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閑暇
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ひま
ふりがな文庫
“
閑暇
(
ひま
)” の例文
衣がえをする初夏は、空の気持ちなども理由なしに感じのよい季節であるが、
閑暇
(
ひま
)
の多い源氏はいろいろな遊び事に時を使っていた。
源氏物語:24 胡蝶
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「あっしのことかネ。あっしは、逃げたりなんぞ、するものか。今夜は
閑暇
(
ひま
)
になったもんだから、一つ市中へ出てみようと思うんで」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ところが今日はそれほどの
閑暇
(
ひま
)
もなし、また考えも
纏
(
まと
)
まっておりません。だから上手であるべき講義も今日に限って存外
拙
(
まず
)
い訳であります。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
学生時代の
閑暇
(
ひま
)
な日にはつくづくと疲労を感じました。奮闘努力、額に汗して働くといふことはどんなに愉快なことだらうと思つてゐました。
〔編輯余話〕
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
再び大臣邸に寓す 十一月上旬にまたラサ府へ来て前大蔵大臣の別殿に住んで居りましたが、その時分には現任大蔵大臣も少しは
閑暇
(
ひま
)
でした。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
▼ もっと見る
もはや帰ってもよい、しかし今日は老僧も
閑暇
(
ひま
)
で退屈なれば茶話しの相手になってしばらくいてくれ、浮世の噂なんど
老衲
(
わし
)
に聞かせてくれぬか
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
麻雀
(
マージャン
)
の
聴牌
(
てんぱい
)
を当てるぐらいの事はお茶の子サイサイで、職業紹介欄の三行広告のインチキを
閑暇
(
ひま
)
に明かして探り出す。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それでは何でもお考えつきの事を、というと、『私は学校の長としても、一家の主婦としても多忙な身で新聞の
種子
(
たね
)
など考えている
閑暇
(
ひま
)
はなかった。』
職業の苦痛
(新字新仮名)
/
若杉鳥子
(著)
ただ、
閑暇
(
ひま
)
さえあれば、堀は、家じゅうを捜して歩くか、庭へ出て樹の根もとにしゃがんで、茫然と空を眺めているかして、
埒
(
らち
)
もなくぼんやりしていた。
蛾
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
いろいろな不思議を信じた行爲の
閑暇
(
ひま
)
にはまた七面鳥を
朱欒
(
ザボン
)
のかげに放ち、二三百の白い鉢に牡丹を開かせ、鷄を飼ひ、薔薇を植ゑる事を忘れなかつた。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
米、菜の物、煮豆など余るくらい送ってくれた。降蔵らもにわかに
閑暇
(
ひま
)
になったから、火
焚
(
た
)
きその他の用事を弁じ、米も洗えば
醤油
(
しょうゆ
)
も各隊へ持ち運んだ。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
旅費と
閑暇
(
ひま
)
とはかなり持合はせてゐる人達の事とて、それぞれの名所を言ひ伝への文句通りに見物しようといふのだ。
石山
(
いしやま
)
には名月の
夜
(
よ
)
態々
(
わざ/\
)
訪ねて往つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
余っ程
閑暇
(
ひま
)
の時は、東京で病みついたトルストイの本を読んでいた。それから時々は、ぶらぶらと、近くにある世古の滝の霊場に
浸
(
つ
)
かり
旁々
(
かたがた
)
山や畠を見まわった。
忠僕
(新字新仮名)
/
池谷信三郎
(著)
それとも、愛人がないので
閑暇
(
ひま
)
なんだろうか。どちらにしても、何だか少し気の毒のように思った。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
さ「あゝ今二階で
化粧
(
みじめえ
)
して
居
(
お
)
りますの、どうせ
閑暇
(
ひま
)
だが又
何時
(
いつ
)
口が掛るかも知れないから、湯に
遣
(
や
)
って
化粧
(
けしょう
)
をさせて置くのサ……二階に居りますが何か用が有るのかえ」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今度、自分が都へ上ったのも、その伝献の荷駄について上洛いたしたので、無事お役を果したので、帰り途だけ
閑暇
(
ひま
)
を賜わって、ひとり見物がてら仙台までもどる途中でござる
