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咽喉
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のど
ふりがな文庫
“
咽喉
(
のど
)” の例文
聞くだけで
咽喉
(
のど
)
の詰まるような、食欲を吹き飛ばすようなあのバナールな呼び声も、これは幸いにさっぱり聞かなくなってしまった。
物売りの声
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そうでなければ何を書いているだろう?……まだ後れて来るかも知れないとBは食物も
咽喉
(
のど
)
に通らないで、戸口の方を
見詰
(
みつ
)
めていた。
扉
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
児玉はそれを受取ると、大きくごくりと
咽喉
(
のど
)
をならして、紙の上に書かれてある文字に目を走らせた。と、彼の顔が急に硬くなった。
宇宙戦隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
部屋へ戻ると、女中が夕飯を運んで来たが、寺田は
咽喉
(
のど
)
へ通らなかった。すぐ下げさせて、二時間ばかりすると、蒲団を敷きに来た。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
奥様が、烏は
脚
(
あし
)
では受取らない、とおつしやつて、男が
掌
(
てのひら
)
にのせました指環を、
此処
(
ここ
)
をお
開
(
ひら
)
きなさいまして、(
咽喉
(
のど
)
のあく
処
(
ところ
)
を示す)
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
此凄まじい日に照付られて、一滴水も飲まなければ、
咽喉
(
のど
)
の
炎
(
も
)
えるを
欺
(
だま
)
す
手段
(
てだて
)
なく
剰
(
あまつ
)
さえ
死人
(
しびと
)
の
臭
(
かざ
)
が
腐付
(
くさりつ
)
いて
此方
(
こちら
)
の体も
壊出
(
くずれだ
)
しそう。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
固
(
もと
)
より云う事はあるのだから、何か云おうとするのだが、その云おうとする言葉が
咽喉
(
のど
)
を通るとき
千条
(
ちすじ
)
に
擦
(
す
)
り
切
(
き
)
れでもするごとくに
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
うど——ん、という声を続けるところで急に
咽喉
(
のど
)
が
塞
(
ふさが
)
ってしまったらしいから、せっかくの
余韻
(
よいん
)
が
圧殺
(
おしころ
)
されたような具合であります。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
咽喉
(
のど
)
から流れるままに口の中で
低唱
(
ていしやう
)
したのであるが、
其
(
そ
)
れによつて
長吉
(
ちやうきち
)
は
已
(
や
)
みがたい心の苦痛が
幾分
(
いくぶん
)
か
柔
(
やはら
)
げられるやうな
心持
(
こゝろもち
)
がした。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
夜半
(
よなか
)
に
咽喉
(
のど
)
が
煎
(
い
)
りつくような気がして、小平太は眼を覚した。気がついてみると、自分はちゃんと蒲団の上に夜着を
被
(
か
)
けて寝ていた。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
私の食慾はもう立派な機械になりきってしまって、するめがそしゃくされないうちに、私は水でそれをゴクゴク
咽喉
(
のど
)
へ流し込むのだ。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
そうすると、最後の
讃詠
(
アンセム
)
を弾くまでの二十分あまりの間に、易介の
咽喉
(
のど
)
を切り、そうして失神の原因を作ったと見なけりゃならない。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
……眼に見えぬ嬢次様の手に頭髪を掴まれ、眼に見えぬ志村御夫婦の怨みの縄に
咽喉
(
のど
)
を締められておいでにならなければなりませぬ。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そう言って、ぞろぞろ土堤へ這い上り、腕を振り
咽喉
(
のど
)
を
膨
(
ふく
)
らまし、労働歌や革命歌を爆発させた。日に五六遍は土堤へ押しかけた。
鋳物工場
(新字新仮名)
/
戸田豊子
(著)
大入
(
おほいり
)
だ
評判
(
ひやうばん
)
だ四
版
(
はん
)
だ五
版
(
ばん
)
だ
傑作
(
けつさく
)
ぢや
大作
(
たいさく
)
ぢや
豊年
(
ほうねん
)
ぢや
万作
(
まんさく
)
ぢやと
口上
(
こうじやう
)
に
咽喉
(
のど
)
を
枯
(
か
)
らし
木戸銭
(
きどせん
)
を
半減
(
はんまけ
)
にして
見
(
み
)
せる
縁日
(
えんにち
)
の
見世物
(
みせもの
)
同様
(
どうやう
)
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
「おまえ、豚におなり。ぼくは、ぶたをつぶす人になる」と言って、抜き身の
小刀
(
ナイフ
)
を手にとるなり、弟の
咽喉
(
のど
)
を、ぐさりと突きました。
子どもたちが屠殺ごっこをした話
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
そして、ひどく
咽喉
(
のど
)
