“閑(のどか)” の例文
春日の閑(のどか)なる趣は、ありふれた小鳥の囀(さえずり)よりも、雞の鳴声よりも、かえってこの雉子の声において深められたかの感がある。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
閑(のどか)な線で、発車するまでの間を、車掌がその辺の子供と巫山戯(ふざけ)ていたり、ポールの向きを変えるのに子供達が引張らせてもらったりなどしている。
路上 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
治兵衛梅川などわが老畸人の得意の節おもしろく間拍子とるに歩行(かち)も苦しからず、蛇(じや)の滝をも一見せばやと思しが、そこへも下(おり)ず巌角に憩(いこひ)て、清々冷々の玄風(げんぷう)を迎へ、体(たい)静(しづか)に心閑(のどか)にして
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
灼熱の夏日(かじつ)の紅(くれなゐ)に移る一歩前、陽光さんさんと降りくだつて、そこに菜の花は咲きつづき、和(やはら)ぎと喜びの色に照りはえ、展(の)べひろげられ、麗かに、閑(のどか)に國を包んで、朝に明(あ)け、夕べに暮れてゐる。