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まだ立ち尽している
閑暇
(
ひま
)
な人々は好奇の眼を見開いて道を明けて彼の行動を見守った。
釘抜藤吉捕物覚書:01 のの字の刀痕
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
叔父さんは真先きに出来た
閑暇
(
ひま
)
を利用して、子供達に蜜蜂の話をして聞かせました。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
第四は或る程度の
閑暇
(
ひま
)
と、我々を幸福にするやうにそれを利用することである。
趣味としての読書
(新字旧仮名)
/
平田禿木
(著)
ちやうど、引越しの日に雜誌は校了になり、二三日は
閑暇
(
ひま
)
なからだになつた。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
けれども
閑暇
(
ひま
)
だから、豫備校へだけは行くことにした。そこでの講義は、實力をつけると云ふよりも、如何に能力を活用すべきかを教へる、what よりも寧ろ how の方に重きを置いた。
受験生の手記
(旧字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
これまではすべてをその人に任せて
閑暇
(
ひま
)
のある地位にいられたわけであるから、死別の悲しみのほかに責任の重くなることを痛感した。
源氏物語:19 薄雲
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「ナニ、
閑暇
(
ひま
)
だから、市中へ出る——」髯は、髯をつまんで、苦笑した。「それにしては、すこし、空中も、地上も騒がしいぞ」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いづれ頼むとも頼まぬとも其は表立つて、老衲からではなく感応寺から沙汰を為ませう、兎も角も幸ひ今日は
閑暇
(
ひま
)
のあれば汝が作つた雛形を見たし
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
斯の人は又、鷹揚に
腮
(
あご
)
を撫でながら私を前に置いて論語の素讀を授けて呉れたり、
閑暇
(
ひま
)
な時には東京の町々だの公園だのを見せに連れて歩いて呉れました。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
やはり
仏性
(
ほとけしょう
)
の藤六が、
閑暇
(
ひま
)
さえあればソンナ善根をしているものと思って誰も怪しむ者なんか居なかった。
骸骨の黒穂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「将棊をさすなんて、そんな……そんな
閑暇
(
ひま
)
があるのかい。あんな忙しさうな議論を書きながら。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
あなた方が恋をすれば、それこそ、あらゆる倦怠と
閑暇
(
ひま
)
を利用して、清らかに恋し合えるじゃないの。あらゆる悩みなんか、皆んなその中に熔かしこんでしまうようにね。
橋
(新字新仮名)
/
池谷信三郎
(著)
いずれ正成の身に
閑暇
(
ひま
)
ができたら、正成自身奉行して、一堂を寄進し、なお山門の手入れなどもいたしましょうわい。……いやおたがいに、早くそのような日を持ちたいものだが
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夫婦きりで
閑暇
(
ひま
)
のありすぎる退屈さが、おりおり訳のわからぬ不快をともなった。女は張り合いのない顔をし、よその赤坊をお湯につれて行ったり、犬や猫を飼ったりして寂しがった。
童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
閑暇
(
ひま
)
を善用することに成功したからというて、以上の三つの事に於ける失敗を償ふというわけにはいかないが、相当な
閑暇
(
ひま
)
とそれを善用することは、確かに幸福な生に対する寄与である。
趣味としての読書
(新字旧仮名)
/
平田禿木
(著)
昨夕
(
ゆうべ
)
も岡本と或所で落ち合って、君のお父さんの
噂
(
うわさ
)
をしたがね。岡本も
羨
(
うらや
)
ましがってたよ。あの男も近頃少し
閑暇
(
ひま
)
になったようなもののやっぱり、君のお父さんのようにゃ行かないからね
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「貴君! 今晩お
閑暇
(
ひま
)
ぢやなくつて。」
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
卯槌が美しい細工で作られてあるのは、
閑暇
(
ひま
)
の多い人の仕事と見えた。またぶりに
山橘
(
やまたちばな
)
の実を作ってならせてあるのへ付けてあったのは
源氏物語:53 浮舟
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
いずれ頼むとも頼まぬともそれは表立って、老衲からではなく感応寺から沙汰をしましょう、ともかくも幸い今日は