が渇いていた。雄吾は無意識のうちに、開墾地帯に近い原始林の中を流れている谷川の方へ歩みをむけていた。
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
その真黒な獣がゴロゴロと
咽喉
(
のど
)
を鳴らすのを聞きながら、その柔かい毛の感触を咽喉や顎のあたりに感じながら、彼は毎晩寝に就いた。
プウルの傍で
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
枯つ葉一つがさつか無え桑畑の上に
屏風
(
びやうぶ
)
を
立
(
たて
)
てよ、その桑の枝を
掴
(
つか
)
んだ
鶸
(
ひは
)
も、寒さに
咽喉
(
のど
)
を痛めたのか、声も立て無えやうな
凍
(
い
)
て
方
(
かた
)
だ。
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
涙がはてしなく流出して
咽喉
(
のど
)
が乾くので、彼は水を飲んでは泣き、水を飲んでは泣き、一日中とめどもなく虫のように泣いていました。
Sの背中
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
いつか私も甘いものといえば一口も
咽喉
(
のど
)
を通らぬ様になって、今は隣の湯豆腐、その又となりの鉢巻の岡田の方へ足が向く様になった。
新古細句銀座通
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
「
怕
(
こわ
)
いことはない。念のためにきくのじゃ。遠慮のう言うてみい。さだめし
咽喉
(
のど
)
から手が出おったろうに、なにゆえ拾わざったぞ」
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
咽喉
(
のど
)
一杯の声を張り上げて——
恰度
(
ちょうど
)
、小学校の生徒が唱歌の試験でも受けているような具合に——歌う様子が僕達には珍しかった。
赤げっと 支那あちこち
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
十六日の午後、だしぬけに風がやんで、雲切れした雲の間から、灼くように太陽が照りつけ、誰も彼れも
咽喉
(
のど
)
の乾きに悩まされた。
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
私が手に取りあげて見せますと、妻はにっこりと笑いましたが、それと同時に
咽喉
(
のど
)
が、一度に鳴って、静かに瞑目して行きました。
人工心臓
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
ここは山陽と
近畿
(
きんき
)
の
咽喉
(
のど
)
にあたる要害の地であったが、当時はまだ後に姫路城と称されたあの壮大な景観は備えていなかったのである。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そう云った時、少年の
咽喉
(
のど
)
から、かすれた、老人の
咳
(
せき
)
のような、子供らしくない笑いごえが出て、それが異様に屋根うらへ響いた。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と咄嗟に、私にも蒼空の下には飛び出せない我身の
永劫
(
えいごふ
)
遁
(
のが
)
れられぬ
手械足枷
(
てかせあしかせ
)
が感じられ、堅い塊りが込み上げて来て
咽喉
(
のど
)
もとが
痞
(
つか
)
へた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
彼は、夫人に会えば、こう云おうあゝ云おうと思っていた言葉が、
咽喉
(
のど
)
にからんでしまって、たゞモジ/\興奮するばかりだった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
腰間
(
こし
)
の濡れ燕に催促されて、「人が斬りたい、人が斬りたい!」と、ジリジリ
咽喉
(
のど
)
がかわくような気分になったときの丹下左膳は。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
のみならず狂乱に近くなった彼女は取り止めのない言葉を口走ると共に肌身離さぬ短剣をスラリと引き抜いて我れと我が
咽喉
(
のど
)
に擬した。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
私のような弱い
婆
(
ばゞあ
)
の前では、
咽喉
(
のど
)
をしめるの
何
(
なん
)
のと云って脅しました、先生の前では
何
(
なん
)
とも云えまい、咽喉をしめるなら締めて見ろ
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まだあちらにいた頃足しげく往来していた吉原兵太郎という名前が、
咽喉
(
のど
)
につかえていた。いよいよとなって、ついと飛びだしたのだ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
レクトル・エケクランツは
猶大
(
ユダヤ
)
系のでんまあく人で、湿黒の髪と湿黒のひげと、
水腫
(
みずぶく
)
れのした
咽喉
(
のど
)
と、美しい娘とを持っていた。
踊る地平線:05 白夜幻想曲
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
私の競争者は
咽喉
(
のど
)
の器官に悪いところがあって、そのためにどんなときでもごく低いささやき以上に声を高めることができなかったのだ。
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
まったく! 目を
瞠
(
みは
)
るまでもなく、つい
眼前
(
がんぜん
)
に、高らかに、
咽喉
(
のど
)
ふくらまして唄っている
裸形
(
らぎょう
)
のうちに、彼が最愛の息子利助がいたのだ!
