“のどけ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
長閑66.7%
晴和11.1%
11.1%
長閉11.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
揃って、むらはげ白粉おしろいが上気して、日向ひなたで、むらむらと手足を動かす形は、菜畠なばたけであからさまに狐が踊った。チャンチキ、チャンチキ、田舎の小春の長閑のどけさよ。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
靜なる、清き、晴和のどけそらに、ゆくりなき火しば/\流れて、やすらかなりし目を動かし 一三—一五
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
山のうるはしとふも、つちうづたかき者のみ、川ののどけしと謂ふも、水のくに過ぎざるを、ろうとして抜く可からざる我が半生の痼疾こしつは、いかつちと水とのすべき者ならん、と歯牙しがにも掛けずあなどりたりしおのれこそ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
すぐうしろの寺の門の屋根にはすずめつばめが絶え間なくさえずっているので、其処そこ此処ここに製造場の烟出けむだしが幾本も立っているにかかわらず、市街まちからは遠い春の午後ひるすぎ長閉のどけさは充分に心持よくあじわわれた。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)