トップ
>
崇
>
あが
ふりがな文庫
“
崇
(
あが
)” の例文
水の泡のやうな世の中の便利不便利や、僅か生きてる間の遊び事を一生懸命考へるだけの人なら、私はさう
崇
(
あが
)
める氣になれませんよ。
仮面
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
王は単にその夫たるだけの訳で
崇
(
あが
)
めらるるに過ぎず、したがって王冠が
垢
(
あか
)
の他人の手に移らぬよう王はなるべくその姉妹を后とした。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「相馬殿——」と、彼を
崇
(
あが
)
め、また内にあっても「お館」と敬称して、もう以前のような悪友ぶりや非礼は決して現わさなくなった。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
事実順慶は、三十人にあまる秀次の
嬪妾
(
ひんしょう
)
のうちで彼女を一段と高く
崇
(
あが
)
めており、いかなる場合にも敬慕の念を失うことがないのである。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
またそういう婦人になにかふしぎな事があって、神に
崇
(
あが
)
めまたは
塚
(
つか
)
に
祀
(
まつ
)
ったという伝説は、今でもおりおり
田舎
(
いなか
)
にはのこっている。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
揚子江と
灌水
(
かんすい
)
の間の土地では、蛙の神を祭ってひどく
崇
(
あが
)
めるので、
祠
(
ほこら
)
の中にはたくさんの蛙がいて、大きいのは籠ほどあるものさえある。
青蛙神
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
俗書はなにから生まれるか、なにが俗書を生むかである。殊に家元の人々といえば、茶の宗家として由来
崇
(
あが
)
め続けられている人々である。
現代茶人批判
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
ことに先年来、自ら妖怪学を研究して、一層この不思議の妙味を感ずるようになり、爾来、妖怪を神のごとく
崇
(
あが
)
め奉りて喜んでおります。
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
いやいやかれに限つては、乃公を真底主人ぞと、
崇
(
あが
)
むればこそ、勝気のかれが、もの数さへにいひかねて、
扣
(
ひか
)
え目がちの、涙多。
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
私も敬念を以て天才を
崇
(
あが
)
めよう。だが情愛を以てさらに民衆に近づこう。天才の作よりさらに偉大な工藝を産み得るその民衆を。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
その他の人間については、「大なる者」を
崇
(
あが
)
めることでなく、「小さき者」を顧みる心を、私どもはイエス様から教えられているのです。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
混迷の度を強めてござる! かるがゆえにあえて
某
(
それがし
)
は申す! 我らには唯一に純粋性の、動かぬ大柱の帝がおわす! 尊み、
崇
(
あが
)
め、誇り
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
今でこそ、画聖と
崇
(
あが
)
められ、名宝展などで朝野の
貴顕
(
きけん
)
に騒がれようとも、応永の昔の雪舟は高が雲水乞食に過ぎないのである。
故郷に帰りゆくこころ
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
ゆえに英文学を論ずるものは、『失楽園』を批評するにあたり、ミルトンの神をけなし、ミルトンの悪魔を
崇
(
あが
)
めぬものはない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
縱
(
たと
)
ひ有るまじきことある世とならんも、羅馬は猶その古き諸神の像と共に、その無窮なる美術と共に、世界の民に
崇
(
あが
)
められん。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
誰か
徒為
(
いたづら
)
に旧思想を墨守し、
狭隘
(
けふあい
)
なる国家主義を金城鉄壁と
崇
(
あが
)
め、己れと己れの天地を
蠖屈
(
くわくくつ
)
の
窄
(
せま
)
きに甘んぜんとするものぞ。
一種の攘夷思想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