眼
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
その中へ、
咽喉
(
のど
)
の水を吐きだした途端に、ほら、ちやうど先刻みたいなギギーッと裂くやうな
啼声
(
なきごえ
)
と、けたたましい羽ばたきがしたのさ。
夜の鳥
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
女は鍋久のお直で、小左衛門のために
咽喉
(
のど
)
を絞められかかったのであるが、人々に介抱されて息をふき返した。男はかの新次郎であった。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そして疲れはてては
咽喉
(
のど
)
や胸腹に刃物を当てる
発作的
(
ほっさてき
)
な恐怖に
戦
(
おのの
)
きながら、夜明けごろから気色の悪い次ぎの睡りに落ちこんだ。
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
しかしこの哀切なる悲声が彼の魂の
咽喉
(
のど
)
を絞りて出でたるがために、多くの患難悲痛にある人々が彼によって救わるるのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
岩にかじり付いて、雪解け水に
咽喉
(
のど
)
をしめすと、汗にびっしょりなった身内がぞくぞくして、もうこのまま死ぬんではないかと思われた。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
この人の声は決して緻密ではない。が、強大なホーンを持った
咽喉
(
のど
)
で、高朗強大なことはバリトン中でも恐らく第一人であろう。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
清作はもちろん弁解のことばなどはありませんでしたし、面倒臭くなつたら
喧嘩
(
けんくわ
)
してやらうとおもつて、いきなり空を向いて
咽喉
(
のど
)
いつぱい
かしはばやしの夜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「
咽喉
(
のど
)
を
潤
(
しめ
)
しておいてから……」と、山西は一口飲んで、隣の
食卓
(
テーブル
)
に
正宗
(
まさむね
)
の
壜
(
びん
)
を二三本並べている
髯
(
ひげ
)
の黒い男を気にしながら
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
喧
(
やかま
)
しい店のことであるから、料理場にものを通したり、表を通る客に声をかけるに大きな声を張りあげるので、彼女たちの
咽喉
(
のど
)
はつぶれて
日本三文オペラ
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
そして私たちがそこに待っている間中、彼は
咽喉
(
のど
)
の詰る思いをしているかのように絶えず唾をごくりごくりと嚥みこんでいた。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
歩兵一
聯隊
(
れんたい
)
の起床ラッパを、赤坂檜町の旧居で聴いている錯覚をおこしていたが、近くで猫が、
咽喉
(
のど
)
を鳴らしている気もした。
遠藤(岩野)清子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
『あんたまだ起きてたの、私は
咽喉
(
のど
)
が渇いてめが覚めたんだけれど、あんたもお茶を飲みたかないか、いま
階下
(
した
)
へいって持って来てあげよう』
ある遊郭での出来事:公娼存廃論者への参考資料としての実例
(新字新仮名)
/
若杉鳥子
(著)
復一はあわてるほど、
咽喉
(
のど
)
に貼りついて死ぬのではないかと思って、わあわあ泣き出しながら家の
井戸端
(
いどばた
)
まで駆けて帰った。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
咽喉
(
のど
)
のところを
撫
(
な
)
でてやったら、すぐにそいつが咽喉をごろごろ鳴らし出したので、私はなんだか
反
(
かえ
)
ってさびしい気がした。
旅の絵
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
“咽喉”の解説
咽喉(いんこう)は、首の一部であり、頸椎の前方にある。内部は咽頭と喉頭から構成され、口の奥、食道と気管の上にある。咽喉の重要な特徴として、食道と気管を分け、食物が気管に入るのを防ぐ喉頭蓋がある。
咽喉には、咽頭と喉頭のほかにさまざまな血管と筋肉がある。哺乳類の咽喉にある骨は、舌骨と鎖骨だけである。
(出典:Wikipedia)
咽
常用漢字
中学
部首:⼝
9画
喉
常用漢字
中学
部首:⼝
12画
“咽喉”で始まる語句
咽喉笛
咽喉仏
咽喉元
咽喉首
咽喉頸
咽喉部
咽喉太
咽喉佛
咽喉輪
咽喉管