余裕ひま)” の例文
旧字:餘裕
思うほど、気はますます乱れて、浪子は身をるる余裕ひまもなきまで世のせまきを覚ゆるなり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
たれを恨み、たれを恋う、さる念は形をなす余裕ひまもなくて、ただ身をめぐる暗黒の恐ろしくいとわしく、早くこのうちをのがれんと思うのみ。死は実にただ一の活路なりけり。浪子は死をまちわびぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)