“ときいろ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
淡紅色37.8%
朱鷺色33.3%
水紅色8.9%
鴇色5.6%
鴾色3.3%
時色2.2%
薄紅色2.2%
鵇色2.2%
桃紅色1.1%
淡紅1.1%
(他:2)2.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
紙包の中には、洋紙の帳面が一册に半分程になつた古鉛筆、淡紅色ときいろメリンスの布片きれに捲いたのは、鉛で拵へた玩具の懷中時計であつた。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
七宝しっぽう夫婦釦めおとボタンなめらか淡紅色ときいろを緑の上に浮かして、華奢きゃしゃな金縁のなかに暖かく包まれている。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その姿に似ず、ゆるく、色めかしく、柔かな、背負しょいあげの紗綾形絞さやがたしぼりの淡紅色ときいろが、ものの打解けたようで可懐なつかしい。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二人の妹は、裾短かな、海老茶えびちやの袴、下髮おさげに同じ朱鷺色ときいろのリボンを結んで、譯もない事に笑ひ興じて、追ひつ追はれつする。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
二人の小妹いもうとは、裾短かな海老茶の袴、下髪おさげに同じ朱鷺色ときいろのリボンを結んで、訳もない事に笑ひ興じて、追ひつ追はれつする。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
朱鷺色ときいろ扱帶しごきふので、くだん黒髯くろひげおほきなひざに、かよわく、なよ/\とひきつけられて
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
唯、背負紐おぶいひもが、お待ち下さい——段々だんだんに、迷いは深くなるようですが——紫と水紅色ときいろ手綱染たづなぞめです。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
水紅色ときいろ薄紫うすむらさき相累あひかさなり、浅黄あさぎ紺青こんじやう対向むかひあふ、かすかなかゆきかついで
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
帆の白きより白衣びゃくえの婦人、水紅色ときいろなるがまた一人、続いて前後に船を離れて、左右に分れて身軽に寄った。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鴇色ときいろの帯揚げがはみ出し、髪へ掛けた鹿の子の布が、蝋細工のような耳朶のあたりで揺れているさまなど、傷ましく哀れではあったが
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しろかね平打ひらうち一つに鴇色ときいろぶさの根掛ねがけむすびしを、いうにうつくしく似合にあたまへりとれば
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
傾いた陽が斜めからさして、透明な碧色みどりいろにぼかされた山なみの上に、蔵王の雪が鴇色ときいろに輝いていた。
若草は藤掛色の室着を羽織り、山繭やまゝゆの長襦袢に、鴾色ときいろのしごきを乳の下から、巾広にして身重の腹を締めて居りまする。
襟も袖口も帯も鴾色ときいろをつけて、同じく鴾色の覗く八つ口へ白い両手を突込んでつてゐた。
小町の芍薬 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
寢起ねおきに蒼過ぎたほゝも、鴾色ときいろに匂つてゐる。
半日 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
細かに見ればたでの花は白混りの薄紅であるが、受ける感じは白がちの時色ときいろである。
註釈与謝野寛全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
お勢は黄八丈の一ツ小袖に藍鼠金入繻珍あいねずみきんいりしゅちんの丸帯、勿論もちろん下にはおさだまりの緋縮緬ひぢりめん等身ついたけ襦袢、此奴こいつも金糸で縫のッた水浅黄みずあさぎ縮緬の半襟をかけた奴で、帯上はアレハ時色ときいろ縮緬、統括ひっくるめて云えばまず上品なこしらえ。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
薄紅色ときいろに深く唐草からくさを散らした壁紙に、立ちながら、手頃に届く電鈴ベルを、白きただ中に押すと、座に返るほどなきにこたえがある。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
扮装なりは黒縮緬に変り裏の附きましたのに帯はございませんで、薄紅色ときいろのしごきを幾重にも巻附けまして、丸髷は根が抜けてがっくりと横になって、びんの髪も乱れて櫛簪揷かんざしも抜けて居てありませんで
裁縫しごとの手をめて、火熨に逡巡ためらっていた糸子は、入子菱いりこびしかがった指抜をいて、鵇色ときいろしろかねの雨を刺す針差はりさしを裏に、如鱗木じょりんもくの塗美くしきふたをはたと落した。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
頬から、あごから、耳の下をくびに掛けて、障ったら、指に軽い抗抵をなしてくぼみそうな、鵇色ときいろの肌の見えているのと、ペエジをかえす手の一つ一つの指の節に、えぐったような窪みの附いているのとの上を、純一の不安な目は往反おうへんしている。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
はやひとしきり採りあるきて、少しくたびれが来しと見え、女中に持たせし毛布けっとを草のやわらかなるところに敷かせて、武男はくつばきのままごろりと横になり、浪子なみこ麻裏草履あさうらを脱ぎ桃紅色ときいろのハンケチにて二つ三つひざのあたりをはらいながらふわりとすわりて、
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
萌黄もえぎ淡紅ときいろしどけないよる調度てうど部屋々々へや/″\にあからさまで、下屋したやはしには、あかきれ翻々ひら/\する。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
白百合しろゆり大輪おほりん花弁はなびら透間すきまに、薄紅ときいろ撫子なでしこと、藤紫ふじむらさき小菊こぎくかすかいろめく
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
向岸の舟着場を見降ろす裏門の扉に、花びらの散る退紅色ときいろ被布コートを来た娘が、胸の上に袖を重ねてぐつたりと凭りかかつてゐた。
繰舟で往く家 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)