神、
敵愾
(
てきがい
)
的気象は、沸々として時勢の児の血管中に煮え
騰
(
あが
)
れり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
生温るい水蒸気が脚もとから舞い
騰
(
あが
)
るので、大きな風呂場に這入ったような感じがする。左手は前と同じ屏風の続きであるが、岩が見えないのは雪の深い為であろう。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
併
(
しかし
)
ながら
今日
(
こんにち
)
は
金解禁
(
きんかいきん
)
によつて
爲替相場
(
かはせさいば
)
が
既
(
すで
)
に
頂上
(
ちやうじやう
)
まで
騰貴
(
とうき
)
をしたのであるから、
爲替相場
(
かはせさうば
)
の
騰
(
あが
)
る
爲
(
ため
)
の
經濟界
(
けいざいかい
)
の
不景氣
(
ふけいき
)
は
既
(
すで
)
に
過去
(
くわこ
)
の
事實
(
じじつ
)
になつたと
見
(
み
)
てよろしいのである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
あの烟の渦卷き
騰
(
あが
)
る
状
(
さま
)
を見よ、今宵は興ある遊となるべきぞと云ひしに、博士
首
(
かうべ
)
を
掉
(
ふ
)
りて、かばかりの烟は物の數ならず、紀元七十九年の噴火の時を想ひ見給へと云ひぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
この手間賃もなかなか馬鹿には出来ないので、もとは一貫匁で二銭程度であったのが、現在では十二三銭にまで
騰
(
あが
)
っているという友太に、としゑはいろいろと訊きはじめた。
和紙
(新字新仮名)
/
東野辺薫
(著)
百姓は
割
(
わり
)
に合はん仕事やちうことは、よう
分
(
わ
)
かつてるが、そいでも地價がズン/\
騰
(
あが
)
るさかい、知らん
間
(
ま
)
に
身代
(
しんだい
)
が三
層
(
ぞう
)
倍にも五層倍にもなつたアるちうて、みな喜んではつたが
「鱧の皮 他五篇」解説
(旧字旧仮名)
/
宇野浩二
(著)
日支の事変が初まってから当然物価は
騰
(
あが
)
り初めた、然し暴利取締りが相当行届いてるせいか、その割に暴騰までには立到って居ない、特に農産物等はほとんど価格の値上りを見ない
百姓弥之助の話:01 第一冊 植民地の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
あの遠く一塊の白い雲の下にあたる真白いのが
立山
(
たてやま
)
である事、遥かな西方に淡く浮びあがったのが加賀の
白山
(
はくさん
)
である事や、長い尾根続きの端に飛び
騰
(
あが
)
ったような嶺が笠ヶ岳である事や
案内人風景
(新字新仮名)
/
百瀬慎太郎
、
黒部溯郎
(著)
『古事記』は次に記して曰く、次に国
稚
(
ワカ
)
く
浮脂
(
ウキアブラ
)
の如くにして、海月なす漂える時に、
葦牙
(
アシカビ
)
の如く、
萌
(
モ
)
え
騰
(
あが
)
れる物に因て、成りませる神の名は、
宇麻志葦牙彦遅
(
ウマシアシカビヒコヂ
)
ノ
神、次に
天之常立
(
アメノトコタチ
)
ノ
神。
比較神話学
(新字新仮名)
/
高木敏雄
(著)
物の値段は
青楼
(
ちやや
)
の主人には相談なしに
騰
(
あが
)
つて来た。十銭の煙草は十二銭になつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
天井知らずに
騰
(
あが
)
っている米価が、ずうんと下るは必定——その上、
施米
(
せまい
)
なぞもいたすつもりで、お上役向、名高い御寺の上人さまにも、御相談申しておれば、おかげで、広海屋の名は
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
火は既に全屋に及んで、その火の子の高く
騰
(
あが
)
るさまの凄じさと言つたら、無い。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「お駒さん、余計な事は言わない、此境内からたった一ト足出て、
此節
(
このせつ
)
の江戸の街を見てくれ、両に二斗の米(米価は此時百文に二合八勺まで
騰
(
あが
)
りました)が食えるものか食えねえものか」
黄金を浴びる女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
長府
小倉
(
こくら
)