そのもてなし方は有難いのが半分、面白がりが半分で、やたらに
崇
(
あが
)
め奉って、これから到るところ、そのお立寄りを願うことになりそうです。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
広瀬中佐は日露戦争のときに、
閉塞
(
へいそく
)
隊に加わって
斃
(
たお
)
れたため、当時の人から
偶像
(
アイドル
)
視されて、とうとう軍神とまで
崇
(
あが
)
められた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして木村の方へ向いて、「これまで死刑になった
奴
(
やつ
)
は、献身者だというので、ひどく
崇
(
あが
)
められているというじゃないか」
食堂
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
家柄だの財産だのを、無上のものと
崇
(
あが
)
め
奉
(
たてまつ
)
る世間にたいして、自分の名誉やぱりぱりの名声でもって、仕返しをする気なのだろうと思っていた。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
住吉
(
すみよし
)
を
移奉
(
うつしまつ
)
る
佃島
(
つくだじま
)
も岸の姫松の
少
(
すくな
)
きに
反橋
(
そりばし
)
のたゆみをかしからず
宰府
(
さいふ
)
は
崇
(
あが
)
め
奉
(
たてまつ
)
る名のみにして
染川
(
そめかわ
)
の色に
合羽
(
かっぱ
)
ほしわたし
思河
(
おもいかわ
)
のよるべに
芥
(
あくた
)
を
埋
(
うず
)
む。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
いまも神を侮りて
崇
(
あが
)
むることなしとみゆ、されどわが彼にいへる如く彼の嘲りはいとにつかしきその胸の飾なり —七二
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
言い換えれば、
崇
(
あが
)
むべき人と良心を託すべき人と、すべての人が世界的に一致して、
蟻塚
(
ありづか
)
のように結合する方法である。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
そしてそのなきがらを
埋
(
う
)
めたお
墓
(
はか
)
を
将軍塚
(
しょうぐんづか
)
といって、千
何年
(
なんねん
)
という
長
(
なが
)
い
間
(
あいだ
)
京都
(
きょうと
)
の
鎮守
(
ちんじゅ
)
の
神様
(
かみさま
)
のように
崇
(
あが
)
められて、
何
(
なに
)
か
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
災
(
わざわ
)
いの
起
(
お
)
こる
時
(
とき
)
には
田村将軍
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「この鏡は私の
魂
(
たましい
)
だと思って、これまで私に仕えてきたとおりに、たいせつに
崇
(
あが
)
め
祀
(
まつ
)
るがよい」とおっしゃいました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
和尚様は、お寺が立派になつたわけと、愚助が大和尚様と
崇
(
あが
)
められてゐるわけとを聞いて、腹を抱へて笑ひました。
愚助大和尚
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
人あれといへば即ち人あり。諸人何ぞこの大神を
崇
(
あが
)
めざるや。何ぞ猥りに神威を疑ひ、大神の怒、天地滅尽、じゆいそぜらるの時来らむを恐れざるや。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
長崎に居ること難しソリャ
斯
(
こ
)
う
云
(
い
)
う次第になって来た。その
奥平壹岐
(
おくだいらいき
)
と云う人に
与兵衛
(
よへえ
)
と云う
実父
(
じっぷ
)
の隠居があって、私共は
之
(
これ
)
を御隠居様と
崇
(
あが
)
めて居た。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それに、だあれも、自分たちの名誉を知らずにいたんだ。新しいブルタスを
崇
(
あが
)
めようじゃないか。このブルタスはラテン語を司教さんのようにしゃべる。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
妾は妾のやうなものに堅く門を閉ぢて決してうけ入れないやうな厳しい宗門をこそ
崇
(
あが
)
めますわ。讃美しますわ!
