間隙すきま)” の例文
... 山王権現のたたりも恐れ給はずや」ト、様々にいひ紛らし、間隙すきまを見て逃げんと構ふるにぞ。鷲郎おおい焦燥いらちて、「なんじ悪猿、怎麼いかに人間に近ければとて、かくはわれを侮るぞ。 ...
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
曾根が一人で訪ねて来たということは、ある目に見えない混雑を三吉の家の内へ持来もちきたした。曾根は、戸の間隙すきまからでも入って来て、何時の間にか三吉の前に坐っている人のようであった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
僅の間隙すきまでも生ずれば——そこに彼等は自由を望んで反旗を翻すことは火を見るよりも明かなことではありませんか。麒麟も老ゆれば駑馬に劣るといふ譬のあることをお忘れなさいますな。
悲しき項羽 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
くちばしをれたいにも、更にその間隙すきまが見附からない。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)