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薄赤
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うすあか
そのうちずんずん
空は
明るくなってきて、
東の
空が
薄赤く
染まってくると、どこかの
村で
鶏の
鳴き
立てる
声がいさましく
聞こえました。
瓦を
粉にしたやうな
眞赤な
砂煙に、
咽喉を
詰らせて
歸りがけ、
見付の
火の
見櫓の
頂邊で、かう、
薄赤い、おぼろ
月夜のうちに、
人影の
入亂れるやうな
光景を
見たが。
小松や
櫟の
林に
交つて、
之に
觸れゝば
人の
肌膚に
血を
見せる
程の
硬い
意地の
惡い
葉を
持つた
芒までが、さうしなければ
目にも
立たないのに
態々と
薄赤い
軟かな
穗先を
高くさし
扛げて、
他一
倍に
騷いだ。
講釋師の
言ふ、
槍のつかひてに
呪はれたやうだがと、ふと
見ると、
赤煉蛇であらう、たそがれに
薄赤い、
凡そ
一間、
六尺に
餘る
長蟲が、
崖に
沿つた
納屋に
尾をかくして、
鎌首が
鷄に
迫る