“ときいろ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
淡紅色35.6%
朱鷺色30.7%
鴇色10.9%
水紅色7.9%
鴾色4.0%
鵇色3.0%
時色2.0%
薄紅色2.0%
桃紅色1.0%
淡紅1.0%
薄紅1.0%
退紅色1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
たけなす薔薇ばら、色鮮やかな衝羽根朝顔つくばねあさがお、小さな淡紅色ときいろの花をつけた見上げるようなたばこ叢立むらだち、薄荷はっか孔雀草くじゃくそう凌霄葉蓮のうぜんはれん、それから罌粟けし
純白や、クリーム色や、朱鷺色ときいろや、薄いモーヴや、さまざまの色のロオブの裾が、海風に吹かれて花むらの花のように揺れている。
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
もとどり千切れた髪、蒼白な顔、嵐に揉まれる牡丹桜とでも云おうか、友禅の小袖の袖口からは、緋の襲着したぎがこぼれ、半分なかば解けた帯の間からは、身悶えするごとに、鴇色ときいろの帯揚げがはみ出し
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
帆の白きより白衣びゃくえの婦人、水紅色ときいろなるがまた一人、続いて前後に船を離れて、左右に分れて身軽に寄った。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
若草は藤掛色の室着を羽織り、山繭やまゝゆの長襦袢に、鴾色ときいろのしごきを乳の下から、巾広にして身重の腹を締めて居りまする。
それに今日に限つて、いま妻が鵇色ときいろの長襦袢を脱いで、余所よそ行の白縮緬ちりめんの腰巻を取るなと想像する。そして細君の白い肌を想像する。この想像が非道ひどく不愉快であるので、一寸ちよつと顔をしかめる。
魔睡 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
細かに見ればたでの花は白混りの薄紅であるが、受ける感じは白がちの時色ときいろである。
註釈与謝野寛全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
扮装なりは黒縮緬に変り裏の附きましたのに帯はございませんで、薄紅色ときいろのしごきを幾重にも巻附けまして、丸髷は根が抜けてがっくりと横になって、びんの髪も乱れて櫛簪揷かんざしも抜けて居てありませんで
女中に持たせし毛布けっとを草のやわらかなるところに敷かせて、武男はくつばきのままごろりと横になり、浪子なみこ麻裏草履あさうらを脱ぎ桃紅色ときいろのハンケチにて二つ三つひざのあたりをはらいながらふわりとすわりて
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
萌黄もえぎ淡紅ときいろしどけないよる調度てうど部屋々々へや/″\にあからさまで、下屋したやはしには、あかきれ翻々ひら/\する。寢轉ねころんだをとこはしらつた圓髷姿まるまげすがたぜんはこ島田髷しまだまげ縁側えんがはを——ちう釣下つりさがつたやうにとほる。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
薄紅ときいろ撫子なでしこと、藤紫ふじむらさき小菊こぎくかすかいろめく、友染いうぜんそつ辿たどると、掻上かきあげた黒髪くろかみ毛筋けすぢいて、ちらりと耳朶みゝたぼと、さうして白々しろ/″\とある頸脚えりあしが、すつとて、薄化粧うすげしやうした、きめのこまかなのさへ
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
向岸の舟着場を見降ろす裏門の扉に、花びらの散る退紅色ときいろ被布コートを来た娘が、胸の上に袖を重ねてぐつたりと凭りかかつてゐた。——彼は小指を口にふくんで、笛を鳴らした。
繰舟で往く家 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)