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鵇色
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ときいろ
ふりがな文庫
“
鵇色
(
ときいろ
)” の例文
裁縫
(
しごと
)
の手を
休
(
や
)
めて、火熨に
逡巡
(
ためら
)
っていた糸子は、
入子菱
(
いりこびし
)
に
縢
(
かが
)
った指抜を
抽
(
ぬ
)
いて、
鵇色
(
ときいろ
)
に
銀
(
しろかね
)
の雨を刺す
針差
(
はりさし
)
を裏に、
如鱗木
(
じょりんもく
)
の塗美くしき
蓋
(
ふた
)
をはたと落した。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それに今日に限つて、いま妻が
鵇色
(
ときいろ
)
の長襦袢を脱いで、
余所
(
よそ
)
行の白
縮緬
(
ちりめん
)
の腰巻を取るなと想像する。そして細君の白い肌を想像する。
此
(
この
)
想像が
非道
(
ひど
)
く不愉快であるので、
一寸
(
ちよつと
)
顔を
蹙
(
しか
)
める。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
腮
(
あご
)
から、耳の下を
頸
(
くび
)
に掛けて、障ったら、指に軽い抗抵をなして
窪
(
くぼ
)
みそうな、
鵇色
(
ときいろ
)
の肌の見えているのと、ペエジを
翻
(
かえ
)
す手の一つ一つの指の節に、
抉
(
えぐ
)
ったような窪みの附いているのとの上を
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
居ずまひを直すとき、派手な
鶉
(
うづら
)
お
召
(
めし
)
の二枚
襲
(
がさね
)
の下から、
長襦袢
(
ながじゆばん
)
の
紋縮緬
(
もんちりめん
)
の、薄い
鵇色
(
ときいろ
)
のちらついたのが、いつになく博士の目を刺戟した。鈴を張つたやうな、物言ふ目は不安と真面目とを現してゐる。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
鵇
漢検1級
部首:⿃
17画
色
常用漢字
小2
部首:⾊
6画