しづか)” の例文
とほりまがつて横町へて、成るく、はなし為好しいしづかな場所を撰んで行くうちに、何時いつ緒口いとくちいて、思ふあたりへ談柄だんぺいが落ちた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
理學士りがくし言掛いひかけて、わたしかほて、して四邊あたりた。うしたみせ端近はしぢかは、おくより、二階にかいより、かへつて椅子いすしづかであつた——
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
霊廟みたまやの前なる三二灯籠堂とうろうだう簀子すのこのぼりて、雨具あまぐうち敷き座をまうけて、しづか念仏ねぶつしつつも、夜のけゆくをわびてぞある。
烟草をしづかゆつくり吸ひ込み、軽い穏な雲を吹き出し、時としては烟管を口から引き出し、匂ひの善い烟に鼻のあたりで環を書かせ、物体もつたいらしくうなづいて、その腹からの大賛成を表します。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
しづかさや岩にしみ入る蝉の声
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しづかさや岩にしみ入蝉の声
芭蕉について (新字新仮名) / 宮本百合子(著)