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隙間
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すきま
ふりがな文庫
“
隙間
(
すきま
)” の例文
そこでこの渡洋潜波艇は、海面とすれすれの浅い水中を快速で安全に突破するもので、つまり水上と防潜網との
隙間
(
すきま
)
を
狙
(
ねら
)
うものである
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
後
(
うしろ
)
を限る
書割
(
かきわり
)
には
小
(
ちいさ
)
く
大名屋敷
(
だいみょうやしき
)
の
練塀
(
ねりべい
)
を
描
(
えが
)
き、その上の空一面をば無理にも夜だと思わせるように
隙間
(
すきま
)
もなく
真黒
(
まっくろ
)
に塗りたててある。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
枯れて行く建築材の臭気と、
埃
(
ほこり
)
ッぽい風が
隙間
(
すきま
)
から降っていた。戸外の空気に触れたいのは、何か混乱するものを感じていたからだ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
一
塊
(
かたま
)
りになってる群集は、ちょっと
隙間
(
すきま
)
を開いて二人を通し、そのあとからまたすぐ隙間をふさいだ。クリストフは愉快がっていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
檣
(
ほばしら
)
の様な支柱を水際の
崖
(
がけ
)
から
隙間
(
すきま
)
もなく並べ立てゝ、其上に停車場は
片側
(
かたかわ
)
乗って居るのである。停車場の右も左も
隧道
(
とんねる
)
になって居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
然
(
しか
)
もこの小山ほどといふのは、誇張でない、ぎつしりと
隙間
(
すきま
)
のないまでに積まれてゐるので、自分は来る
度毎
(
たびごと
)
に驚き
愕
(
おどろ
)
いたものである。
三年
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「誰?」と言いかけて走り出で、障子の
隙間
(
すきま
)
より
戸外
(
おもて
)
を見しが、彼は早や町の
彼方
(
かなた
)
に
行
(
ゆ
)
く、その後姿は、隣なる広岡の家の
下婢
(
かひ
)
なりき。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
先生はそれを落すために、後ろ向きになって、浴衣を二、三度
振
(
ふる
)
った。すると着物の下に置いてあった眼鏡が板の
隙間
(
すきま
)
から下へ落ちた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
梶はそんなに反対の安全率の面から探してみた。絶えず
隙間
(
すきま
)
を
狙
(
ねら
)
う兇器の群れや、
嫉視
(
しっし
)
中傷
(
ちゅうしょう
)
の起す
焔
(
ほのお
)
は何を
謀
(
たくら
)
むか知れたものでもない。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
壁の
隙間
(
すきま
)
や床下から寒い夜風が吹きこむので二人は手足も縮められるだけ縮めているが、それでも磯の
背部
(
せなか
)
は半分外に
露出
(
はみだし
)
ていた。
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
画家は扉に飛んでゆき、ほんの少しだけ
隙間
(
すきま
)
をあけると——嘆願するように差出された、合わさった少女たちの手が見えた——言った。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
「この手紙をね、ここの家の玄関の戸の
隙間
(
すきま
)
から、ソッと投げ込んでくるのじゃ。よいかな。誰にも見られぬよう、充分気をつけてな」
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
さうすると
畑
(
はた
)
を
包
(
つゝ
)
む
遠
(
とほ
)
い
近
(
ちか
)
い
林
(
はやし
)
には
嫩葉
(
わかば
)
の
隙間
(
すきま
)
から
少
(
すくな
)
い
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
がまた
軟
(
やはら
)
かなさうして
稍
(
やゝ
)
深
(
ふか
)
い
草
(
くさ
)
の
上
(
うへ
)
にぽつり/\と
明
(
あか
)
るく
覗
(
のぞ
)
き
込
(
こん
)
で
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
二人は立ち寄って戸の
隙間
(
すきま
)
から覗くと、石の地蔵はやはり薄暗いなかに立っていて、その足もとにはこおろぎの声が切れ切れにきこえた。
半七捕物帳:66 地蔵は踊る
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
静かに縁側へお上がりになり、格子に
隙間
(
すきま
)
の見える所へ宮はお寄りになったが、中の
伊予簾
(
いよすだれ
)
がさらさらと鳴るのもつつましく
思召
(
おぼしめ
)
された。
源氏物語:53 浮舟
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
雨戸の
隙間
(
すきま
)
から投り込んだらしく、白々と椽側にあつたといふのですから、曲者から主人三郎兵衞に當てたことは言ふまでもありません。
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ちょうど正面の松林が