あたりの米を買取らせ、二割か三割の手付金を売っておけば、よし不要になったところで米価は必定
騰
(
あが
)
るのだから、俵当り十
匁
(
もんめ
)
二十匁の徳になっても万々損にはならぬであろうこと。
志士と経済
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
その水平線より少し上の岩の間に穴があってその穴から火が出るのですが、その火が水の上を
匐
(
は
)
って上に
騰
(
あが
)
るのです。愚民がこれを見ると全く水の中から火が燃えて出るように見えるのです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
と
体
(
たい
)
を
抄
(
すく
)
い込み、どんと、次の部屋まで投げつけると、その脚か手が、炉の上の
自在鉤
(
じざいかぎ
)
へぶつかったのであろう。朽ち竹の折れる響きと共に、炉の口から、火山のような白い灰が
噴
(
ふ
)
き
騰
(
あが
)
った。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、砂山越しに汽笛が鳴つて、煤烟がむく/\と
騰
(
あが
)
り、汽車の音がする。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
漸次その勢いを増して今日は昨日より明日はまた今日よりも
騰
(
あが
)
るというふうで、株式も土地も各種材料も買えば必ず儲かるのであったから、日頃着実な地方の農家までが競って思惑株に手を出し
一商人として:――所信と体験――
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
、
相馬黒光
(著)
生業
(
なりはひ
)
は奪はれ、税金は高くなり、諸式は
騰
(
あが
)
り、増えるのは小供許り。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
価格は
騰
(
あが
)
り、差損は減少する。
純粋経済学要論:01 上巻
(新字新仮名)
/
マリー・エスプリ・レオン・ワルラス
(著)
騰
(
あが
)
れるゆげには
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
その後も彼はつづけて各劇場に出勤していたが、芸の評判はますます
騰
(
あが
)
った。どの役も
殆
(
ほと
)
んど不評というのはなかった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
如何に
愛宕
(
あたご
)
の申子なればとて、飯綱愛宕の魔法を修行し、女人禁制の苦を甘ない、
経陀羅尼
(
きょうだらに
)
を
誦
(
じゅ
)
して、印を結び
呪
(
じゅ
)
を保ち、身を虚空に
騰
(
あが
)
らせようなどと
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
次に國
稚
(
わか
)
く、
浮
(
う
)
かべる
脂
(
あぶら
)
の如くして
水母
(
くらげ
)
なす
漂
(
ただよ
)
へる時に、
葦牙
(
あしかび
)
五
のごと
萠
(
も
)
え
騰
(
あが
)
る物に因りて成りませる神の名は、
宇摩志阿斯訶備比古遲
(
うましあしかびひこぢ
)
の神
六
。次に
天
(
あめ
)
の
常立
(
とこたち
)
の神
七
。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
彼
(
かれ
)
は
煙
(
けぶり
)
が
騰
(
あが
)
る
度
(
たび
)
に
窪
(
くぼ
)
んだ
黄色
(
きいろ
)
な
目
(
め
)
を
蹙
(
しが
)
めるやうにして、
心
(
こゝろ
)
づいた
樣
(
やう
)
に
吸殼
(
すひがら
)
を
手
(
て
)
の
平
(
ひら
)
に
吹
(
ふ
)
くのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
その折は十丈も煮え
騰
(
あが
)
る湯煙りの
凄
(
すさま
)
じき光景が、しばらくは
和
(
やわ
)
らいで安慰の念を余が頭に与えた。すべての対照は大抵この二つの結果よりほかには何も生ぜぬ者である。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この四月以来紙代や印刷代が
騰
(
あが
)
って写真の多い雑誌の経営は逼迫して来ているのであった。
築地河岸
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