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
四月三日には、崇徳院を神と
崇
(
あが
)
めることになり、昔合戦のあった
大炊御門
(
おおいのみかど
)
の跡に社を建ててお
祀
(
まつ
)
りした。これは、すべて法皇のお指図によるものであった。
現代語訳 平家物語:10 第十巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
これは当時の日本人が、天皇を権力者と見なかったばかりか、神の子のように
崇
(
あが
)
めなかったことを示している。
天皇:誰が日本民族の主人であるか
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
自己が唯一の俳人と
崇
(
あが
)
めたる其角の句を評して
佳什
(
かじゅう
)
二十首に上らずという、見るべし蕪村の眼中に古人なきを。
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
今までの世間の習慣は、学問といふものをあんまり
崇
(
あが
)
めすぎて、一般の人達から遠ざけてしまひすぎました。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
が、今はわれらの女王と
崇
(
あが
)
むる小坂部殿のお指図じゃで、よんどころなしに今夜ここまで出向いてまいった。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「圧迫されるよ。あの目にはね。あれ以上出て来られちゃ溜まらないから一も二もなく
崇
(
あが
)
め
奉
(
たてまつ
)
っているのさ」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ねえ、橋本君、
先
(
ま
)
ず
吾儕
(
われわれ
)
の商売は、女で言うと丁度芸者のようなものだネ。御客
大明神
(
だいみょうじん
)
と
崇
(
あが
)
め奉って、ペコペコ御辞儀をして、それでまあ
玉
(
ぎょく
)
を付けて貰うんだ。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
亡魂がお竹を大日如来と
崇
(
あが
)
め、十念を受けて初めて成仏するなどというぱっとしない作柄で、表紙から裏表紙まで亡霊と血痕でうんざりするような作品であった。
仇討たれ戯作
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
隠微
(
かくれ
)
たるに
鑒給
(
みた
)
まう神様よ。どうぞどうぞ
聖名
(
みな
)
を
崇
(
あが
)
めさせ給え。み
休徴
(
しるし
)
を地上にあらわし給え…………
瓶詰地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
追及する信仰あり、神は物質的恩恵の故に
崇
(
あが
)
むべき者にあらず、神は神御自身の故に崇むべきものなり
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
何処までも伯父やお雪さんを親と
崇
(
あが
)
め、きつとその中御恩返しするといふ意味のことを書いてあつた。
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
百済観音のみならず、ガラスのケースの中にも多くの古仏は並べられ、造花が添えられ、
崇
(
あが
)
められているようにみえるが、また見世物式であることも否定出来ない。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
願わくば御名の
崇
(
あが
)
められんことを。御国の来らんことを。
御意
(
みこころ
)
の天のごとく地にも行われんことを。
反逆
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
現代文学は
来
(
こ
)
し方行く末の程も判らぬうねりの波間に、主観的必死のしがみつきを芸神として
崇
(
あが
)
めているのだから、そういう雰囲気を生活人の意力、現実性で克服して
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
また老人を
崇
(
あが
)
めて、「人間の域を超えた尊い
生神様
(
いきがみさま
)
に相違ない」と、みんな手をそろえて拝んだ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
かつて江戸と呼ばれたころには富士山が「自分たちの山」として
崇
(
あが
)
められていたことであった。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
なほ最後につけ加へたいのは、我我の租先は杉の木のやうに椎の木をも神と
崇
(
あが
)
めたことである。
わが散文詩
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
果してそうであるとすれば、富士山の浅間神社も其本体は火山を
崇
(
あが
)
めたものなのであったろう。
望岳都東京
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
もっともそうは言い条、異性との交渉を微塵も持たずに征く木石の淡白さが、男性としての慕わしさに
崇
(
あが
)
められる心をも、としゑは胸のどこかにひそめてはいるのだった。
和紙
(新字新仮名)
/
東野辺薫
(著)
彼と彼の犬とは同じやうに瞳を輝かして、未開人たちが神と
崇
(
あが
)
めたその燃える火を見つめた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
“崇”の解説
崇(すう)は、殷代の諸侯国。
(出典:Wikipedia)
崇
常用漢字
中学
部首:⼭
11画
“崇”を含む語句
崇高
崇敬
崇重
尊崇
崇厳
崇禎
崇福寺
信崇
崇拝
崇徳
崇神
崇徳院
崇峻
崇鑑
崇拜
崇称
石崇
崇光
崇神天皇
崇拝者
...