“ひび”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヒビ
語句割合
36.3%
23.9%
亀裂14.5%
6.4%
4.7%
日々3.0%
裂罅2.6%
日日1.3%
1.3%
披靡0.9%
(他:12)5.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
といっていたとき、とつぜん天地はくずれんばかりに振動し、それにつづいて腹の底にこたえる気味のわるいごうごうのひびき。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あまりにもたえなるうたのしらべが、われらのまどいのなかにまでひびいて来たによって、このようにまかり出ましたのじゃ。
かしわばやしの夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
彼は彼の前で水に割られては盛り返す群衆のひびを見詰め、倒れる旗の傾斜を見、投げられる礫の間で輝く耳環に延び上った。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
此の二本の棒……は嘗て昔は金箔を施してあったものだが、今ではもう大分前から方々にひびが入ったり剥げたりして居る。
大衆文芸作法 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
どこがどう押されてか、てかてかの軽い鋳型いがたに、ところどころ凸凹ができ、亀裂ひびがはいり、ぱくりと口をあくのである。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
お岩は苦しい体をひきずるようにして、台所から亀裂ひびの入った火鉢を出して来た。そして、それに蚊遣りをしかけながら宅悦を見た。
南北の東海道四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
時とするとジャン・ヴァルジャンはコゼットのひびのきれたまっかな小さい手を取って、それにくちびるをつけることもあった。
百姓が手につかむ霜にも、水仕事するものが皮膚に切れるひびあかぎれにも、やがて来る長い冬を思わせないものはない。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
お延は言いかけて、口をつぐんだ。そしてしばらく考えたあと、急にお針の道具を片方に押しやって、次郎のひびだらけの手をにぎりながら、
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
この時、庭の方から、わだちでもきしるような、キリキリという音が、深夜の静寂しじまひびでも入れるかのように聞こえて来た。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
もろもろの物資ともしくなる〔な〕べに盗みごころの日々ひびにはびこる(銭湯にて屡〻シャツを盗まるる由聞きて)
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
日々ひびに老いて近づく冬の気息が一刻々々に身に響く頃の一種の恐怖おそれ、死に先だつ深い絶望と悲哀は、東京附近の浅薄な冬の真似では到底分からぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
生木なまきくわん裂罅ひびる夏の空気のなやましさ。
心の姿の研究 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
生木なまきひつぎ裂罅ひびの入る夏の空気のなやましさ。
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
森羅万象日日ひびあらたにして、いつしか春過ぎ夏来ると雖も、流離の涙しかすがに乾く暇なく、飛ぶ鳥の心いや更にはるる空なし。
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
父母の日日ひびのなげきも事古りぬさはさりながら我の貧しさ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
と、手の裏返す口上に、気は許さねど、張詰めし、胸には、ひびの入り易く。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
寒風に吹きさらされて、両手にひびを切らせて、紙鳶に日を暮らした三十年前の子供は、随分乱暴であったかも知れないが、襟巻えりまきをして、帽子をかぶって、マントにくるまってふところ手をして、無意味にうろうろしている今の子供は、春が来ても何だか寂しそうに見えてならない。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
然り而して伏見ふしみの一戰、東兵披靡ひびするものは何ぞや。
二将のむかう所、燕兵披靡ひびす。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
名医の術も施すに由なく、幾が夜ごと日ごとの祈念もかいなく、病はひびに募りぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
春寒きびしき都門を去りて、身を暖かき湘南しょうなんの空気に投じたる浪子は、ひびに自然の人をいつくしめる温光を吸い、身をめぐる暖かき人の情けを吸いて、気も心もおのずからのびやかになりつ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
みわるるうだちひびき。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
このはじかみ、口ひび
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
小夜子の世界は新橋の停車場ステーションへぶつかった時、劈痕ひびが入った。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
文章を作る上の用意として、われ/\の日常ひび心がくべき三つの方法がある。それは読書と観察と思索とである。
文章を作る人々の根本用意 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こもりゐてはなひり海朶ひびの間も海苔の香立ちて寒からしあはれ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
海苔の田は上潮うはじほ寒き海朶ひびの間に逆さの不二が白う明り来
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「灰色の靴下を穿いた秋」が、わたしの精神の罅裂ひびの隙き間から、もぐりこんでくる。
(新字旧仮名) / 高祖保(著)
君の言ふ裂隙ひびなんて、何處を見たつて見えないぢやないか!
我等の一団と彼 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
舊道徳に裂隙ひびが割れたから、其の裂隙から自然主義といふ樣なものも芽を出して來たんだ、何故其の裂隙が出來たかといふと、つまり先祖の建てた家が、我々の代になつて玄關の構へだの、便所の附け處だの、色々不便なところが出來て來た樣なものだ。
我等の一団と彼 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
お浜は手早く懐剣を拾い取って、盗み物を隠すように懐中へ入れてみると、胸は山のくずれるような音をしてひびきましたけれども、お浜のかおには一種の気味のよいような笑いがほのめいて、じっと眼を行燈あんどんの光につけたまま失神のていで坐っている。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その声は、もはや、怨霊おんりょうじみたものではなかった。美しい、女のような、ひびきの深い声であった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
「その上、死骸の耳の下に傷を拵へて、お玉の黒子ほくろを誤魔化したが、二の腕の(蛇)の彫物ほりものをお關に見られて、たくらみに龜裂ひびが入つた。あの彫物は二人の干支えとだから、歳を繰つて見ると二十年前に捨てられたお關の(兎)の彫物が三杯みつき家の娘に間違ひないわけだ」