“すきま”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
隙間81.7%
透間11.9%
空隙1.3%
罅隙1.0%
間隙1.0%
隙虚0.8%
0.8%
寸隙0.5%
空地0.3%
0.3%
罅裂0.3%
閑隙0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
うしろを限る書割かきわりにはちいさ大名屋敷だいみょうやしき練塀ねりべいえがき、その上の空一面をば無理にも夜だと思わせるように隙間すきまもなく真黒まっくろに塗りたててある。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
だが庵門はただ一すじの透間すきまをあけたのみで、黒狗が飛び出すことはないと見たので、近寄ってくと、そこに一人の老いたる尼がいた。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
その空隙すきまの多い、中実の少ない行李を引っかついだ彼らは、あたかも移住民の一列のように続いて彼らのねぐらからサロンへとおもむいた。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
古くなって石の位置が動いたためか、段の方々には凸凹でこぼこがあった。石と石の罅隙すきまからは青草が風になびいた。それでも其所は人の通行する路に違なかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
曾根が一人で訪ねて来たということは、ある目に見えない混雑を三吉の家の内へ持来もちきたした。曾根は、戸の間隙すきまからでも入って来て、何時の間にか三吉の前に坐っている人のようであった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
自分が自分より隔てられたる隙虚すきまに正しく画布を挿し入るることは、地上の最も困難なる使命の一つであるとともに、多くの苦難をそれは用意する。
絵画の不安 (新字新仮名) / 中井正一(著)
又作は近辺あたりを見返ると、往来はぱったり止まって居りますから、何かの事を知った此の車夫しゃふけて置いては後日ごにちさまたげと、車夫のすきまうかゞい、腰のあたりをポオーンと突く、突かれて嘉十はもんどり切り
寸隙すきまもる風おともなく、身に迫りくる寒さもすさまじ。
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
私が父の病気をよそに、静かに坐ったり書見したりする余裕のあるごとくに、母も眼の前の病人を忘れて、ほかの事を考えるだけ、胸に空地すきまがあるのかしらとうたぐった。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
用なきくぼみをばめ、いらぬすきまをば塞ぎ、上に草をけば、家すでに成れり。我牧者の家は丘の上にありて兩層あり。せばき戸口なるコリントスがたの柱は、當初墳墓を築きしときの面影なるべし。
それで、筒から放出されるより余程多量の水が、罅裂すきまから空中に噴き出し、筒先き役は即座にびしょ濡れになって了う。
さすがの不破の関守氏と青嵐居士が、ここに至って全くうなってしまいました。やっとわずかに一声うなるだけの閑隙すきまを与えられました。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)