疎
(
まば
)
らになって、窓の
如
(
ごと
)
く
隙間
(
すきま
)
を作っている向うから、その
冴
(
さ
)
え返った銀光がピカピカと、
練絹
(
ねりぎぬ
)
のように輝いている。
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この船の料理部屋の
背後
(
うしろ
)
の空隙なんかへ行く連中は、ドン底の
水槽
(
タンク
)
の
鉄蓋
(
てつぶた
)
まで突き抜けた鉄骨の
隙間
(
すきま
)
に、一枚の板を渡して在る。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
空の細い
隙間
(
すきま
)
から、高原の強い日光がぎらぎらと道に降りそゝいでゐる。富岡は、日本の女と歩く事に、何となく四囲に気を兼ねてゐた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
一心斎老人は
隙間
(
すきま
)
なく二人の位を見ているが、どちらからも仕かけない、これから先どのくらい長く
睨
(
にら
)
み合いが続くか知れたものでない
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
深い
谿
(
たに
)
や、遠い
峡
(
はざま
)
が、山国らしい木立の
隙間
(
すきま
)
や、風にふるえている
梢
(
こずえ
)
の上から望み見られた。客車のなかは一様に
闃寂
(
ひっそり
)
していた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
見る目には三人の使い手の体の運動があたかも巧妙な踊りのごとくに
隙間
(
すきま
)
なく統一されてなだらかに流れて行くように見える。
文楽座の人形芝居
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
通り抜けることはできないと思っていた生け垣が、今では、
隙間
(
すきま
)
だらけになって、黒つぐみは、そこへ隠れるのに骨が折れる。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
そこには小松などまばらに生えてたように思う。そのあいだをよく南画などにある一面
隙間
(
すきま
)
なく
小波
(
さざなみ
)
のたった海が流れてゆく。
母の死
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
そこで、戸の
隙間
(
すきま
)
から、そっと外を覗いて見ると、見物の
男女
(
なんにょ
)
の中を、
放免
(
ほうめん
)
が五六人、それに
看督長
(
かどのおさ
)
が一人ついて、物々しげに通りました。
運
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
無造作に押よせた入口の草の戸、その
隙間
(
すきま
)
から薄明りがさして、いつか夜は明けたらしい。起きて屋外へ出たが、一面の霧で何も見えない。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
どこに向って鬱した気を晴らして好いのか。人々はその
隙間
(
すきま
)
を模索して、そのために悶え苦しんでいる。そういう時期がある。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
普通は勝手な
瓦
(
かわら
)
の
隙間
(
すきま
)
などに巣を掛け、それがまた並んでいるのを見究め難いが、私が自分の寝る室の窓の前に、柱のような木を一本
栽
(
う
)
え
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
巌の
隙間
(
すきま
)
に棲み番兵を置いて遊び歩き岩面を走り樹に上るは妙なり、その爪と見ゆるは実は
蹄
(
ひづめ
)
で甚だ
犀
(
さい
)
の蹄に近い(ウッド『
博物画譜
(
イラストレーテッド・ナチュラル・ヒストリー
)
』巻一)
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
やがて、きゃッ、という悲鳴が、
厠
(
かわや
)
の中で起った。
雪隠
(
せついん
)
の
隙間
(
すきま
)
からモチ竿で、老女の隠しどころを、モチでさした者がある。
田崎草雲とその子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鋭く斬込んで来る源八郎を扱いながら、その
隙間
(
すきま
)
に七三郎を参らしたのだから、どの位腕が利くか、ほとんど分らなかった。
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
壊れている屋根が今にも吹飛ばされそうで、水は漏り、風は仮借なく
隙間
(
すきま
)
から飛込んで来、生きた気持はしなかったという。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
丁度甲州流の戦法のように
隙間
(
すきま
)
なく
槍
(
やり
)
の
穂尖
(
ほさき
)
を
揃
(
そろ
)
えてジリジリと
平押
(
ひらお
)
しに押寄せるというような
論鋒
(
ろんぽう
)
は頗る
目鮮
(
めざ
)
ましかった。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
俊寛、藻草を敷き破れたる苫をかけてねている。第一場より一か月後の夜、
隙間
(
すきま
)
より月光差し入る。小屋の外はあらし吹く。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
一段はほぼ五十センチほどの厚さがあり、段と段のあいだは
隙間
(
すきま
)
になって、枯れた古い
芦
(
あし
)
の幹が支柱のように
竝立
(
へいりつ
)
