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薄紅
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うすあか
ふりがな文庫
“
薄紅
(
うすあか
)” の例文
女は
薄紅
(
うすあか
)
くなった頬を上げて、
繊
(
ほそ
)
い手を額の前に
翳
(
かざ
)
しながら、不思議そうに
瞬
(
まばたき
)
をした。この女とこの文鳥とはおそらく同じ心持だろう。
文鳥
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
他の一隊は、今や帝都の上に
垂
(
た
)
れ
下
(
さが
)
ろうとする毒瓦斯の
煙幕
(
えんまく
)
よりは、更に風上に、
薄紅
(
うすあか
)
い
虹
(
にじ
)
のような瓦斯を
物凄
(
ものすご
)
くまきちらして行った。
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
春の日ももう暮れて、長い渡り廊をつたって女房どもや青侍たちが運んでゆく
薄紅
(
うすあか
)
い灯の影が、木の間がくれに揺れながら通った。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それから皮の
薄紅
(
うすあか
)
いのと白いのがありますね、薄紅いのは
肉用鶏
(
にくようけい
)
の
産
(
う
)
んだので白いのは産卵鶏の産んだのですから白い方が
遥
(
はるか
)
に上等です。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
私は頬をふくらませて、何も云わずに、汗を
拭
(
ふ
)
いていた。どうも、さっきから、あの夾竹桃の
薄紅
(
うすあか
)
い花が目ざわりでいけない。
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
▼ もっと見る
起き上がると、もう東の空が
薄紅
(
うすあか
)
くなりかけていました。王子は国王と女王との所へ駆けて行きました。国王も女王も起き上がっていました。
夢の卵
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
……雨水が
渺々
(
びょうびょう
)
として田を
浸
(
ひた
)
すので、行く行く山の陰は陰惨として暗い。……
処々
(
ところどころ
)
巌
(
いわ
)
蒼く、ぽっと
薄紅
(
うすあか
)
く草が染まる。
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
乙女心
(
をとめごゝろ
)
の
薔薇
(
ばら
)
の花、ああ、まだ口もきかれぬぼんやりした
薄紅
(
うすあか
)
い
生娘
(
きむすめ
)
、
乙女心
(
をとめごゝろ
)
の
薔薇
(
ばら
)
の花、まだおまへには話がなからう、
僞善
(
ぎぜん
)
の花よ、
無言
(
むごん
)
の花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
どうかすると彼女の
蒼
(
あお
)
ざめた
頬
(
ほお
)
には
薄紅
(
うすあか
)
い血の色が上って、それがまた彼女の表情をいじらしく鋭くした。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
と、
門口
(
かどぐち
)
に一人の青年がまじまじと突っ立っていた。例の鼠の
裸児
(
はだかご
)
がそのまま生長して大きくなったような顔の皮膚の
薄紅
(
うすあか
)
であった。黄の軍服に紺の軍帽をかぶっていた。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
その時も小鳥は頭を傾げて、不思議そうに老人の顔や、家の暗い様子などを眺めながら……
薄紅
(
うすあか
)
い胸の
温毛
(
ぬくげ
)
を動悸に波打たせていた。老人はこの小鳥の
可憐
(
しお
)
らしい様子を見て
不思議な鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その針が
薄紅
(
うすあか
)
い掌の肉の、円い
窪
(
くぼ
)
みに充たされていて、水銀が溜っているように見えたが、反射する光沢が交叉し合って、それが掌から二寸ばかりの上で、
虹
(
にじ
)
のような色彩を織っている。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
薄紅
(
うすあか
)
い影、青い
隈取
(
くまど
)
り、水晶のような可愛い目、
珊瑚
(
さんご
)
の玉は唇よ。揃って、すっ、はらりと、すっ、袖をば、
裳
(
すそ
)
をば、
碧
(
あい
)
に
靡
(
なび
)
かし、紫に颯と
捌
(
さば
)
く、
薄紅
(
うすべに
)
を
飜
(
ひるがえ
)
す。
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
長三郎はすぐに表へ出てゆくと、一月末の空はいよいようららかに晴れて、護国寺の森のこずえは
薄紅
(
うすあか
)
く霞んでいた。音羽の通りへ出ると、市川屋の職人源蔵に逢った。
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
枝にある仏蘭西の青梨は
薄紅
(
うすあか
)
く色づいたのが沢山生り下っていたばかりでは無く、どうかすると熟した
果実
(
くだもの
)
は秋風に揺れて、まるで石でも落ちるように彼の
足許
(
あしもと
)
へ落ちるのもあった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
墓場の
薔薇
(
ばら
)
の花、
屍體
(
したい
)
から出た若い
命
(
いのち
)
、墓場の
薔薇
(
ばら
)
の花、おまへはいかにも
可愛
(
かはい
)
らしい、
薄紅
(
うすあか
)
い、さうして美しい
爛壞
(
らんゑ
)
の
薫
(
かをり
)
神神
(
かうがう
)
しく、まるで生きてゐるやうだ、
僞善
(
ぎぜん
)
の花よ、
無言
(
むごん
)
の花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
道
(
みち
)
にさし
出
(
で
)
た、
松
(
まつ
)
の
梢
(
こずゑ
)
には、
紫
(
むさらき
)
の
藤
(
ふじ
)
かゝつて、どんよりした
遠山
(
とほやま
)
のみどりを
分
(
わ
)
けた
遅桜
(
おそざくら
)
は、
薄墨色
(
うすずみいろ
)
に
濃
(
こ
)
く
咲
(
さ
)
いて、
然
(
しか
)
も
散敷
(
ちりし
)
いた
花弁
(
はなびら
)
は、
散
(
ちり
)
かさなつて
根
(
ね
)
をこんもりと
包
(
つゝ
)
むで、
薄紅
(
うすあか
)
い。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
築地海岸にむかえる空は
仄白
(
ほのしろ
)
く
薄紅
(
うすあか
)
くなりて、服部の大時計の針が今や五時を指すと読まるる頃には、眠れる街も次第に醒めて、
何処
(
いずく
)
ともなく聞ゆる人の声、物の音は朝の
寂静
(
しずけさ
)
を破りて
銀座の朝
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
罌粟色
(
けしいろ
)
の
薔薇
(
ばら
)
の花、
藥局
(
やくきよく
)
の花、あやしい
媚藥
(
びやく
)
を呑んだ時の夢心地、
贋
(
にせ
)
の
方士
(
はうし
)
が
被
(
かぶ
)
る
頭巾
(
づきん
)
のやうな
薄紅
(
うすあか
)
い花、
罌粟色
(
けしいろ
)
の
薔薇
(
ばら
)
の花、馬鹿者どもの手がおまへの
下衣
(
したぎ
)
の
襞
(
ひだ
)
に
觸
(
さは
)
つて
顫
(
ふる
)
へることもある
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
袖
摺
(
す
)
れるほどなれば、桜の枝も、墨絵のなかに
蕾
(
つぼみ
)
を含んで
薄紅
(
うすあか
)
い。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
薄紅
(
うすあか
)
く色がついてその癖筋が通っちゃあいないな。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
薄
常用漢字
中学
部首:⾋
16画
紅
常用漢字
小6
部首:⽷
9画
“薄紅”で始まる語句
薄紅梅
薄紅色
薄紅葉