爲替相場
(
かはせさうば
)
が
騰
(
あが
)
ることは
日本
(
にほん
)
の
通貨
(
つうくわ
)
の
對外價値
(
たいぐわいかち
)
が
上
(
あが
)
ることであるから
外國
(
ぐわいこく
)
から
直接
(
ちよくせつ
)
輸入
(
ゆにふ
)
せらるゝものは
悉
(
こと/″\
)
く
値段
(
ねだん
)
が
安
(
やす
)
くなる、一ヤール五
圓
(
ゑん
)
の
羅紗
(
ラシヤ
)
が五
圓
(
ゑん
)
五十五
錢
(
せん
)
であつたものが
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
若駒の馳せ狂ひて、
後脚
(
とも
)
もて水を蹴るときは、飛沫高く
迸
(
ほとばし
)
り上れり。その
疾
(
と
)
く
捷
(
はや
)
き運動を、畫かく人に見せばやとぞ覺ゆる。左の方なる原中に一道の烟の大なる柱の如く
騰
(
あが
)
れるあり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
繭は
廉
(
やす
)
いし、たとえ繭の値が急に
騰
(
あが
)
ったのにしろ、蚕を飼う桑が一定の桑畑しかない土地からそう余計に求められるものではない以上、掃き立てる枚数をいきなり多く増せるものではない。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
汪洋
(
おうよう
)
たる木曾川の水、雨後の、濁って凄まじく増水した日本ライン、噴き
騰
(
あが
)
る乱雲の層は南から西へ、
重畳
(
ちょうじょう
)
して、何か
底光
(
そこひかり
)
のする、むしむしと紫に曇った奇怪な一脈の連峰をさえ現出している
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
釦
(
ボタン
)
一つ押すと
紫電
(
しでん
)
一閃
(
いっせん
)
。太い二本の光の柱です。一本は真直に空中を飛び上る。もう一本は敵陣の中につっこむ。するとパッと
黄煙
(
こうえん
)
が
騰
(
あが
)
ると見る間に、
艦
(
ふね
)
も敵兵も瞬間に煙となって空中に飛散する。
発明小僧
(新字新仮名)
/
海野十三
、
佐野昌一
(著)
其処
(
そこ
)
に泊つて居る船も五六艘はあつた。
朝炊
(
あさげ
)
の
煙
(
けぶり
)
が紫に細く
騰
(
あが
)
つた。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
天皇この歌を聞かして、軍を興して、
殺
(
と
)
りたまはむとす。ここに速總別の王、女鳥の王、共に逃れ退きて、
倉椅山
(
くらはしやま
)
九
に
騰
(
あが
)
りましき。ここに速總別の王歌ひたまひしく
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
青年の賃金の低さは婦人の賃金が
騰
(
あが
)
る時でなければ決して騰らないし、民法の上で女が独立の権利を持たないうちは、一家の中で長男だけが持っている特権と負担とは解決しない。
青年の生きる道
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
代助は家を出る前に、
昨夕
(
ゆうべ
)
着た肌着も
単衣
(
ひとえ
)
も
悉
(
ことごと
)
く改めて気を
新
(
あらた
)
にした。外は寒暖計の度盛の日を
逐
(
お
)
うて
騰
(
あが
)
る頃であった。歩いていると、湿っぽい
梅雨
(
つゆ
)
が
却
(
かえ
)
って待ち遠しい程
熾
(
さか
)
んに日が照った。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この辺がまだ畑地交りであった時分
廉
(
やす
)
い地代ですこし広く買い取って家を建てたのがいつか町中になってしまってうるさくはあるが地価は
騰
(
あが
)
った。当惑と恭悦を一緒にしたような住居の様子だ。
豆腐買い
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
“騰(内史騰)”の解説
内史 騰(ないし とう、生没年不詳)は、中国戦国時代の韓の将軍で後に秦に降った。内史は官名であるが、姓氏は不明であり、内史騰とのみ呼ばれる。
(出典:Wikipedia)
騰
常用漢字
中学
部首:⾺
20画
“騰”を含む語句
沸騰
上騰
立騰
暴騰
昇騰
騰上
奔騰
昂騰
曾富騰
殿騰戸
巻騰
騰貴
馬騰
噴騰
狂騰
飛騰
物價騰貴
騰波鼓浪
行騰
足一騰宮
...