“うすあか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
薄明25.0%
薄紅25.0%
微紅13.9%
淡紅12.5%
微赤8.3%
薄赤5.6%
微明2.8%
淡赤2.8%
淡明1.4%
薄赧1.4%
薄赭1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それからは、一言ひとことも話さなかったような気がします。ふたりは、まもなくその広間を出て行きました。夕暮ゆうぐれ薄明うすあかりが消えせました。
他の一隊は、今や帝都の上にさがろうとする毒瓦斯の煙幕えんまくよりは、更に風上に、薄紅うすあかにじのような瓦斯を物凄ものすごくまきちらして行った。
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
微紅うすあかい光る雨に、花吹雪を浮かせたように、羽が透き、身が染って、数限りもない赤蜻蛉の、大流れをみなぎらして飛ぶのが、行違ったり、まんじに舞乱れたりするんじゃあない、上へななめ、下へ斜、右へ斜
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
歩いて須磨へ行く途中、男がざるに石竹せきちくを入れて往来を来るのに出遇った。見たことのないような、小さな、淡紅うすあかい可愛らしい花が咲いていた。
舞子より須磨へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
おそくなって船は土手に沿うて進んでいた。宙は倩娘のことが頭に一ぱいになっていて眠られないので、起きて船べりにもたれていた。微赤うすあかい月が川にも土手の草の上にもあった。
倩娘 (新字新仮名) / 陳玄祐(著)
かはらにしたやうな眞赤まつか砂煙すなけむりに、咽喉のどつまらせてかへりがけ、見付みつけやぐら頂邊てつぺんで、かう、薄赤うすあかい、おぼろ月夜づきよのうちに、人影ひとかげ入亂いりみだれるやうな光景くわうけいたが。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
学生は微明うすあかるい霧の中に顔を見せた。其の学生の口の周囲には、微赤いどろどろした物が附いていて、それがために口が耳の根まで裂けているように見えた。
死体を喫う学生 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ふと池の向ひの木立の蔭に淡赤うすあかい電燈の影が、月暈つきのかさのやうな円を描いて、庭木や草の上に蒼白あをじろく反映してゐるのが目についたが、それは隠居所のやうな一むね離房はなれで、瓦葺かはらぶきの高い二階建であつた。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
さすがに鉄壁のような欅張りも、ようやく、ひとみのぞかれるぐらいな穴が彫れた。サクリッ……とえぐりこんだ短刀の肌に、淡明うすあかりがだんだんと濃くなった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
吉川夫人の名前を点じた時に見たその薄赧うすあかい顔と、今彼女の面前に再現したこの赤面の間にどんな関係があるのか、それはいくら物の異同をぎ分ける事に妙を得た彼女にも見当がつかなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
遠い対岸に冬枯れた疎林が薄赭うすあかくぼやけ、鴎に似た鳥が一羽伴侶もなく翔んだ。仄かな水の匂いが伸子に懐しく新鮮な喜びを感じさせた。
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)