閑暇
(
ひま
)
のあれば汝が作った雛形を見たし
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
汝等が要らざる詮議立てして、罪も無き罪人を作る
閑暇
(
ひま
)
に、わが如き大悪人を見逃がしたる報いは
覿面
(
てきめん
)
。今日、此のところに現はれ出でたる者ぞ。これ見よやつ
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
雁はこの人達のやうに有り余る程な旅費と
閑暇
(
ひま
)
とを持合さなかつたのだ。ところが、丁度折よく鴉が三羽そこを通り合はせた。皆は、雁の代りに鴉で辛抱する事にした。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
斯の小父さんは手細工が好きで、銀座の夜店から
鋸
(
のこぎり
)
、
鉋
(
かんな
)
の類を買つて來まして
閑暇
(
ひま
)
な時には種々な物を手造りにしました。大工の用ひるやうな道具箱までも具へて有りました。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
段々聞いて見ると、与次郎は従来から此雑誌に関係があつて、
閑暇
(
ひま
)
さへあれば殆んど毎号筆を執つてゐるが、其代り雅名も毎号変へるから、二三の同人の
外
(
ほか
)
、
誰
(
だ
)
れも知らないんだと云ふ。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
さらば、如何にしたらその
閑暇
(
ひま
)
を巧みに利用することが出来ようか。
趣味としての読書
(新字旧仮名)
/
平田禿木
(著)
そんなわけで、お喜代が、
閑暇
(
ひま
)
を見ては稽古に来てくれるのだった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
閑暇
(
ひま
)
と云ひますと。」
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
太鼓までも高欄の所へころがしてきて、そうした役はせぬことになっている公達が自身でたたいたりもしていた。こんなことで源氏も毎日
閑暇
(
ひま
)
がない。
源氏物語:06 末摘花
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
といふので、仲間の美術通や
画家
(
ゑかき
)
などは、
血眼
(
ちまなこ
)
になつて得意先を駈けづり廻つてゐる。言ふ迄もなく美術通や
画家
(
ゑかき
)
などいふものは、
閑暇
(
ひま
)
がある代りに
金銭
(
かね
)
が無い
連中
(
れんぢゆう
)
である。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
物は試しじゃお
閑暇
(
ひま
)
の時分に。ちょっとそこらの精神病院。又は学校、図書館あたりで。世界各地の博士や学士が。寄ってたかって研究し出した。キチガイ病気の書物を拡げて。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
老僧が云ふべき事は是ぎりぢやによつて左様心得て帰るがよいぞ、さあ確と云ひ渡したぞ、
既早
(
もはや
)
帰つてもよい、然し今日は老僧も
閑暇
(
ひま
)
で退屈なれば茶話しの相手になつて少時居てくれ
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
良人
(
うち
)
も
同
(
おん
)
なじよ、あなた。近頃じゃ
閑暇
(
ひま
)
な人は、まるで生きていられないのと同なじ事ね。だから自然御互いに遠々しくなるんですわ。だけどそれは仕方がないわ、自然の成行だから」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
まず
帝
(
みかど
)
のほうへ伺ったのである。帝はちょうどお
閑暇
(
ひま
)
で、源氏を相手に昔の話、今の話をいろいろとあそばされた。
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
犬養氏が長年の間、
閑暇
(
ひま
)
と
鑑識
(
めがね
)
にまかせて
購
(
か
)
ひ集めた書物が、二階の一
室
(
ま
)
にぎつしり詰まつた時、氏は目尻を皺くちやにして喜んだが、それを見てたつた一人そつと溜息を
吐
(
つ
)
いた人がある。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そうかな、何だか上品で、気楽で、
閑暇
(
ひま
)
があって、すきな勉強が出来て、よさそうじゃないか。実業家も悪くもないが我々のうちは駄目だ。実業家になるならずっと上にならなくっちゃいかん。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“閑暇”の意味
《名詞》
することがない状態。暇。いとま。
(出典:Wiktionary)
閑
常用漢字
中学
部首:⾨
12画
暇
常用漢字
中学
部首:⽇
13画
“閑”で始まる語句
閑
閑人
閑寂
閑却
閑静
閑雅
閑話休題
閑古鳥
閑散
閑居