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薄明
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うすあか
ふりがな文庫
“
薄明
(
うすあか
)” の例文
櫻
(
さくら
)
の
樹
(
き
)
の
梢
(
うら
)
を、ぱつと
照
(
て
)
らして、
薄明
(
うすあか
)
るく
掛
(
かゝ
)
るか、と
思
(
おも
)
へば、
颯
(
さつ
)
と
墨
(
すみ
)
のやうに
曇
(
くも
)
つて、
月
(
つき
)
の
面
(
おもて
)
を
遮
(
さへぎ
)
るや
否
(
いな
)
や、むら/\と
亂
(
みだ
)
れて
走
(
はし
)
る……
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
それからは、
一言
(
ひとこと
)
も話さなかったような気がします。ふたりは、まもなくその広間を出て行きました。
夕暮
(
ゆうぐれ
)
の
薄明
(
うすあか
)
りが消え
失
(
う
)
せました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
けれども二度目の硝子戸の音は静かに父の姿を隠してしまった。あとにはただ湯の
匂
(
におい
)
に満ちた
薄明
(
うすあか
)
りの広がっているばかりである。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
三三
白望
(
しろみ
)
の山に行きて
泊
(
とま
)
れば、深夜にあたりの
薄明
(
うすあか
)
るくなることあり。秋のころ
茸
(
きのこ
)
を採りに行き山中に宿する者、よくこの事に逢う。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
起きて、
薄明
(
うすあか
)
りで着物を着た。しかし、今朝は、私たちは顏を洗ふ儀式なしで濟まさなければならなかつた——
水差
(
みづさし
)
の水が凍つてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
▼ もっと見る
庭
(
には
)
を見ると、
生垣
(
いけがき
)
の
要目
(
かなめ
)
の
頂
(
いたゞき
)
に、まだ
薄明
(
うすあか
)
るい
日足
(
ひあし
)
がうろついてゐた。代助は
外
(
そと
)
を
覗
(
のぞ
)
きながら、是から三十分のうちに行く
先
(
さき
)
を
極
(
き
)
めやうと考へた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そしてもう
暮
(
く
)
れ
方
(
がた
)
の
薄明
(
うすあか
)
りの中に、くっきり白く
浮
(
う
)
き
出
(
だ
)
している
障子
(
しょうじ
)
の上に、よく
見
(
み
)
ると、
字
(
じ
)
が
書
(
か
)
いてありました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
その光りで
室
(
へや
)
の中も
薄明
(
うすあか
)
くなっているが、青木はまだ帰っていないらしく、夜具を畳んだままの寝台の上に、私の松葉杖が二本とも並べて投げ出してある。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その異様なものは、霧のなかで私自身から円光のように発しているかに見える、私を中心にして描いた円状の
薄明
(
うすあか
)
りの、丁度その円周の上にうずくまっているのだった。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
やや時経れば、ほのぼのとして
薄明
(
うすあか
)
る
山際
(
やまぎは
)
のいろ、
黎明
(
しののめ
)
の薄樺いろに焼け
明
(
あか
)
るその静けさに、日出づる前か、明鴉かをかをと二羽連れだちて羽風切る、その羽裏いよよ染みたり。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
彼
(
かれ
)
の
糜爛
(
びらん
)
した
横頬
(
よこほゝ
)
はもう
火
(
ひ
)
の
氓
(
ほろ
)
びようとして
居
(
ゐ
)
る
薄明
(
うすあか
)
りにぼんやりとした。
火
(
ひ
)
はげつそりと
落
(
お
)
ちて
彼
(
かれ
)
の
姿
(
すがた
)
が
消
(
き
)
え
入
(
い
)
らうとした。
彼
(
かれ
)
は
戸
(
と
)
を
開
(
あ
)
けて
踉蹌
(
よろ
)
けながら
出
(
で
)
た。
寒
(
さむ
)
い
風
(
かぜ
)
が
冷
(
つめ
)
たい
