“淡紅”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とき31.6%
うすあか23.7%
たんこう13.2%
うすくれない7.9%
うすべに7.9%
うすくれなゐ5.3%
ときいろ2.6%
ほんのり2.6%
もゝいろ2.6%
ピンク2.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
すると紅の暗さに、一抹いちまつの明るみが差したかのように、血の流れた下から、見るも鮮やかな淡紅とき色をしたものが現われたのである。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
淡紅うすあかい顔をしたその西洋人が帰って来ると、お島さんもどこからか現われて来て、自堕落じだらくだるい風をしながら、コーヒを運びなどしていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
夏のころ梅の如き淡紅たんこうの花を開きのちをむすび熟するときはけて御輿みこしのわらびでの如く巻きあがる。茎も葉も痢病の妙薬なりといふ。みこしぐさ。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
雪のように白き顔少しはじらいて。ほおのあたり淡紅うすくれないをおびたる。髪は束髪にたばねて。つまはずれの尋常なる衣服こそでは。すこしじみ過ぎし七ツ下りの縞縮緬しまちりめん
藪の鶯 (新字新仮名) / 三宅花圃(著)
まる天井から、淡紅うすべに色の絹布きぬぎれに包まれた海月くらげ型のシャンデリヤが酸漿ほおずきのように吊り下っていたが、その絹地に柔らげられた、まぼろしのような光線が、部屋中の人形を
白菊 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ことに八重の淡紅うすくれなゐに咲けるが、晴れたる日、砂立つるほどの風のにはかに吹き出でたるに、雨霰と夕陽ゆふひさす中を散りたるなど、あはれ深し。
花のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
萌黄もえぎ淡紅ときいろしどけないよる調度てうど部屋々々へや/″\にあからさまで、下屋したやはしには、あかきれ翻々ひら/\する。寢轉ねころんだをとこはしらつた圓髷姿まるまげすがたぜんはこ島田髷しまだまげ縁側えんがはを——ちう釣下つりさがつたやうにとほる。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
端近く坐った呉羽之介の玉のかんばせは斜めに光りをうけて、やさしい陰影になやましさを添い、ふっくり取り上げられた若衆まげのびんのほつれは、を吹いたように淡紅ほんのりとしているほおわずかに乱れ
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
聞權三も反起はねおき打連立うちつれだちて表へいで昨夜ゆうべ此所ここにて何か洗し樣子なるが夜中といひ合點がてんゆかずと見れば天水桶てんすゐをけそばは血にそみなかの水も淡紅もゝいろになりて居る故不思議に思ひ我々が歸ると勘太郎もすぐつゞい這入はひりしがたしかに勘太郎なるべし喧嘩の戻りかたゞし追落おひおとしでもしたか生得しやうとく惡黨あくたうなれば夜稼よかせぎ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
時には、極光オーロラのように開口いっぱいに噴出し、はじめは淡紅ピンク、やがて青紫色に終るこの世ならぬ諧調が、キラキラ氷河をわたる大絶景を呈するのだ。しかし、このパミールに絶対に火山はない。
人外魔境:10 地軸二万哩 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)