している。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
昨夜
(
さくや
)
以來
(
いらい
)
我
(
わが
)
朝日島
(
あさひじま
)
の
海岸
(
かいがん
)
は、
手
(
て
)
の
及
(
およ
)
ぶ
限
(
かぎ
)
り
裝飾
(
さうしよく
)
された。
大佐
(
たいさ
)
の
家
(
いへ
)
は
隙間
(
すきま
)
もなく
日
(
ひ
)
の
丸
(
まる
)
の
國旗
(
こくき
)
に
取卷
(
とりま
)
かれて、
其
(
その
)
正面
(
せうめん
)
には、
見事
(
みごと
)
な
緑門
(
アーチ
)
も
出來
(
でき
)
た。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
そこは、空気が
淀
(
よど
)
んで床下の穴倉から、湿気と、貯えられた
葱
(
ねぎ
)
や馬鈴薯の匂いが
板蓋
(
いたぶた
)
の
隙間
(
すきま
)
からすうっと伝い上って来た。
パルチザン・ウォルコフ
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
長い長い石垣の上に、杉の
生垣
(
いけがき
)
が続いて、その
隙間
(
すきま
)
から石碑が
覗
(
のぞ
)
いている。電柱がその石垣に沿うて一つ二つ見えて来る。
黄灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
眼が、闇に慣れるにつれて、襖の
隙間
(
すきま
)
から洩れる光線が、仕切棚の裏にぼんやり扇形の模様を投げているのが見えだした。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
そして悪魔は、方々の掃除口を探して歩きましたが、どこもここもみな、
頑丈
(
がんじょう
)
な鉄の蓋が閉め切ってあって、下水道へはいり込む
隙間
(
すきま
)
もありません。
不思議な帽子
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
石垣の下から生えている老木の
梢
(
こずえ
)
や
孟宗竹
(
もうそうちく
)
の
隙間
(
すきま
)
から、私の住んでいた家なぞは、
遥
(
はる
)
かの眼下に小さく
俯瞰
(
ふかん
)
されます。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
それが戸の
隙間
(
すきま
)
から見えぬやうに忍び込んで
行燈
(
あんどん
)
の紙をしめらしてゐる。湯鑵の水はすつかりなくなつて、ついでに火鉢の火の気も淡くなつてゐる。
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
そのうちにはるか
彼方
(
かなた
)
に群を抜いてそびえている一本の大木の葉の
繁
(
しげ
)
みのなかに、円い
隙間
(
すきま
)
、あるいは空いているところがあるのに、注意をひかれた。
黄金虫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
その事業の高尚な配慮と神嚴な結果から云へば、その仕事は愛を破られ望を碎かれたものゝ心の
隙間
(
すきま
)
を充すには、一番
相應
(
ふさは
)
しいものではないだらうか。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
掻巻
(
かいまき
)
かけて
隙間
(
すきま
)
なきよう上から押しつけやる母の顔を見ながら眼をぱっちり、ああ
怖
(
こわ
)
かった、今よその怖い人が。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
仕方がないから試に左向きに寐て見るとガラスごしに上野の杉の森が見えてその森の
隙間
(
すきま
)
に向うの空が透いて見える。その隙間の空が人の顔になって居る。
ランプの影
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
しかしそれは
隙間
(
すきま
)
を洩る風がカーテンを揺すったのだろうぐらいに思って、わたしは別に気にもとめなかった。
世界怪談名作集:15 幽霊
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
陽
(
ひ
)
は
高々
(
たかだか
)
と
昇
(
のぼ
)
っているらしく、
今
(
いま
)
さら
気付
(
きづ
)
いた
雨戸
(
あまど
)
の
隙間
(
すきま
)
には、なだらかな
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
が、
吹矢
(
ふきや
)
で
吹
(
ふ
)
き
込
(
こ
)
んだように、こまいの
現
(
あらわ
)
れた
壁
(
かべ
)
の
裾
(
すそ
)
へ
流
(
なが
)
れ
込
(
こ
)
んでいた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
よく平気でそんな事が言えたものですね。客に
隙間
(
すきま
)
があれば少しでも儲けようという浅ましい根性なのです。客に対して親切という心は少しもありません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
ちょうどその時、前の廊下を、
箒
(
ほうき
)
をもった二人の女中が、玄が
締
(
し
)
めきらずに残して行った
障子
(
しょうじ
)
の
隙間
(
すきま
)
から私の方を覗き込むようにして見ながら通りすぎた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
隙
常用漢字
中学
部首:⾩
13画
間
常用漢字
小2
部首:⾨
12画
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