刄
(
やいば
)
を
浴
(
あ
)
びせた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
わびしらに啼くや雨夜のきりぎりす
薄明
(
うすあか
)
りなる月や恋しき
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
午後の
薄明
(
うすあか
)
りの中で
メランコリア
(旧字旧仮名)
/
三富朽葉
(著)
且
(
か
)
つは
暗
(
くら
)
い。……
前途
(
むかう
)
下
(
さが
)
りに、
見込
(
みこ
)
んで、
其
(
そ
)
の
勾配
(
こうばい
)
の
最
(
もつと
)
も
著
(
いちじる
)
しい
其處
(
そこ
)
から、
母屋
(
おもや
)
の
正面
(
しやうめん
)
の
低
(
ひく
)
い
縁側
(
えんがは
)
に
成
(
な
)
る
壁
(
かべ
)
に、
薄明
(
うすあか
)
りの
掛行燈
(
かけあんどん
)
が
有
(
あ
)
るばかり。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その
突
(
つ
)
きあたりから本通りの方へ曲ろうとした
途端
(
とたん
)
に、私は、その本通りの入口の、ちょうど宿屋の前あたりから、ぽうっと
薄明
(
うすあか
)
るくなりだしている
圏
(
わ
)
の中に、五六人
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
イェエツは、「ケルトの
薄明
(
うすあか
)
り」の中で、ジル湖上の子供たちが、青と白との
衣
(
きもの
)
を着たプロテスタント派の少女を、昔ながらの聖母マリアだと信じて、疑わなかった話を書いている。
貉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
わが山の谷間の花の
薄明
(
うすあか
)
り
雨夜
(
あまよ
)
の月にむささびの啼く
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
カン/\と
鉦
(
かね
)
を
叩
(
たゝ
)
きながら、
提灯
(
ちやうちん
)
の
燈
(
ひ
)
を
含
(
ふく
)
みましたやうに、
鼠
(
ねずみ
)
の
腰衣
(
こしごろも
)
をふは/\と
薄明
(
うすあか
)
るく
膨
(
ふく
)
らまして、
行掛
(
ゆきが
)
けに、
鼻
(
はな
)
の
下
(
した
)
を
伸
(
の
)
ばして、
足
(
あし
)
を
爪立
(
つまだ
)
つて、
伸上
(
のびあが
)
つて、
見返
(
みかへ
)
つて
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
娘は貧しい身なりをしてゐますが、実際広いアラビアの中にも、この位美しい娘はありますまい。殊に今は日の暮のせゐか、
薄明
(
うすあか
)
りに浮んだ眼の涼しさは宵の
明星
(
めうじやう
)
にも負けない位です。
三つの指環
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
草にさす
雨夜
(
あまよ
)
の月の
薄明
(
うすあか
)
り蛍と見るは露にかあるらん
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
この水墨の
薄明
(
うすあか
)
りの中に、或は泣き、或は笑ふ、愛すべき
異類
(
いるゐ
)
異形
(
いぎよう
)
である。
支那の画
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
落ち葉の散らばった玄関には
帽子
(
ぼうし
)
をかぶらぬ男が一人、
薄明
(
うすあか
)
りの中に
佇
(
たたず
)
んでいる。帽子を、——いや、帽子をかぶらぬばかりではない。男は確かに
砂埃
(
すなほこ
)
りにまみれたぼろぼろの
上衣
(
うわぎ
)
を着用している。
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
薄明
(
うすあか
)
りの中にも毛色の見える
栗毛
(
くりげ
)
の馬の脚を
露
(
あらわ
)
している。
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“薄明”の解説
薄明(はくめい)は、日の出のすぐ前、日の入りのすぐ後の、空が薄明るい(薄暗い)時のことである。大気中の塵による光の散乱により発生する。英語のトワイライト(twilight)も薄明のことである。
(出典:Wikipedia)
薄
常用漢字
中学
部首:⾋
16画
明
常用漢字
小2
部首:⽇
8画
“薄明”で始まる語句
薄明穹
薄明視