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吸殼
彼はおつぎの
意中を
能く
解して
居るので
其の
吸殼は
決して
目につく
處へは
棄てないで
細かに
押し
揉んで
外へ
出る
序に
他人の
垣根の
中などへ
放棄つた。
勘次は
家に
戻ると
飯臺の
底にくつゝいて
居る
飯の
中から
米粒ばかり
拾ひ
出してそれを
煙草の
吸殼と
煉合せた。
彼は
煙が
騰る
度に
窪んだ
黄色な
目を
蹙めるやうにして、
心づいた
樣に
吸殼を
手の
平に
吹くのである。