ある晩、F楼の亭主が隣家のH楼の電話を借りにいった。 Fにも電話があるのに自分の処へ借りに来たものだから、H楼の亭主は何事かと思って、 『お宅の電話は、どうかしましたか?』 と訊いた。 『ナニ、警察へちょっと……野郎感づくと遁がしちまうから …
著者 | 若杉鳥子 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 記録 手記 ルポルタージュ |
初出 | 「婦人公論 第十年八号」中央公論社、1925(大正14)年8月1日 |
文字種別 | 新字新仮名 |
読書目安時間 | 約12分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約19分(300文字/分) |